料理本やレシピサイトでよく目にする「みりん」。いざスーパーに行くと、「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ」など、似たような名前の商品が並んでいて、どれを選べばいいのかわからない。見た目も似ていて価格もバラバラ。なんとなくで選んでしまい、思ったような味にならなかった…という経験がある方もいると思います。

この記事では、「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ(発酵調味料)」の違いを、アルコールの有無・原材料・風味・調理効果の観点からわかりやすく解説します。この記事を読むことで、味に深みを出したいとき、コストを抑えたいとき、アルコールを避けたいときなど、あなたの目的に合ったみりんの選び方が見えてきます。

「なんとなく安いから」「甘そうだから」と選ぶのではなく、違いを知って自信をもって選ぶことで、いつもの煮物や照り焼きの仕上がりがぐっと良くなるはずです。料理の基本だからこそ、みりんの違いを知ることが、味づくりの第一歩です。

この記事の内容
  1. 本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いを比較
  2. 味・香り・調理効果はどのように違う?
  3. 料理や目的に合わせた3種類の使い分け
  4. 売り場で本みりん・みりん風調味料・みりんタイプを見分ける方法
  5. 別の種類のみりんで代用できる?
  6. みりんを入れるタイミングと煮切り方
  7. みりんの保存方法
  8. 本みりん・みりん風調味料・みりんタイプに関するよくある質問
  9. 本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いまとめ

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いを比較

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いを比較

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、見た目や使い方が似ていますが、同じ調味料ではありません。

主な違いは、アルコール分、食塩の有無、原材料、作り方、法律上の扱いです。本みりんはアルコールを含む酒類、みりん風調味料はアルコール分を1%未満に抑えた調味料、みりんタイプはアルコールと食塩を含む商品が多い調味料として区別できます。

次のように覚えると選びやすくなります。

  • 本みりん:加熱料理で、香りやコクなども生かしたいとき
  • みりん風調味料:アルコール分が少なく、手軽に甘みや照りを加えたいとき
  • みりんタイプ:アルコールを含む調味料を手頃に使いたいとき。ただし、食塩量の確認が必要

ただし、アルコール分、食塩量、原材料は商品によって異なります。実際に購入するときは、パッケージの名称、原材料、アルコール分、栄養成分表示を確認しましょう。

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違い早見表

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違い早見表

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いは、アルコール分と食塩の有無を見ると理解しやすくなります。

比較項目本みりんみりん風調味料みりんタイプ
主な分類酒類一般の調味料発酵調味料・醸造調味料など
アルコール分一般に約14%1%未満含まれる商品が多い
食塩基本的に含まない商品による含まれる商品が多い
主な作り方もち米、米こうじ、焼酎またはアルコールなどを糖化・熟成させる糖類、米、米こうじ、酸味料、調味料などを混ぜて味を整える米や米こうじなどを発酵させ、糖類や食塩などを加える
法律上の扱い酒税法上の酒類酒類ではない食塩などで飲用できないようにした調味料
味の傾向甘み、コク、香りがある甘みを感じやすい甘みとともに塩味を含む場合がある
使用時の注意加熱しない料理ではアルコールに注意商品ごとの酸味や甘みを確認醤油や塩の量を調整する
価格の傾向比較的高め比較的手頃比較的手頃
向いている使い方煮物、魚料理、照り焼きなどたれ、和え物、甘み付けなど煮物、炒め物、業務用の料理など

キッコーマンの比較例では、本みりんはアルコール分約14%で食塩なし、みりん風調味料はアルコール分1%未満、みりんタイプはアルコール分約11%で食塩ありとされています。数値はすべての商品に共通する規格ではないため、目安として見てください。

特に注意したいのは、みりんタイプの食塩です。レシピに書かれた本みりんをみりんタイプへ置き換えると、醤油や塩もそのまま加えた場合に、料理の塩味が強くなる可能性があります。

一方、みりん風調味料はアルコール分が1%未満ですが、甘みや酸味、原材料の配合は商品ごとに違います。「みりん風調味料なら、すべて同じ味」とは限りません。

3種類を簡単に見分けたい場合は、次の順番でパッケージを確認しましょう。

  1. アルコール分
  2. 名称や品名
  3. 原材料欄の食塩
  4. 栄養成分表示の食塩相当量

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、色や容器だけでは正確に判断できません。商品名の印象ではなく、パッケージの表示を見ることが大切です。

本みりんはアルコールを含む酒類

本みりんはアルコールを含む酒類

本みりんは、一般的に約14%のアルコールを含む酒類です。見た目は調味料ですが、法律上はお酒として扱われます。

本みりんは、蒸したもち米、米こうじ、焼酎またはアルコールなどを仕込み、米こうじの酵素の働きで糖化・熟成させて作られます。一般的な日本酒のように酵母が糖をアルコールへ変える工程を中心とするのではなく、米のでんぷんを糖へ変えながら熟成させる点が特徴です。

そのため、本みりんは、単純に「米を発酵させた調味料」というより、「糖化・熟成させて作る酒類」というほうが正確です。キッコーマンも、本みりんを、蒸したもち米と米こうじに焼酎などを混ぜて糖化・熟成させたものと説明しています。

本みりんの原材料は、すべての商品で同じではありません。米、米こうじ、焼酎またはアルコールだけを使った商品もあれば、糖類などを使用した商品もあります。

たとえば、パッケージの原材料欄には、次のような表示が見られます。

  • もち米、米こうじ、しょうちゅう
  • もち米、米こうじ、醸造アルコール
  • もち米、米こうじ、醸造アルコール、糖類

糖類が書かれている商品も、本みりんとして販売されている場合があります。そのため、「原材料に糖類があるから、みりん風調味料」とは判断できません。本みりんかどうかを確かめるときは、名称や酒類表示を確認しましょう。

本みりんに含まれるアルコールは、単に酒類へ分類される理由になるだけではありません。魚や肉のにおいを抑えたり、料理全体の味や香りをなじませたりする働きも期待できます。詳しい調理効果については、後の「味・香り・調理効果はどのように違う?」で説明します。

注意したい場面は、加熱しないたれ、和え物、ドレッシングなどへ本みりんを使う場合です。本みりんにはアルコールが含まれるため、アルコールを避けたい場合は、あらかじめ加熱する煮切りや、別の調味料を使う方法を検討します。

加熱によってアルコールは減少しますが、加熱すれば必ず完全になくなるとは限りません。残る量は、加熱時間、料理の量、鍋の形、ふたの有無などによって変わります。

本みりんは、アルコールを含む酒類で、糖化・熟成によって作られることが、ほかの2種類との大きな違いです。

みりん風調味料はアルコール分1%未満の調味料

みりん風調味料はアルコール分1%未満の調味料

みりん風調味料は、本みりんに似た甘みや風味を持たせながら、アルコール分を1%未満に抑えた調味料です。酒類には分類されません。

主な原材料には、水あめやぶどう糖などの糖類、米、米こうじ、食塩、酸味料、調味料などが使われます。ただし、原材料や配合は商品によって異なるため、すべてのみりん風調味料に同じ材料が使われているわけではありません

本みりんは、米こうじの酵素によって糖化・熟成させて作りますが、みりん風調味料は、糖類や米由来の原料などを組み合わせ、本みりんに近い甘みや風味へ整える商品が中心です。キッコーマンは、みりん風調味料について、糖化・熟成を経ず、主に糖類などを混ぜて製造すると説明しています。

みりん風調味料の大きな特徴は、アルコール分が少ないことです。加熱しない料理にも使いやすく、次のような場面で便利です。

  • 酢の物や和え物へ甘みを加える
  • めんつゆやたれを作る
  • ドレッシングの味を整える
  • 短時間で作る炒め物へ照りを加える
  • アルコールを飛ばす工程を省きたい

アルコール分1%未満は、必ず0%であるという意味ではありません。少量のアルコールを含む商品もあるため、アルコールを完全に避けたい事情がある場合は、パッケージの表示やメーカーの案内を確認してください。

また、みりん風調味料には、本みりんに含まれるアルコール由来の働きが期待しにくいという違いがあります。全国味淋協会も、みりん風調味料はアルコールをほとんど含まないため、アルコールによる調理効果は期待できないと説明しています。

