スーパーで何気なく手に取る「バター」と「マーガリン」。
見た目も用途もよく似ているこの2つですが、バターとマーガリンを違いを正しく理解していますか?この記事では、日常的に使う機会の多いバターとマーガリンについて、その違いを多角的な視点からわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、「自分に合った選び方」や「料理やお菓子作りでの最適な使い分け方」が明確になります。バターとマーガリンの違いにモヤモヤしていた方でも、読後にはスッキリと判断できるようになります。
こんな悩みや疑問はありませんか?
- バターとマーガリンって原料は違うの?
- レシピに「バター」とあるけどマーガリンでも代用できる?
- パンに塗るならどっちを選ぶのが正解?
こうした疑問に寄り添いながら、見た目や価格に惑わされず、自分の目的や生活スタイルに合った選択ができるよう丁寧に説明します。
違いを知れば、毎日の食事がもっと安心で楽しいものになります。
バターとマーガリンの基本的な違い

バターとマーガリンは、パンに塗ったり料理に使ったりと日常的によく使われる食品です。一見似ているように見えますが、原料や製造方法など、さまざまな違いがあります。
まずは、それぞれの基本的な違いについて、わかりやすく説明します。
バターとマーガリンの原料の違い
バターは牛乳の脂肪分から作られ、マーガリンは植物油や動物油を主原料としています。
バターは牛乳に含まれる脂肪分(クリーム)を分離して作られたもので、原料は動物性の乳脂肪です。一方で、マーガリンは主に大豆油や菜種油などの植物油、動物性の油脂を使用して作られています。
つまり、バターは「牛から生まれた自然の脂」、マーガリンは「植物由来の油を人の手で加工したもの」という違いがあります。
原料の違いにより、バターは自然なコクと香りが強く、マーガリンは軽い口当たりが特徴です。

項目 | バター | マーガリン |
---|---|---|
主な原料 | 牛乳の脂肪分(乳脂肪)から作られた動物性の油脂 | 植物油(大豆油、菜種油など)や動物性の油脂を使用した加工油脂 |
特徴 | 自然なコクと香りが強い | 軽い口当たりでさっぱりしている |
バターとマーガリンの製造方法の違い
- バター:バターの製造は、原乳を遠心分離し、クリーム部分を撹拌し続けて脂肪を固める方法。
- マーガリン:マーガリンは主に大豆油や菜種油などに水や乳化剤を加え乳化させ固形化します。
バターとマーガリンは、製造方法に大きな違いがあります。バターは牛乳に含まれる乳脂肪を物理的に撹拌(かくはん)することで作られます。この撹拌によってクリーム状の脂肪から水分が分離され、固形のバターが形成されます。
一方でマーガリンは、植物油を主成分に、水分・乳化剤・塩・香料・着色料などを加えて作られます。これらを乳化(油と水をなじませること)させながら撹拌・冷却することで、なめらかでバターに似た食感に仕上がります。
つまり、バターは素材本来の性質を活かした自然派の製法、マーガリンは目的に応じて構成された人工的な油脂製品です。

この製造工程の違いが、それぞれの味・香り・質感に大きく影響しています。
バターとマーガリンの種類
バターとマーガリンには、それぞれ数種類のバリエーションがあります。
バターの主な種類
種類 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
有塩バター | 塩分(約1.5〜2%)が加えられており、そのまま食べても美味しい | パンに塗る、ソテーや炒め物などの料理全般 |
無塩バター | 塩分が含まれていない。味の調整がしやすいため、製菓や料理に使いやすい | ケーキ、ソースなどの繊細な調理 |
発酵バター | 乳酸菌で発酵させてから作られる。コクがあり風味豊か | クロワッサン、ガレット、バターが主役の料理 |
グラスフェッドバター | 放牧された牛のミルクで作られる。オメガ3脂肪酸やビタミンKが豊富 | 健康志向の人に人気。加熱せずトーストなどに |

マーガリンの主な種類
種類 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
家庭用マーガリン | 柔らかく、パンに塗りやすいタイプ。家庭の冷蔵庫に多い | 朝食のトースト、焼き菓子など |
業務用マーガリン | 高温や長時間の加熱に耐える。大量生産向け | パン製造、ホテル・レストランの調理 |
ファットスプレッド | マーガリンより油脂含有量が少ない(80%未満)。価格が安く、塗りやすい | パンに塗る、サンドイッチ |
低カロリーマーガリン | カロリー控えめで健康志向の方向けに開発された製品 | ダイエット中の人向けトーストや調理用 |
植物性100%マーガリン | 完全植物油由来で乳成分不使用。ヴィーガンやアレルギー対応に適している | 動物性食品を避ける人の料理全般 |
バター風味マーガリン | バターのような香りや味を加えたマーガリン。価格を抑えて風味も楽しめる | パン、炒め物、焼き料理など |
※ファットスプレッドはマーガリンではありません(マーガリンは油脂含有量が80%以上です)
無塩バターと有塩バターの違い