ただし、アルコール由来の働きが少ないからといって、みりん風調味料の品質が低いわけではありません。みりん風調味料は、加熱せず使いやすいこと、甘みや照りを手軽に加えられること、比較的購入しやすいことなどに良さがあります。

味についても、「人工的な甘さ」「単調な味」と一括りにするのは適切ではありません。甘みの強さ、酸味、香り、後味は商品ごとに異なります。実際の料理では、使用量を少しずつ調整すると失敗しにくくなります。

たとえば、レシピに本みりん大さじ1と書かれていても、みりん風調味料を同量入れると甘く感じる場合があります。最初は少なめに加え、味見をしながら足す方法が安心です。

みりん風調味料は、本みりんの簡易版ではなく、アルコール分を抑えて使いやすく設計された別の調味料です。加熱しない料理や、短時間で仕上げる料理をよく作る家庭では、便利に使えます。

みりんタイプは食塩を含む発酵・醸造調味料

みりんタイプは食塩を含む発酵・醸造調味料

みりんタイプは、本みりんのようにアルコールを含みながら、食塩などを加えて飲用できないようにした調味料です。商品では「発酵調味料」「醸造調味料」「みりんタイプ調味料」などと表示される場合があります。

本みりんとの大きな違いは、食塩を含むことです。食塩などを加えて飲用に適さない状態にすることで、酒類ではなく調味料として扱われる商品があります。

キッコーマンの比較例では、みりんタイプのアルコール分は約11%で、食塩を含むとされています。ただし、アルコール分や食塩量は商品によって違うため、「みりんタイプはすべてアルコール分11%」とは限りません。

みりんタイプの主な原材料には、米、米こうじ、アルコール、糖類、食塩などが使われます。作り方も商品ごとに違い、米や米こうじを発酵させた後に、糖類や食塩などを加える商品があります。

料理に使うときは、みりんタイプに含まれる食塩を考慮する必要があります。

たとえば、次の調味料を一緒に使う料理では、塩味が重なりやすくなります。

  • しょうゆ
  • みそ
  • めんつゆ
  • 顆粒だし
  • 塩こうじ

煮物へみりんタイプを使う場合は、しょうゆを最初からレシピどおりの量で入れず、少し控えて味を見る方法があります。ただし、商品ごとに食塩量が異なるため、「しょうゆを必ず大さじ何杯減らす」と一律には決められません。

確認するときは、原材料欄の「食塩」と、栄養成分表示の「食塩相当量」を見ます。100ml当たり、または大さじ1当たりの食塩相当量が書かれていれば、商品同士を比較しやすくなります。

みりんタイプは、本みりんと同じようにアルコールを含む商品が多いため、魚や肉のにおいを抑えたり、味をなじませたりする働きが期待できます。一方、食塩を含むため、料理全体の味付けを調整しなければなりません。

また、みりんタイプは、そのまま飲むことを前提にした商品ではありません。「アルコールを含むからお酒として飲める」と考えず、調味料として使用してください。

みりんタイプは、アルコール由来の働きを生かしながら、比較的手頃に使える点が特徴です。ただし、料理初心者は食塩を見落としやすいため、購入時と調理時の両方で表示を確認しましょう。

発酵調味料・醸造調味料とは:発酵調味料や醸造調味料は、米、米こうじ、アルコールなどを使って作られる調味料の呼び方です。

アルコール分・食塩・価格が違う理由

アルコール分・食塩・価格が違う理由

3種類のアルコール分、食塩、価格が違う理由は、原材料だけではありません。作り方、製造にかかる期間、法律上の扱い、酒税の有無などが関係します。

違いが生まれる主な理由をまとめると、次のようになります。

違いが生まれる要素本みりんみりん風調味料みりんタイプ
アルコール約14%の商品が多い1%未満商品によって異なる
食塩基本的に含まない商品による含まれる商品が多い
製造方法糖化・熟成主に原料を調合発酵後に糖類や食塩などを加える商品がある
製造期間比較的長い比較的短い商品による
酒税対象対象外飲用できない調味料は対象外
販売価格比較的高くなりやすい比較的抑えやすい比較的抑えやすい

本みりんは、アルコールを含む酒類であるため、酒税の対象です。さらに、糖化・熟成に一定の期間が必要となり、原材料や製法によるコストも価格へ反映されます。本みりんが、みりん風調味料より高く販売されることが多いのは、酒税だけが理由ではありません。

みりん風調味料は、アルコール分を1%未満に抑えた一般の調味料です。酒類には当たらないため酒税の対象外となり、本みりんより比較的手頃な価格で販売される傾向があります。

みりんタイプも、アルコールを含む商品が多いものの、食塩などを加えて飲用できない調味料にしています。そのため、本みりんとは法律上の扱いが異なります。

ただし、価格だけを見て品質の良し悪しを決めることはできません。

本みりんには、原材料や熟成期間にこだわった商品があります。一方、みりん風調味料やみりんタイプにも、料理へ使いやすいよう甘み、香り、酸味などを工夫した商品があります。

価格差を理解するときは、「高いから良い」「安いから劣る」と考えるのではなく、次の違いを見ることが大切です。

  • 酒類か、一般の調味料か
  • アルコールを含むか
  • 食塩を含むか
  • 糖化・熟成の工程があるか
  • 料理でどの働きを求めるか
  • どのくらいの頻度で使うか

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、同じ売り場に並んでいても、作り方や役割が異なります。価格だけで選ばず、家庭でよく作る料理と、アルコール分や食塩の違いを確認して選びましょう。

酒税:酒税とは、酒類にかかる税金です。本みりんは酒類に分類されるため、酒税の対象になります。みりん風調味料や、飲用できないよう処理されたみりんタイプは、一般的な本みりんとは法律上の扱いが異なります。

味・香り・調理効果はどのように違う?

「本みりん」「みりん風調味料」「みりんタイプ」

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、どれも料理に甘みを加えられます。ただし、料理の仕上がりは同じではありません。

本みりんの特徴は、甘みだけでなく、コクや香り、照り、臭みを抑える働きなども期待できることです。煮物や魚料理に使うと、「味付けは同じなのに、いつもより味がまとまっている」と感じることがあります。

みりん風調味料は、甘みや照りを手軽に加えたいときに便利です。一方、アルコール分が1%未満のため、本みりんと同じ調理効果がすべて得られるわけではありません。

みりんタイプはアルコールを含む商品が多く、本みりんに近い働きが期待できます。ただし、食塩を含むため、しょうゆや塩の量を調整する必要があります。

料理初心者は、次のように覚えると分かりやすいでしょう。

料理で期待すること選びやすい種類
甘みを手軽に加えたいみりん風調味料
甘みだけでなくコクや香りも加えたい本みりん
魚や肉の臭みを抑えたい本みりん、アルコールを含むみりんタイプ
煮物の形を残したい本みりん
照りやツヤを付けたい本みりん、みりん風調味料
加熱せずに使いたいみりん風調味料
価格を抑えて加熱料理に使いたいみりんタイプ

同じ「みりん」という名前が付いていても、得意な働きが異なります。料理にどのような仕上がりを求めるか考えると、3種類を使い分けやすくなります。

甘み・コク・香りの違い

甘み・コク・香りの違い

甘みだけでなく、コクや香りまで料理に加えたいときは、本みりんが使いやすいでしょう。

本みりんは、砂糖のように強い甘みを加えるというより、料理全体を包むような穏やかな甘みを付ける調味料です。煮物を食べたときに、しょうゆの塩辛さや砂糖の甘さだけが目立ちにくくなり、味が丸く感じられます。

本みりんには、ブドウ糖やオリゴ糖など、性質の異なる複数の糖が含まれています。アミノ酸や有機酸なども含まれるため、甘みだけではなく、コクやうま味も生まれやすくなります。

キッコーマンの「本みりんの調理効果」でも、本みりんには複数の糖が含まれ、やわらかな甘みを付けることや、アミノ酸などがコクに関わることが紹介されています。

3種類の味の傾向を比べると、次のようになります。

種類甘みの傾向コク・香りの傾向
本みりん穏やかでやわらかく感じやすいコクや米由来の香りを加えやすい
みりん風調味料甘みをはっきり感じやすい香りや酸味は商品によって異なる
みりんタイプ甘みのほかに塩味を感じることがあるアルコール由来の香りを持つ商品が多い

肉じゃがを砂糖としょうゆだけで味付けすると、甘さと塩辛さを別々に感じることがあります。本みりんを加えると、だし、しょうゆ、砂糖の味が一つにまとまりやすくなります。

かぼちゃの煮物でも違いを感じやすいでしょう。砂糖を多く入れると甘さが前に出やすくなりますが、本みりんを使うと、かぼちゃ自体の甘みを残しながら味を整えられます。

一方、酢の物や簡単なたれへ少しだけ甘みを加えたい場合は、みりん風調味料が手軽です。みりん風調味料は商品によって甘みが異なるため、最初から多く入れず、味を見ながら足すと失敗しにくくなります。

本みりんは、料理を強く甘くするためではなく、甘み、コク、香りを重ねて味を整えたいときに役立ちます。短時間で甘みを付けたい場合は、みりん風調味料も便利な選択肢です。

アミノ酸:アミノ酸は、食品のうま味やコクに関わる成分です。しょうゆ、みそ、肉、魚、だしなどにも含まれています。

魚や肉の臭みを抑える働き

魚や肉の臭みを抑える働き

魚の煮付けや肉料理の臭みが気になるときは、本みりんやアルコールを含むみりんタイプが役立ちます。

本みりんには、一般的に約14%のアルコールが含まれています。料理を加熱すると、アルコールが蒸発する際に、魚や肉の臭いの成分も一緒に外へ出やすくなると考えられています。

本みりんに含まれる糖類、アミノ酸、有機酸なども、臭いを感じにくくする働きに関わります。アルコールだけで臭みを隠すのではなく、複数の成分が組み合わさって臭みを抑える点が特徴です。

本みりんによる臭みを抑える仕組みは、全国味淋協会の「本みりんの知識」でも紹介されています。

さばのみそ煮を作るときは、みそやしょうがだけでなく、本みりんも臭みを抑える助けになります。さば特有のにおいがやわらぎ、みそやだしの風味を感じやすくなります。

本みりんを使いやすい魚料理には、次のようなものがあります。

  • さばのみそ煮
  • ぶりの照り焼き
  • カレイの煮付け
  • いわしのしょうが煮
  • さんまの甘辛煮

鶏肉や豚肉にも、加熱したときに独特のにおいを感じることがあります。本みりんを加えた照り焼きや甘辛煮なら、肉のにおいを和らげながら、コクや照りも加えられます。

ただし、本みりんを入れるだけで、すべての臭みを取り除けるわけではありません。魚や肉の状態と下処理も大切です。

魚料理では、次のような準備をすると臭みを抑えやすくなります。

  • 表面の水分をキッチンペーパーで拭く
  • 血や内臓の残りを取り除く
  • 必要に応じて塩を振り、出てきた水分を拭く
  • 魚の種類に合わせて熱湯をかける
  • 鮮度や保存状態を確認する

みりん風調味料はアルコール分が1%未満のため、アルコールによる臭みを抑える働きは、本みりんほど期待できません。みりん風調味料を使う場合は、料理酒、しょうが、長ねぎなどを組み合わせる方法があります。

魚や肉の臭みを抑えたいときは、アルコールを含む本みりんやみりんタイプが向いています。丁寧な下処理を組み合わせると、素材のおいしさを生かしやすくなります。

煮くずれを抑えて形を保ちやすくする働き

煮くずれを抑えて形を保ちやすくする働き

野菜や魚の形をきれいに残したいときは、本みりんを使う方法があります。

本みりんに含まれる糖類とアルコールには、加熱中に食材が崩れるのを抑える働きがあるとされています。野菜では、でんぷんなどが外へ流れ出るのを抑え、肉や魚では身の組織が崩れるのを防ぐ助けになります。

「本みりんが食材の形を守る手助けをする」と覚えると分かりやすいでしょう。

全国味淋協会の本みりんの調理効果でも、糖類とアルコールが肉や魚の身、野菜のでんぷん質の崩れを抑えると説明されています。

肉じゃがを長く煮ると、じゃがいもの角が取れ、煮汁が濁ることがあります。本みりんを使うと、じゃがいもの形を残しながら仕上げる助けになります。

魚の煮付けでも、本みりんの働きを生かせます。カレイや金目鯛は、火が通ると身がやわらかくなり、箸やフライ返しで触ったときに崩れやすい魚です。本みりんを使うと、身の形を保ちながら煮付けやすくなります。

煮くずれを抑えたい料理には、次のようなものがあります。

料理煮くずれを防ぎたい理由
肉じゃがじゃがいもの角を残したい
かぼちゃの煮物皮と実が離れるのを防ぎたい
里芋の煮物形を残して盛り付けたい
魚の煮付けやわらかい身を崩さず盛り付けたい
筑前煮複数の具材をきれいに仕上げたい

ただし、本みりんを入れれば、強火で長く煮ても崩れないわけではありません。火加減や混ぜ方も仕上がりを左右します。

煮くずれを防ぐためには、次のポイントも大切です。

  • 強火で激しく煮立てない
  • 鍋の中を何度も混ぜない
  • 魚の煮付けには落としぶたを使う
  • 野菜を同じくらいの大きさに切る
  • 火が通った後は長く煮すぎない

みりん風調味料にも糖類が含まれますが、アルコールをほとんど含まないため、本みりんと同じ働きになるとは限りません。

本みりんは、味を付けながら食材の形を守る助けになる調味料です。煮物をきれいに仕上げたいときは、本みりんだけに頼らず、穏やかな火加減と丁寧な扱いも意識しましょう。

照り・ツヤ・焼き色を付ける働き

照り・ツヤ・焼き色を付ける働き

照り焼きや煮物をおいしそうに見せたいときは、本みりんが役立ちます。

本みりんには複数の糖類が含まれているため、食材の表面に照りやツヤを付けやすくなります。たれにほどよい粘りが生まれ、肉や魚の表面に残りやすくなる点も、つややかな仕上がりにつながります。

本みりんに含まれるオリゴ糖には、水分を保つ働きがあります。たれが乾きすぎるのを抑えるため、表面がパサつかず、光を反射するようなツヤが出やすくなります。

照りやツヤが生まれる仕組みは、キッコーマンの「本みりんの調理効果」でも詳しく紹介されています。

照りやツヤを生かしやすい料理には、次のようなものがあります。

  • ぶりの照り焼き
  • 鶏の照り焼き
  • 豚のしょうが焼き
  • きんぴらごぼう
  • かぼちゃの煮物
  • つくだ煮
  • うなぎや焼き鳥のたれ

鶏の照り焼きでは、鶏肉に火を通してから本みりんを含むたれを加えます。フライパンを軽く揺すりながら煮詰めると、たれが鶏肉へ絡み、表面につやが出てきます。

本みりんは焼き色にも関わります。本みりんに含まれる糖類やアミノ酸などが加熱されると、食材の表面に香ばしい色が付きやすくなります。

ただし、糖分を含むたれは焦げやすいため、火加減には注意が必要です。

照り焼きを失敗しにくくするポイントは、次のとおりです。

  1. 肉や魚へ先に火を通す
  2. 余分な脂や水分を拭き取る
  3. 仕上げにたれを加える
  4. 弱めの中火で煮詰める
  5. 煮詰まり始めたら目を離さない

みりん風調味料にも糖類が含まれているため、照りやツヤを付けられます。ただし、甘みの強さやたれの粘りは商品によって異なります。

本みりんは、料理の味だけでなく、見た目や香ばしさも整えやすい調味料です。照りを出したい料理では、たれを入れるタイミングと火加減も合わせて意識しましょう。

メイラード反応:メイラード反応は、糖とアミノ酸などが加熱によって反応し、茶色い色や香ばしい香りが生まれる変化です。肉を焼いたときの焼き色や、パンの焼けた香りにも関わります。