文字通り無塩バターには塩が含まれておらず、有塩バターには塩が加えられています。
- 無塩バター:無塩バターは調理や製菓で味を調整しやすく、プロが使うことが多いです。
- 有塩バター:有塩バターはそのままパンに塗って美味しく食べられるように塩分を含んでいます。
料理やお菓子作りには無塩バター、手軽な朝食には有塩バターという使い分けが便利です。一般的に市販されているバターは有塩タイプが多く、スーパーの棚でも目立つのはこちらです。むしろ、無塩バターの存在を知らない人も少なくありません。
料理初心者や日常使いの方は、まず有塩バターから手に取る傾向がありますが、製菓やレシピの味付けにこだわる場合は、無塩バターをおすすめします。

日本におけるバターとマーガリンの位置づけ
日本では、バターは高価格・自然食品、マーガリンは手軽な代用品という位置づけです。これは、乳製品の国内生産量が限られていることや、輸入に頼る割合が多いことが影響しています。そのため、バターは価格が比較的高く、贅沢品という印象を持たれがちです。
一方、マーガリンは植物油を主成分とする加工食品で、大量生産が可能であることから、安価かつ手軽な選択肢として広く普及しています。特に、マーガリンはパンの消費が増えた昭和期以降、家庭の定番商品として定着しました。
こうした背景から、バターは「上質な食材」、マーガリンは「毎日の食事を支える実用的な油脂」として使い分けられてきました。
- 日本では乳製品の生産量が限られ、バターの価格が高めです。
- マーガリンは安価で手に入りやすく、パン食の普及とともに広まりました。
どちらが良い悪いではなく、使う場面や目的によって選びましょう。
バターとマーガリンの風味の違い

バターとマーガリンは見た目が似ていても、風味には明確な違いがあります。風味の差は原料と製法に関係しており、料理や用途によって選び方が変わります。ここでは、それぞれの風味の特徴を詳しく解説します。
バターの豊かな風味とコク
バターには牛乳由来の濃厚で芳醇な風味があり、料理やお菓子の味に深みを与えます。この豊かな風味は、加熱してもその香りと旨みをしっかりと残し、素材そのものの魅力を引き立ててくれます。
特にフレンチ(フランス料理)では欠かせない存在です。バター特有の芳醇な風味とコクは多くの食材と相性がよく、料理に深みと厚みを加えてくれます。
- バターは牛乳から取り出した乳脂肪を原料としているため、自然な甘みやコクを持ちます。
- 発酵バターはさらに乳酸菌で発酵され、複雑で奥行きのある風味が生まれます。
- 加熱するとバター独特の香ばしい香りが立ち、料理の仕上がりに大きな違いをもたらします。

マーガリンの軽やかな味わい
マーガリンの軽やかな味わいは、口に入れるとふんわりと広がる柔らかさが特徴です。バターに比べて油分の重たさが少なく、後味もすっきりしているため、食べたあとにしつこさを感じにくいのが魅力です。
ほんのりとしたコクはありつつも、あっさりとした風味がパンやクラッカーの味を引き立て、料理やお菓子にも合わせやすい存在感を持っています。
また、マーガリンをパンに塗ったときのなめらかさや口どけの速さも軽やかさを感じさせるポイントです。焼き立てのパンに広げれば、さらっと溶け込み、素材そのものの風味を邪魔せずに引き立ててくれます。
- マーガリンは主に植物油から作られており、動物性の風味がありません。
- 塩や香料で味が調整されているため、均一で安定した味わいがあります。
マーガリンにはないバターの特徴

バターには、マーガリンにはない独自の魅力があります。それは「調味料のように料理の味を変える力」と「単体で食材として成立する」ことです。この2つは、料理初心者にとっても理解しやすいバターの大きな特徴です。
バターそのものが調味料的な役割を持っている

バターは加えるだけで料理全体の味を豊かにし、調味料のような働きをします。
バターには乳脂肪が多く含まれていて、この脂肪分が料理にコクや深みを与えます。脂肪分は口の中でまろやかに広がり、食材のうま味を引き立てる働きを持っています。
たとえば、味噌ラーメンにバターをひとかけ加えると、味噌のしょっぱさや香りがまろやかになり、全体の味がぐっと濃厚に変わります。これが「味噌バターラーメン」として人気の理由です。
バター自体を食べることができる