味をなじませる働き

味をなじませる働き

煮物の甘み、塩味、だしの味を一つにまとめたいときは、本みりんが役立ちます。

本みりんに含まれるアルコールは、食材へ入りやすい性質を持っています。アルコールが食材へ入る際に、本みりんの甘みやうま味もなじみやすくなるとされています。

ただし、本みりんを入れた直後に、食材の中心まで濃い味が付くわけではありません。本みりんの大切な役割は、砂糖、しょうゆ、だしなどの味をつなぎ、料理全体をまとまりのある味に整えることです。

本みりんの味をなじませる働きについては、キッコーマンの調理効果の解説でも紹介されています。

肉じゃがで砂糖としょうゆの味が別々に感じられる場合があります。甘みはあるのに塩辛く、だしの風味が目立たない状態です。

そういったときに、本みりんを加えると、甘み、塩味、うま味の間をつなぎ、料理全体をまとまりのある味に仕上げやすくなります。

味をなじませる働きを生かしやすい料理には、次のようなものがあります。

  • 肉じゃが
  • 筑前煮
  • 親子丼
  • 牛丼
  • すき焼き
  • 魚の煮付け
  • 炊き込みご飯

たとえば、親子丼では、だし、しょうゆ、砂糖だけでも味付けできます。しかし、本みりんを加えると、しょうゆの角がやわらぎ、卵や鶏肉とつゆの味がまとまりやすくなります。

本みりんは、料理へ濃い味を付けるのではなく、複数の調味料をつないで味を整える調味料です。煮物の味がまとまらないと感じたときは、調味料の量だけでなく、本みりんの役割にも注目してみましょう。

みりん風調味料では得にくい働き

みりん風調味料では得にくい働き

みりん風調味料は、甘みや照りを手軽に加えられます。ただし、本みりんとまったく同じ調理効果が得られるわけではありません。

大きな違いは、アルコール分です。

本みりんには一般的に約14%のアルコールが含まれますが、みりん風調味料のアルコール分は1%未満です。

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いは、キッコーマンの「本みりん、みりん風調味料、みりんタイプの違い」でも確認できます。

アルコールが少ないみりん風調味料では、次の働きが本みりんほど期待できません。

  • 魚や肉の臭みを抑える
  • 甘みやうま味を食材へなじませる
  • 煮くずれを抑える
  • 加熱中に料理の香りを整える

一方、みりん風調味料にも得意な使い方があります。

みりん風調味料が使いやすい料理使いやすい理由
酢の物加熱せず甘みを加えやすい
ごま和え少量で味を整えやすい
めんつゆ手軽に甘みを足せる
ドレッシング煮切る手間を省きやすい
短時間の炒め物甘みや照りをすぐに加えられる
少量のお弁当おかず必要な分だけ使いやすい

きゅうりとわかめの酢の物へ少量の甘みを加えたい場合、本みりんは加熱してアルコールを減らす手間がかかりますが、みりん風調味料なら、商品表示を確認したうえで、そのまま少量加えやすいでしょう。

一方、さばのみそ煮では、甘みだけでなく、魚の臭みを抑える働きも求められます。肉じゃがでは、味をなじませる働きや煮くずれを抑える働きも大切です。複数の調理効果を求める料理には、本みりんが向いています。

みりん風調味料は、本みりんより品質が低い調味料ではありません。2種類は得意な使い方が異なります。

料理や目的に合わせた3種類の使い分け

料理や目的に合わせた3種類の使い分け

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、料理や使う場面に合わせて選ぶと、それぞれの良さを生かせます。

煮物や魚料理など、しっかり加熱する料理には本みりんが使いやすいでしょう。和え物や加熱しないたれには、アルコール分が少ないみりん風調味料が便利です。

みりんタイプは、加熱料理に使いやすい一方で、食塩を含む商品が多くあります。しょうゆや塩を少し控え、味見をしながら仕上げることが大切です。

3種類のうち、どれか一つがすべての料理で優れているわけではありません。作りたい料理、手間、価格、食塩の有無を見ながら選ぶと、売り場で迷いにくくなります。

料理別の使い分け早見表

料理別の使い分け早見表

料理別に選ぶなら、加熱時間と求める仕上がりを考えると分かりやすくなります。

時間をかけて煮る料理や、臭みを抑えたい魚料理には本みりんが向いています。加熱せずに甘みを足したい料理では、みりん風調味料が手軽です。

みりんタイプも幅広い加熱料理に使えますが、食塩を含むため、ほかの調味料とのバランスを考える必要があります。

料理・使う場面選びやすい種類選びやすい理由
肉じゃが・筑前煮本みりんコクや照りを加え、具材の形を保ちやすい
魚の煮付け本みりん臭みを抑え、身の形を保つ助けになる
照り焼き本みりん照り、ツヤ、香ばしい焼き色を付けやすい
丼物本みりんだしやしょうゆの味をまとめやすい
炊き込みご飯本みりんしょうゆとだしの味をつなぎやすい
酢の物・和え物みりん風調味料加熱せず甘みを加えやすい
めんつゆ・たれみりん風調味料手軽に甘みを整えやすい
短時間の炒め物みりん風調味料・みりんタイプ短い加熱でも味を付けやすい
日常の煮物みりんタイプ加熱料理へ幅広く使える
加熱しないドレッシングみりん風調味料煮切る手間を省きやすい

同じ鶏肉料理でも、料理によって選び方が変わります。

鶏の照り焼きなら、照りや香ばしさを出しやすい本みりんが向いています。蒸し鶏のたれに少し甘みを加えるだけなら、みりん風調味料のほうが手軽でしょう。

料理名だけでなく、「長く加熱するか」「加熱せずに使うか」「臭みや照りまで整えたいか」を考えると、選ぶ種類が見えてきます。

料理別の早見表は、絶対的な決まりではありません。家庭にある種類でも代用できますが、甘み、アルコール、食塩の違いに合わせて調味料の量を調整しましょう。

煮物・魚料理・照り焼きには本みりんが使いやすい

煮物・魚料理・照り焼きには本みりんが使いやすい

煮物、魚料理、照り焼きをよく作る家庭では、本みりんが使いやすいでしょう。

本みりんは、甘みを加えるだけでなく、コクや照りを付けたり、魚や肉の臭みを抑えたりする働きも期待できます。時間をかけて加熱する料理では、本みりんに含まれるアルコールや糖類の働きを生かしやすくなります。

本みりんの調理効果については、キッコーマン「本みりんの調理効果」でも紹介されています。

煮物では、次のような料理に向いています。

  • 肉じゃが
  • 筑前煮
  • かぼちゃの煮物
  • 里芋の煮物
  • ひじきの煮物
  • 切り干し大根の煮物

たとえば、肉じゃがに本みりんを使うと、しょうゆ、砂糖、だしの味がまとまりやすくなります。じゃがいもの形を残したいときにも、本みりんの働きが役立ちます。

魚料理では、さばのみそ煮、ぶりの照り焼き、カレイの煮付けなどに使いやすいでしょう。魚の臭みを抑える働きが期待できるほか、照りやツヤが加わり、見た目も整いやすくなります。

照り焼きでは、本みりんを入れるタイミングが大切です。肉や魚にある程度火を通してから、しょうゆや本みりんを合わせたたれを加えると、焦がさず照りを出しやすくなります。

ただし、本みりんを使えば料理が必ず上手に仕上がるわけではありません。煮物では火加減、魚料理では下処理、照り焼きではたれを加えるタイミングも重要です。

煮物や照り焼きなど、家庭でよく作る和食に幅広く使いたい場合は、本みりんが便利です。甘み以外の働きも生かせるため、料理の味と見た目を一緒に整えられます。

和え物・たれにはみりん風調味料が使いやすい

和え物・たれにはみりん風調味料が使いやすい

加熱しない和え物やたれへ甘みを加えたいときは、みりん風調味料が使いやすいでしょう。

みりん風調味料はアルコール分が1%未満のため、本みりんのように煮切ってから使う手間を省きやすい調味料です。忙しい日の副菜や、少量のたれを手早く作りたい場面に向いています。

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプのアルコール分や食塩の違いは、キッコーマン「本みりん、みりん風調味料、みりんタイプの違い」でも確認できます。

みりん風調味料を使いやすい料理には、次のようなものがあります。

  • きゅうりとわかめの酢の物
  • ほうれん草のごま和え
  • 冷ややっこのたれ
  • めんつゆ
  • ドレッシング
  • 納豆のたれ
  • 蒸し鶏のたれ

酢の物を作ったときに酸味が強く感じられる場合があります。みりん風調味料を少量加えると、酸味の角がやわらぎ、食べやすい味に整えられます。

ごま和えでは、砂糖を多く入れると甘さが前に出ることがあります。みりん風調味料を少量ずつ使えば、ごまやしょうゆの風味を見ながら甘さを調整できます。

ただし、みりん風調味料の甘みや酸味は商品によって違います。本みりんと同じ量を入れると甘くなりすぎる場合があるため、最初は少なめに加えてください。

また、みりん風調味料は保存料の役割をする調味料ではありません。手作りしたたれや和え物は、長く保存せず、早めに食べ切りましょう。

みりんタイプは醤油や塩を減らして調整する

みりんタイプは醤油や塩を減らして調整する

みりんタイプを使うときは、しょうゆや塩を最初から全量入れず、少し控えて味を確認しましょう。

みりんタイプには、食塩を含む商品が多いので、本みりんの代わりに同じ量を入れ、しょうゆや塩もレシピどおりに加えると、料理の塩味が強くなる場合があります。

みりんタイプに含まれる食塩量は、商品によって異なります。ボトルの裏側にある原材料欄と栄養成分表示を確認してください。

確認したい表示は、次の2か所です。

確認する場所見る内容
原材料名「食塩」が書かれているか
栄養成分表示大さじ1杯または100ml当たりの食塩相当量

たとえば、4人分の肉じゃがで、しょうゆ大さじ3、みりん大さじ3と書かれているとします。

本みりんの代わりにみりんタイプを使う場合は、しょうゆを最初から大さじ3入れず、大さじ2程度から味を見る方法があります。ただし、しょうゆを減らす量は一律には決められません。みりんタイプの商品ごとに食塩量が違うためです。

みりんタイプを使うときは、次の流れで調整すると失敗しにくくなります。

  1. みりんタイプをレシピの目安量より少なめに入れる
  2. しょうゆや塩も少なめに加える
  3. 少し加熱して味をなじませる
  4. 煮汁を味見する
  5. 足りないしょうゆや塩を少しずつ加える

みそ、めんつゆ、顆粒だし、塩こうじなどにも食塩が含まれています。複数の塩味が重なる料理では、特に注意が必要です

みりんタイプは、食塩を含むことを理解すれば、煮物や炒め物へ使いやすい調味料です。料理初心者は、しょうゆや塩を後から足すつもりで、薄めの味付けから始めましょう。

食塩相当量:食塩相当量とは、食品に含まれるナトリウムの量を、食塩の量に置き換えて示した数値です。商品に含まれる塩分を比べるときの目安になります。

味・手軽さ・価格のどれを優先するかで選ぶ

味・手軽さ・価格のどれを優先するかで選ぶ

3種類のうちどれを選ぶか迷ったときは、味、手軽さ、価格の中で、何を優先したいか考えてみましょう。

本みりんは、味や調理効果を重視する人に向いています。みりん風調味料は、手軽さを優先したい人が使いやすい商品です。みりんタイプは、価格を抑えながら加熱料理に使いたい場合の選択肢になります。

優先したいこと選びやすい種類選ぶ理由
味や香り本みりんコクや香りを加えやすい
煮物の仕上がり本みりん煮くずれ防止や味なじみが期待できる
魚や肉の臭み対策本みりん・みりんタイプアルコールを含む商品が多い
加熱せずに使う手軽さみりん風調味料アルコール分が1%未満
購入価格みりん風調味料・みりんタイプ比較的手頃な商品が多い
塩味を自分で調整したい本みりん基本的に食塩を含まない
短時間の料理みりん風調味料甘みを手早く加えやすい

たとえば、煮物や照り焼きを週に何度も作る家庭では、本みりんを選ぶと使い道が広がります。料理の甘みだけでなく、照りや臭みを抑える働きも期待できるからです。

一方、酢の物や和え物をよく作り、煮切る手間をかけたくない家庭には、みりん風調味料が便利でしょう。少量の甘みを手軽に加えられます。

毎日たくさんの加熱料理を作り、調味料代を抑えたい場合は、みりんタイプも選択肢です。ただし、食塩を含む商品が多いため、味付けの調整が必要になります。

価格だけで商品の良し悪しは決まりません。安い商品には手軽さがあり、高い商品には原材料や製法による特徴があります。

家庭に合う商品を選ぶときは、次の順番で考えると分かりやすくなります。

  1. 普段よく作る料理を思い出す
  2. 加熱料理と非加熱料理のどちらが多いか考える
  3. 味と手軽さのどちらを優先するか決める
  4. 商品のアルコール分と食塩を確認する
  5. 家庭で使い切りやすい容量を選ぶ

3種類の選び方に、全家庭共通の正解はありません。価格だけで決めず、普段作る料理と使いやすさを基準にすると、購入後に余らせにくくなります。

家庭に1本だけ置くなら本みりんが選びやすい

家庭に1本だけ置くなら本みりんが選びやすい

家庭にみりんを1本だけ置くなら、本みりんが選びやすいでしょう。

本みりんは、煮物、照り焼き、丼物、炒め物、炊き込みご飯など、幅広い加熱料理に使えるからです。一般的なレシピに「みりん」と書かれている場合も、本みりんを想定していることが多く、分量を判断しやすくなります。

本みりんを1本置いておくと、次のような定番料理に使えます。

  • 肉じゃが
  • かぼちゃの煮物
  • 親子丼
  • 牛丼
  • 鶏の照り焼き
  • ぶりの照り焼き
  • 魚の煮付け
  • きんぴらごぼう
  • 炊き込みご飯
  • すき焼き

本みりんは基本的に食塩を含まないため、しょうゆや塩の量を自分で調整しやすい点も、料理初心者に向いています。みりんタイプのように、もともとの食塩量を計算しながら使う必要がありません。

たとえば、肉じゃがの味が薄い場合は、しょうゆを少し足せます。反対に、最初から食塩を含むみりんタイプを使うと、しょうゆを加える前に塩味を考える必要があります。

本みりんは、加熱しない料理にそのまま使いにくい点に注意してください。和え物やたれへ使う場合は、必要に応じて煮切ってアルコールを減らします。

また、家庭に1本だけ置くなら、本みりんでなければならないわけではありません。

次のような家庭では、みりん風調味料も選びやすいでしょう。

  • 加熱しない和え物やたれをよく作る
  • 料理を短時間で仕上げたい
  • 煮切る手間を省きたい
  • 本みりんの調理効果を求める料理が少ない

みりんタイプは、加熱料理をたくさん作り、価格を抑えたい家庭に向いています。ただし、食塩量の確認と調味料の調整が必要です。

初めてみりんを買う人や、どれか1本に絞りたい人は、幅広い料理に使えて味付けを調整しやすい本みりんから試すとよいでしょう。普段の料理に合わないと感じた場合は、次にみりん風調味料やみりんタイプを検討すると、自分の家庭に合う商品を見つけやすくなります。

売り場で本みりん・みりん風調味料・みりんタイプを見分ける方法

売り場で本みりん・みりん風調味料・みりんタイプを見分ける方法

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプを見分けるときは、ボトルの色や価格だけで判断せず、裏面の表示を確認しましょう。

最初に見る場所は、「名称」「品名」「種類」などと書かれた欄です。次にアルコール分や「酒類」の表示を確認し、みりんタイプを選ぶ場合は原材料欄の食塩も見ます。

売り場では、次の順番で確認すると迷いにくくなります。

  1. ボトル表面の商品名を見る
  2. 裏面の名称・品名欄を見る
  3. アルコール分と酒類表示を確認する
  4. 原材料欄で食塩や糖類を見る
  5. 栄養成分表示で食塩相当量を確認する