バターそのものに豊かな風味があるため、パンに塗るだけでなく、バター自体を主役にした料理やお菓子も作られています。これはマーガリンにはあまり見られない特徴です。
レーズンバターはその代表例です。甘みのあるレーズンと濃厚なバターを組み合わせることで、ワインのおつまみやデザートとしても楽しまれます。バターの存在感がしっかりあるからこそ成り立つ食べ方です。
バターは「素材そのものを味わうことができる食品」であり、料理に使うだけでなく、そのままでも楽しめる点が大きな魅力です。
バターの代わりにマーガリンは使える?

バターとマーガリンは見た目や使い方が似ていますが、風味や成分には違いがあります。
では、料理やお菓子作りで「バターの代わりにマーガリンを使っても大丈夫なのか?」という疑問に対して、それぞれのシーンごとに解説します。
料理でバターの代わりにマーガリンは使える?
日常の料理では、バターの代わりにマーガリンを使ってもほとんど問題ありません。マーガリンは油脂としての働きを持っているため、炒め物やソテーなどの料理では十分に代用できます。
バター特有の香ばしさやコクは薄れますが、マーガリン特有のあっさりとした仕上がりになります。風味に強いこだわりがないなら、家庭料理ではバターの代用としてマーガリンを使っても十分に対応できます。
料理で使うバターとマーガリンの違い

バターはマーガリンと違い、加熱すると焦げやすく、火加減やタイミングに気をつける必要があるため、扱いが少し難しいです。
- バターには乳成分が含まれていて、この部分が高温になると焦げてしまいます。
- マーガリンは植物油を主成分としており、焦げやすい成分が少ないため、高温でも焦げにくい傾向があります。
ホワイトソースもマーガリンで作ることができます

ホワイトソースはバターの代わりにマーガリンでも作ることができます。仕上がりはややあっさりした味になります。
風味やコクはバターより控えめですが、同じ分量で置き換えて問題ありません。小麦粉と一緒に炒めてから牛乳を加える手順も同じで、調理方法に変わりはありません。
コクを足したいときは、濃厚タイプの牛乳を使ったり、チーズや生クリームを加えるとより風味が増します。バターを常備していないときやコストを抑えたいときに、マーガリンは手軽で便利な選択肢です。
項目 | バター使用 | マーガリン使用 |
---|---|---|
風味・コク | バターの豊かな香りとコク | あっさりめで軽い風味 |
仕上がりの色 | やや黄色みがあり濃厚感がある | 白っぽく仕上がり、軽い印象 |
口当たり | まろやかでリッチな味わい | すっきりした軽い口当たり |
コスト | やや高め | 比較的安価 |
レシピでの代用の可否と注意点
レシピに「バター」と書かれていても、多くの場合マーガリンで代用可能です。ただし注意点があります。
マーガリンには水分や塩分、香料などが添加されている場合があるため、仕上がりに違いが出ることがあります。特にクッキーやスポンジケーキのように、バターの風味が生きるレシピでは味や食感がやや劣る可能性があります。
「本格的に料理を作りたい」「プレゼント用のお菓子を作る」といった場面ではバターを使いましょう。
パンに塗るならどっち?

手軽さを重視するならマーガリン、風味を楽しみたいならバターがおすすめです。
- マーガリンは冷蔵庫から出してすぐに塗れる柔らかさがあります。
- バターはコクと香りがあり、焼き立てのパンとの相性が抜群です。
パンの味を引き立てたいときはバターを使い、時短やコスト重視の朝食にはマーガリンを使うというふうに、目的に応じて使い分けましょう。
一般的には、レストランではパンに添えるのは必ずバターです。レストランではマーガリンを使うという選択肢はほとんどありません。それは、バターの持つ豊かな風味や深みを大切にするためです。
なお、イタリアンレストランではバターの代わりにエキストラバージンオリーブオイルを使うケースもあります。
成分から見るバターとマーガリンの違い