「本みりんのような色をしているから本みりん」とは限りません。見た目ではなく、表示を順番に確認することが大切です。

最初に名称・品名欄を確認する

最初に名称・品名欄を確認する

売り場で3種類を見分けるなら、最初にボトル裏面の「名称」「品名」「種類」などの欄を確認しましょう。

商品名には、「まろやか」「料理用」「コク深」など、味や特徴を伝える言葉が大きく書かれている場合があります。しかし、商品名だけでは、本みりん・みりん風調味料・みりんタイプのどれに当たるのか分かりにくいことがあります。

一方、裏面の表示には、商品の分類を判断しやすい言葉が書かれています。

表示で見つけたい言葉判断しやすい種類
本みりん本みりん
みりん風調味料みりん風調味料
発酵調味料みりんタイプの可能性がある
醸造調味料みりんタイプの可能性がある
みりんタイプみりんタイプ
酒類・みりん本みりん

キッコーマンの公式解説でも、売り場のみりん類は、酒類である本みりん、アルコール分を1%未満に抑えたみりん風調味料、食塩を加えた発酵調味料の3タイプに分けて紹介されています。
参考:キッコーマン「みりんとは」

たとえば、ボトルの表面に「料理用みりん」と大きく書かれていても、裏面には「みりん風調味料」や「発酵調味料」と書かれている場合があります。

料理初心者は、表面の商品名を見たあと、ボトルを裏返して分類を確かめる習慣をつけると安心です。

ただし、「発酵調味料」と書かれた商品がすべて同じみりんタイプとは限りません。料理酒に近い発酵調味料や、みりんと料理酒の特徴を合わせた商品もあります。

発酵調味料と書かれていた場合は、続けて次の表示も確認してください。

  • アルコール分
  • 原材料名
  • 食塩
  • 商品の使用方法
  • 栄養成分表示

名称や品名欄は、商品の正体を確かめる最初の手がかりです。表面の雰囲気だけで選ばず、裏面まで見ると、買いたい種類を見分けやすくなります。

本みりんは「酒類」とアルコール分を確認する

本みりんは「酒類」とアルコール分を確認する

本みりんを選びたいときは、「本みりん」という文字に加えて、「酒類」やアルコール分の表示を確認しましょう。

本みりんは調味料として使われていますが、アルコールを含む酒類でもあります。一般的な本みりんには約14%のアルコールが含まれ、酒税法では「みりん」という種類の酒類に分類されます。

ボトルには、次のような表示が見られます。

  • 本みりん
  • 酒類
  • みりん
  • アルコール分13.5度以上14.5度未満
  • アルコール分約14%

アルコール分の細かな書き方は、商品によって異なります。

売り場で本みりんを見分けるときは、次の3点を確認すると分かりやすいでしょう。

確認する場所見つけたい表示
商品名本みりん
分類表示酒類、みりん
アルコール表示一般に約14%

キッコーマンの比較例では、本みりんのアルコール分は約14%、みりん風調味料は1%未満、みりんタイプは約11%とされています。ただし、数値は同社商品の例であり、すべての商品に共通するわけではありません。
参考:キッコーマン「本みりん、みりん風調味料、みりんタイプの違い」

スーパーによっては、本みりんが調味料売り場に並んでいても、「これはお酒です」と書かれた表示が付いています。国税庁も、調味料売り場にみりんを置く場合は、「これはお酒です」「料理用酒類」などと表示する方法を案内しています。
参考:国税庁「酒類の陳列場所における表示Q&A」

たとえば、同じ棚に次の2本が並んでいるとします。

  • 「本みりん・アルコール分約14%」
  • 「みりん風調味料・アルコール分1%未満」

1本目は酒類の本みりんです。2本目は本みりんに似た甘みを持つ調味料ですが、法律上の酒類ではありません。

本みりんを選ぶときは、商品名だけでなく、「酒類」とアルコール分をセットで確認しましょう。2か所を見るだけでも、みりん風調味料との取り違えを防ぎやすくなります。

みりんタイプは原材料欄の食塩を確認する

みりんタイプは原材料欄の食塩を確認する

みりんタイプを見分けるときは、原材料欄に「食塩」が書かれているか確認しましょう。

みりんタイプは、本みりんのようにアルコールを含みながら、食塩を加えて飲用に適さないようにした商品が多いからです。キッコーマンの公式解説では、みりんタイプは食塩による不可飲処置が行われており、料理では塩味の調整が必要とされています。

原材料欄には、次のような表示が見られます。

ぶどう糖、米発酵調味液、食塩、砂糖

実際にキッコーマンの「みりんタイプ」商品でも、原材料として食塩が表示されています。
参考:キッコーマン「徳用りょうみ~みりんタイプ~」

みりんタイプを購入するときは、次の2か所を見比べると分かりやすくなります。

確認する場所確認する内容
原材料名食塩が使われているか
栄養成分表示食塩相当量がどのくらいか

原材料欄に食塩が書かれていても、入っている量までは分かりません。具体的な量を比べたい場合は、栄養成分表示の食塩相当量を確認します。

食塩相当量は、次のような単位で表示されます。

  • 大さじ1杯当たり
  • 15ml当たり
  • 100ml当たり
  • 100g当たり

商品同士を比べる場合は、同じ量当たりの数値を見ることが大切です。大さじ1杯当たりと100ml当たりでは、数字をそのまま比べられません。

たとえば、レシピに次の分量が書かれているとします。

  • 本みりん:大さじ2
  • しょうゆ:大さじ2

本みりんの代わりにみりんタイプを使い、しょうゆも同じ大さじ2入れると、塩味が強くなる場合があります。

料理初心者は、みりんタイプを使うときに、しょうゆを最初から全量入れない方法がおすすめです。

  1. みりんタイプを加える
  2. しょうゆを少なめに入れる
  3. 少し加熱して味をなじませる
  4. 味見をする
  5. 足りないしょうゆを少しずつ加える

みりんタイプは、価格を抑えながら加熱料理に使いやすい調味料です。食塩を含むことを知っていれば、煮物や炒め物にも無理なく使えます。

みりんタイプを見分けるときは、名称だけで判断せず、原材料欄の「食塩」と栄養成分表示の「食塩相当量」を確認しましょう。

本みりんの糖類入りと糖類不使用の違い

本みりんの糖類入りと糖類不使用の違い

本みりんの原材料欄に「糖類」と書かれていても、みりん風調味料とは限りません。

本みりんには、原材料として糖類を加えた商品と、糖類を加えずに米由来の甘みを引き出した商品があります。どちらも、表示や製造条件を満たしていれば本みりんとして販売されます。

原材料の違いを簡単に整理すると、次のようになります。

本みりんのタイプ原材料表示の例特徴
糖類入りもち米、米、米こうじ、醸造アルコール、糖類味や甘みのバランスを整えやすい
糖類不使用米、もち米、米こうじ、醸造アルコール米や米こうじ由来の甘みを生かす
純米タイプもち米、米こうじ、焼酎または醸造アルコールなど米由来の味や香りを重視した商品が多い

たとえば、キッコーマンの一般的な「マンジョウ本みりん」には、原材料として糖類が使われています。一方、「お米だけのあまさの本みりん」には、米、もち米、米こうじ、醸造アルコールが使われ、原材料欄に糖類はありません。
参考:キッコーマン「マンジョウ本みりん」
参考:キッコーマン「お米だけのあまさの本みりん」

宝酒造にも、糖類を原材料に使う一般的な本みりんと、原材料に糖類を使わない純米タイプがあります。
参考:宝酒造「本みりんよくあるご質問」
参考:宝酒造「タカラ本みりん純米」

ここで注意したいのは、「糖類不使用」と「糖分が含まれていない」は意味が違うことです。

糖類不使用の本みりんでも、米のでんぷんが米こうじの働きによって糖に変わるため、出来上がった本みりんには甘みや糖分があります。

つまり、「糖類不使用」は、原材料として砂糖や水あめなどの糖類を加えていないという意味です。本みりん自体が甘くない、糖質がゼロという意味ではありません。

料理初心者が商品を選ぶときは、次のように考えると分かりやすいでしょう。

  • 普段の煮物や照り焼きに幅広く使いたい:糖類入りを含め、一般的な本みりんで問題ない
  • 米由来の風味を重視したい:糖類不使用や純米タイプを確認する
  • 原材料を少なくしたい:原材料欄を見比べる
  • 甘さを控えたい:糖類不使用という言葉だけで決めず、商品の味や栄養成分も確認する
  • 価格を抑えたい:容量と価格を比べ、使い切れる商品を選ぶ

糖類入りと糖類不使用は、単純な品質の上下を表すものではありません。糖類入りの商品には、甘みや風味を安定させやすい良さがあります。糖類不使用の商品には、米由来の甘みや香りを楽しみやすい特徴があります。

本みりんを選ぶときは、「糖類が入っているから偽物」「糖類不使用だから必ず高品質」と考えないことが大切です。家庭でよく作る料理、味の好み、価格を比べて選びましょう。

糖類不使用:糖類不使用とは、砂糖や水あめなどの糖類を原材料として加えていないという意味です。米のでんぷんから作られた糖まで含まれていない、という意味ではありません。

純米タイプ:純米タイプとは、米由来の原材料を中心に作られた本みりんです。ただし、商品の原材料や「純米」という言葉の使い方はメーカーによって異なる場合があります。購入時は原材料欄を確認してください。

別の種類のみりんで代用できる?

別の種類のみりんで代用できる?

料理の途中でみりんが足りなくなっても、別の種類のみりんや酒と砂糖で代用できる場合があります。

ただし、本みりん・みりん風調味料・みりんタイプには、甘み、アルコール分、食塩の有無に違いがあります。同じ大さじ1でも、料理の甘さや塩味、香りまで同じになるとは限りません。

代用するときは、次の3点を確認しましょう。

  • 甘みが強くなりすぎないか
  • 食塩が加わらないか
  • アルコールを含むか

料理初心者は、代用品を最初から全量入れず、少なめに加えて味を見ると失敗しにくくなります。

本みりんをみりん風調味料で代用する場合

本みりんをみりん風調味料で代用する場合

本みりんがないときは、みりん風調味料で代用できます。

煮物や照り焼きの甘みを整える目的なら、まずはレシピに書かれた本みりんと同じ量を目安に使えます。ただし、みりん風調味料は商品によって甘みが異なるため、少なめから試すほうが安心です。

本みりんとみりん風調味料の大きな違いは、アルコール分にあります。本みりんには一般的に約14%のアルコールが含まれますが、みりん風調味料は1%未満です。

そのため、みりん風調味料で置き換えると、甘みや照りは加えられても、魚や肉の臭みを抑える働きや、味をなじませる働きは本みりんほど期待できません。

キッコーマンの「みりんとは」でも、みりん風調味料は本みりんと製法が異なり、主に糖類などを組み合わせて作られると説明されています。

本みりんからみりん風調味料へ置き換えるときの目安は、次のとおりです。

確認するポイント代用するときの考え方
分量まずは同量より少なめから試す
甘み甘く感じる場合は砂糖を減らす
臭み対策必要に応じて料理酒やしょうがを使う
照りみりん風調味料でも付けられる
加熱商品の使用方法に従う

たとえば、肉じゃがのレシピに次の分量が書かれているとします。

  • 本みりん:大さじ2
  • 砂糖:大さじ1
  • しょうゆ:大さじ2

本みりんの代わりにみりん風調味料を使う場合は、みりん風調味料を大さじ1と1/2程度から入れてみましょう。甘みを確認したあと、必要であれば少しずつ足します。

みりん風調味料の甘みが強い場合は、砂糖を小さじ1ほど減らす方法もあります。ただし、甘さは商品や家庭の好みによって変わるため、一律の分量ではありません。

さばのみそ煮や魚の煮付けでは、みりん風調味料だけでは臭みを抑える働きが足りない場合があります。料理酒、しょうが、長ねぎなどを組み合わせると、魚のにおいを和らげやすくなります。

本みりんは、甘みだけでなく、アルコールによる調理効果も持つ調味料です。みりん風調味料で代用するときは、「甘みは補えても、すべての働きが同じになるわけではない」と覚えておきましょう。

本みりんをみりんタイプで代用する場合

本みりんをみりんタイプで代用する場合

本みりんは、みりんタイプでも代用できます。

みりんタイプはアルコールを含む商品が多いため、加熱料理では本みりんに近い使い方ができます。ただし、食塩を含む商品が多く、しょうゆや塩の量を調整しなければなりません。

本みりんとみりんタイプの違いは、食塩の有無です。

本みりんは基本的に食塩を含みません。一方、みりんタイプは飲用できない調味料にするため、食塩を加えた商品が多くあります。

キッコーマンの「本みりん、みりん風調味料、みりんタイプの違い」でも、みりんタイプには食塩が含まれるため、料理では塩加減の調整が必要と案内されています。

みりんタイプで代用するときは、次の順番で味を整えると分かりやすいでしょう。

  1. みりんタイプをレシピより少なめに入れる
  2. しょうゆや塩を控えめに加える
  3. 少し加熱して味をなじませる
  4. 煮汁やたれを味見する
  5. 足りない調味料を少しずつ足す

たとえば、4人分の煮物に次の分量を使うとします。

  • 本みりん:大さじ3
  • しょうゆ:大さじ3

本みりんをみりんタイプへ替える場合は、みりんタイプを大さじ2〜3程度使い、しょうゆを大さじ2程度から入れて味を見る方法があります。

ただし、「みりんタイプ大さじ3なら、しょうゆを必ず大さじ1減らす」とは決められません。商品によって食塩相当量が異なるためです。

代用前には、ボトルの裏側で次の表示を確認してください。

表示欄確認する内容
原材料名食塩が含まれているか
栄養成分表示大さじ1杯または100ml当たりの食塩相当量
アルコール分どのくらい含まれているか
使用方法加熱が必要か

みそ、めんつゆ、顆粒だし、塩こうじを一緒に使う料理では、塩味が重なりやすくなります。しょうゆだけでなく、料理に入る塩味全体を見ながら調整しましょう。

みりんタイプは、本みりんの代わりとして加熱料理に使いやすい調味料です。料理初心者は、しょうゆや塩を後から足すつもりで、薄めの味付けから始めると失敗しにくくなります。

みりん風調味料を本みりんで代用する場合

みりん風調味料を本みりんで代用する場合

みりん風調味料がないときは、本みりんで代用できます。

煮物や炒め物などの加熱料理なら、本みりんを同じくらいの量から使いやすいでしょう。一方、和え物やたれなどの加熱しない料理では、本みりんに含まれるアルコールへ注意が必要です。

みりん風調味料はアルコール分が1%未満ですが、本みりんには一般的に12〜14%程度のアルコールが含まれます。宝酒造も、本みりんは一般的にアルコール分を12〜14%含むと案内しています。
参考:宝酒造「本みりんのアルコール分について」

加熱料理で代用する場合は、次のように考えます。

料理本みりんへの代用
煮物同量程度から試しやすい
照り焼き同量程度から試しやすい
炒め物加熱時間を確保する
和え物煮切ってから使う方法がある
非加熱のたれ煮切るか、別の甘味料を検討する
ドレッシングアルコールを避けたい場合はそのまま使わない

たとえば、きゅうりとわかめの酢の物に、みりん風調味料小さじ2を使うレシピがあるとします。

本みりんで代用する場合は、本みりんを小鍋などで加熱し、アルコールを減らしてから冷まし、その後、小さじ1程度から加えて甘みを調整するとよいでしょう。

本みりんは、みりん風調味料より甘みが穏やかに感じられる場合があります。甘さが足りないときは、本みりんを多く入れすぎず、砂糖を少量加える方法もあります。

本みりんを増やしすぎると、料理の水分量も増えます。煮物では煮汁が薄くなり、たれではとろみが付きにくくなる場合があるため、甘みだけを補いたいときは砂糖と組み合わせるほうが調整しやすくなります。

本みりんは、加熱料理ならみりん風調味料の代わりに使いやすいでしょう。加熱しない料理では、アルコール分を考え、煮切るか別の調味料を選んでください。

煮切る:煮切るとは、本みりんや酒を加熱してアルコールを減らすことです。加熱しても条件によってアルコールが残る場合があるため、完全にゼロになるとは限りません。

酒と砂糖でみりんの代用はできる?