バターとマーガリンには価格や風味だけでなく、成分にも明確な違いがあります。特に健康を気にする人にとっては、脂質やトランス脂肪酸、コレステロールといった成分の違いが選択の大きなポイントになります。
トランス脂肪酸の含有量
厚生労働省によると、トランス脂肪酸の摂取量が多いと心疾患のリスクを高める可能性があるとされています。現在、日本で販売されているマーガリンの多くは、トランス脂肪酸の含有量がごくわずかです。
かつてはマーガリンに多く含まれていましたが、現在は製造方法の改良により、国内で販売されているマーガリンの大半はトランス脂肪酸の含有量が1%未満です。
日本マーガリン工業会:今どきのトランス脂肪酸の話し
過去のイメージにとらわれず、成分表示を確認すれば、トランス脂肪酸の心配はほとんどないことがわかります。
コレステロールと脂質のバランス
文部科学省:食品成分データベースの情報によると、バターには100gあたり約200mgのコレステロールが含まれています。植物油を原料とするマーガリンはバターよりもコレステロール含有量が大幅に少なく、「コレステロールゼロ」表示の商品もあります。
ただし、脂質の総量はバターもマーガリンもほぼ同等(約80〜85%)です。コレステロール値が気になる人は、植物性のマーガリンを選ぶと安心です。ただし、脂質の摂りすぎにはどちらも注意が必要です。
健康志向の人が好むのはどっち?

最近は、健康志向の人の多くがグラスフェッドバターを選んでいます。グラスフェッドバターは放牧された牛のミルクを使用しています。放牧された牛のミルクには、オメガ3脂肪酸やビタミンK2などを豊富に含むとされ、自然派志向の人に人気です。
健康志向といっても、脂質やカロリーだけでなく「どう育ったか」「何から作られたか」を重視する傾向があります。健康を意識する人には、成分だけでなく製法や原料の背景まで含めた選択がされています。
バターとマーガリンの価格

バターとマーガリンは、見た目や使い方が似ていても価格には大きな差があります。日常の買い物でどちらを選ぶかは、味や風味だけでなくコスト面でも大きな影響を受けます。ここでは、両者の市場価格とコストパフォーマンスを比較して解説します。
市場価格の比較とコストパフォーマンス
バターはマーガリンに比べて高価ですが、その分風味が優れています。マーガリンは安価で扱いやすく、コスト重視なら選びやすい商品です。
バターは牛乳から作られ、1kgのバターを作るのにおよそ20リットルの牛乳が必要です。そのため、原料コストが高く、価格も高くなります。
マーガリンは大豆油や菜種油などの植物油から作られ、大量生産がしやすく原価が安いため、価格も手頃です。
実際の店頭価格では、同じ200gあたりでバターは400〜500円程度、マーガリンは150〜250円程度と、2倍以上の差があることもあります。
料理やお菓子にこだわりたいときや風味を大切にしたいときはバター。日常的に使う量が多い、または価格を重視したい場合はマーガリンが選ばれます。目的と予算に応じて、賢く使い分けるのがポイントです。
バターとマーガリンの保存方法

バターとマーガリンはどちらも油脂製品であり、保存方法を間違えると風味が落ちたり劣化することがあります。正しく保存すれば、最後までおいしく使い切ることができます。ここでは、それぞれの賞味期限と保存のコツ、冷凍保存の可否について解説します。
賞味期限と保存方法のポイント
バターとマーガリンは冷蔵保存が基本です。ただし、開封後の扱い方によって劣化スピードが大きく変わります。
バターは動物性の脂肪で酸化しやすく、冷蔵庫内でも空気や光に触れると風味が劣化しやすいです。マーガリンは植物油を原料としており、バターに比べてやや保存性が高いですが、同様に冷蔵保存が推奨されます。
市販のものにはそれぞれ賞味期限が記載されており、開封後はできるだけ早く使い切るのが基本です。バターやマーガリンを使うたびに清潔なスプーンやナイフを使うことも大切です。
冷凍保存の可否とその影響
バターは冷凍保存が可能で、長期保存に向いていますが、マーガリンは冷凍には不向きです。バターは冷凍しても風味が大きく損なわれにくく、1か月以上保存可能です。有塩バターは特に冷凍向きで、冷蔵保存より酸化を防げます。
マーガリンは冷凍保存にはあまり向いていません。バターと違って水分が多く含まれており、凍らせるとその水分が氷結して中の構造(乳化状態)が壊れてしまいます。
その結果、解凍したときに油と水分が分離したり、表面に水が浮いたりして、風味や食感が損なわれる恐れがあります。マーガリンは冷蔵保存を基本とするのが適切です。
バターとマーガリンの歴史

私たちの食卓でおなじみのバターとマーガリンは、実はまったく異なる歴史と背景を持っています。バターは古代から存在する伝統的な食品であり、マーガリンは比較的新しく生まれた代替品です。
バターの起源
バターは紀元前から存在し、古代人が乳を保存・加工する過程で自然に生まれたとされています。バターの起源は紀元前2000年ごろにさかのぼり、メソポタミア文明や古代インドにその痕跡が見られます。
牛や羊の乳を運ぶ途中の揺れによって脂肪分が分離し、偶然生まれたのが始まりと考えられています。その後、保存性や栄養価の高さからヨーロッパ各地に広まり、宗教儀式や食文化にも深く根付いていきました。
バターは長い歴史とともに世界中で愛され続けてきた、自然由来の食品です。
マーガリンの誕生と普及の経緯

マーガリンは19世紀にフランスでバターの代用品として開発され、戦時中や経済的な背景から世界中に広まりました。マーガリンは1869年、ナポレオン3世が貧困層や軍向けの代替バターを求めたことをきっかけに、化学者ミュリエによって発明されました。
最初は牛脂を原料としていましたが、やがて植物油を使った製法が主流となります。第二次世界大戦中にはバターの供給不足を補う目的で世界各国に広まり、日本でも戦後の食糧難を背景に急速に普及しました。
マーガリンは経済や社会のニーズから生まれた実用的な食品であり、手軽さと供給力で現代の食卓に定着しています。
日本では、昭和期にパンの消費が増えたことをきっかけに、朝食や学校給食などに広く取り入れられ、家庭でも急速に普及しました。
バターとマーガリンの表示と法的規格
スーパーやパッケージで見かける「バター」「マーガリン」「バター入りマーガリン」などの表示には、それぞれ法律で決められた基準があります。
見た目や名前が似ていても、中身や成分は大きく異なることがあります。ここでは、食品表示法に基づく定義や、消費者が注意すべきポイントを解説します。
日本の食品表示法における定義と基準
「バター」と「マーガリン」は食品表示法によって明確に区別されています。
- バター:バターは乳脂肪分が80%以上でなければなりません。植物性油脂は使用できません。
- マーガリン:マーガリンは乳脂肪以外の油脂(植物性または動物性)を主成分とした製品で、油脂含有量が80%以上です。
- ファットスプレッド:油脂含有量が80%未満のものは「ファットスプレッド」として別に分類されます。
食品表示にある名称は、含まれる油脂の種類や割合に基づいて決められています。
「バター入りマーガリン」や「ファットスプレッド」の表示
「バター入りマーガリン」はバター風味を加えたマーガリンであり、「バター」ではありません。
バター入りマーガリンは、マーガリンの主成分に少量のバターを加えた製品です。味や香りをバターに近づけることを目的としていますが、法的には「バター」とは表示できません。
ファットスプレッドは油脂含有量が少なく、塗りやすさやヘルシーさを重視し、果物、チョコレートなどの味を加えることができる商品です。
パッケージに「バター」の文字が書かれていても、それが「バター入りマーガリン」なら中身はマーガリンです。表示を正確に読み取る力が必要です。
消費者が注意すべき表示の見方
製品名だけでなく、原材料や油脂の種類・割合を確認することが大切です。
「バター風味」や「バター入り」など、似た表現が多いため、パッケージの表示だけでは内容を正確に判断しにくいことがあります。そのため、裏面の原材料表示を確認することが大切です。
そこには、使われている油脂の種類や割合が記載されており、「植物性油脂」「乳脂肪」「トランス脂肪酸」などの成分表記にも注目することで、より正確に商品を見極めることができます。
食品表示を正しく読み取ることは、安心・納得の買い物につながります。表示の違いを知ることで、目的に合った商品選びができるようになります。
バターとマーガリンの違い:まとめ
この記事では、バターとマーガリンの違いについて、幅広く解説しました。それぞれが持つ特徴を理解することで、目的に合った選択がしやすくなります。
重要なポイントを以下にまとめます。
- バターは乳脂肪から作られた自然由来の食品で、濃厚な風味とコクが特徴。
- マーガリンは植物性油脂を主成分とし、価格が手頃で塗りやすく保存性に優れる。
- 健康面では、現在のマーガリンはトランス脂肪酸の含有量が大幅に減らされており、安全性が向上している。
- 料理やお菓子作りでは、仕上がりや風味に違いが出るため、用途に応じた使い分けが大切。
- 保存方法は、どちらも冷蔵が基本。バターは冷凍保存も可能。
- 法律上、「バター」「マーガリン」「ファットスプレッド」は油脂の割合や成分によって表示が厳密に区別されている。
バターとマーガリンにはそれぞれの良さがあります。どちらが優れているというよりも、目的やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
この記事を参考に、日常の食卓がより豊かで安心なものになることを願っています。