酒と砂糖でみりんの代用はできる?

本みりんがないときは、酒と砂糖を組み合わせて代用できます。

酒でアルコールを、砂糖で甘みを補えるため、煮物や照り焼きなどの味付けに使いやすい方法です。ただし、本みりんに含まれる複数の糖類やうま味成分までは再現できません。

キッコーマンの「みりん問答集」でも、本みりんの代わりとして酒類と甘みのある調味料を使えるものの、本みりんとまったく同じ調理効果にはならないと説明されています。

料理初心者が試しやすい目安は、次の組み合わせです。

本みりんの分量酒と砂糖で代用する目安
小さじ1酒小さじ1+砂糖ひとつまみ程度
大さじ1酒大さじ1+砂糖小さじ1程度
大さじ2酒大さじ2+砂糖小さじ2程度
大さじ3酒大さじ3+砂糖大さじ1程度

上の分量は、あくまで試しやすい目安です。酒や料理の種類、使う砂糖、家庭の好みによって甘みは変わります。

たとえば、肉じゃがに本みりん大さじ2を使う予定だった場合は、次のように置き換えられます。

  • 酒:大さじ2
  • 砂糖:小さじ2程度

料理に別の砂糖も入る場合は、砂糖の合計量を見ながら調整してください。

酒と砂糖で代用するときは、酒の種類にも注意が必要です。

使用する酒注意点
日本酒・清酒食塩を含まない商品が多く、調整しやすい
料理用清酒商品によって食塩の有無が異なる
料理酒食塩を含む商品が多いため、しょうゆや塩を調整する
塩分を含む発酵調味料料理全体の塩味を確認する

「料理酒」という名前でも、すべての商品に同じ量の食塩が入っているわけではありません。原材料欄と食塩相当量を確認しましょう。

また、酒と砂糖では、本みりん特有のやわらかな甘みや照り、コクをそのまま再現できません。全国味淋協会も、本みりんは複数の糖類やうま味成分を含むため、清酒と糖類だけでは同じ働きを代用できないと説明しています。
参考:全国味淋協会「本みりんの知識」

酒と砂糖は、本みりんがないときの応急的な代用品として便利です。本みりんと同じ味を目指すのではなく、甘みと酒の働きを補う方法として使いましょう。

ひとつまみとは、親指、人差し指、中指の3本でつまんだ量です。砂糖ではおよそ小さじ1/5〜1/4程度が目安ですが、指の大きさによって変わります。

3種類を同じ分量で置き換えても同じ味にはならない

3種類を同じ分量で置き換えても同じ味にはならない

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、同じ大さじ1で置き換えても、まったく同じ味にはなりません。

3種類には、甘み、アルコール分、食塩、酸味、香りなどの違いがあるからです。

同じ分量で代用したときに起こりやすい変化をまとめると、次のようになります。

置き換え方起こりやすい変化
本みりん→みりん風調味料甘く感じる場合がある
本みりん→みりんタイプ塩味が強くなる場合がある
みりん風調味料→本みりん甘みが弱く感じる場合がある
みりん風調味料→本みりん非加熱料理でアルコールが残る
本みりん→酒と砂糖コクや照りが変わる

たとえば、照り焼きのレシピに本みりん大さじ2と書かれている場合、みりん風調味料をそのまま大さじ2入れると、商品によっては甘みが強くなる可能性があります。

みりんタイプを大さじ2入れた場合は、食塩も加わります。しょうゆをレシピどおり入れると、甘辛いというより、塩辛い仕上がりになるかもしれません。

代用で失敗しにくくするためには、次の順番がおすすめです。

  1. 代用品をレシピの7〜8割程度から入れる
  2. ほかの砂糖、しょうゆ、塩を少なめにする
  3. 少し加熱して味をなじませる
  4. 煮汁やたれを味見する
  5. 足りない調味料を少量ずつ加える

ただし、生の肉や魚に触れた調味液は、そのまま味見しないでください。食材へ火が通り、煮汁も十分に加熱された状態で確認します。

料理は、調味料を足すことはできても、入れすぎた甘みや塩味を元に戻すのは難しいものです。代用するときは「少なめに入れて、後から足す」と覚えておきましょう。

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、互いに代用できますが、同じ調味料ではありません。甘み、アルコール、食塩の違いを確認し、料理の味を見ながら調整することが大切です。

みりんを入れるタイミングと煮切り方

みりんを入れるタイミングと煮切り方

みりんは、料理によって入れるタイミングを変えると、甘みや香り、照りを生かしやすくなります。

煮物では、味をなじませたい本みりんを調理の前半から途中に加えるのが基本です。照り焼きでは、焦げを防ぎながらツヤを出すため、仕上げにたれとして加える方法が向いています。

和え物やたれなど、加熱しない料理に本みりんを使う場合は、先に加熱してアルコールを減らす「煮切り」を行いましょう。

料理みりんを入れる目安主な目的
煮物調理の前半から途中味をなじませる、臭みを抑える
魚の煮付け煮汁を作る段階臭みを抑え、照りを付ける
照り焼き肉や魚に火が通ってから焦げを防ぎ、照りを出す
炒め物仕上げに近い段階甘みやツヤを加える
和え物・たれ煮切って冷ましてからアルコールを減らして使う

ただし、レシピによって調味料を入れる順番は異なります。作り慣れていない料理では、まずレシピに書かれた手順を優先してください。

レシピによって調味料を入れる順番は異なりますが、和食の基本的な考え方として料理の「さしすせそ」の意味と調味料を入れる順番を知っておくと、砂糖・塩・酢・しょうゆ・味噌との関係も理解しやすくなります。作り慣れていない料理では、基本を参考にしながらレシピに書かれた手順を優先してください。

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煮物では調理の前半から途中に入れる

煮物では調理の前半から途中に入れる

煮物に本みりんを使う場合は、調理の前半から途中に加えると、味や香りを料理全体になじませやすくなります。

本みりんを早めに入れる理由は、本みりんに含まれるアルコールの働きを生かしやすいからです。アルコールには、魚や肉の臭みを抑えたり、調味料の味をなじませたりする働きが期待できます。

宝酒造の「本みりんよくあるご質問」でも、本みりんを最初に入れると、臭みを抑える、煮くずれを防ぐ、味をなじませるといった働きを生かしやすいと紹介されています。

ただし、煮物ではすべての調味料を最初から一度に入れればよいわけではありません。

しょうゆやみそを早く入れすぎると、食材によっては表面の味が濃くなり、やわらかくなるまでに時間がかかる場合があります。香りを残したいみそは、仕上げに近い段階で加える料理もあります。

料理別の目安は次のとおりです。

料理本みりんを入れるタイミング
肉じゃがだしと具材を煮たあと、しょうゆより少し前か同じ頃
筑前煮具材を炒め、だしを加えたあと
魚の煮付け魚を入れる前に煮汁へ加える
さばのみそ煮酒やみりんを含む煮汁で煮て、みそは後から加える
かぼちゃの煮物煮汁を作る段階

たとえば、さばのみそ煮では、酒や本みりんを含む煮汁でさばを煮てから、みそを加えて仕上げる方法があります。キッコーマンの公式レシピでも、酒・みりん・しょうゆを含む煮汁で味をなじませ、みその香りを残すために後からみそを加えています。
参考:キッコーマン「さばのみそ煮」

一方、かぼちゃやじゃがいもなどをやわらかく煮たい場合は、具材へ少し火が通ってから調味料を加える方法もあります。食材の種類やレシピによって、最適な順番は変わります。

照り焼きでは仕上げにも使える

照り焼きでは仕上げにも使える

照り焼きでは、肉や魚にある程度火を通してから、本みりんを含むたれを加えると失敗しにくくなります。

本みりんには糖類が含まれるため、加熱すると照りや焼き色が付きやすくなります。一方、糖分を含むたれを早く入れすぎると、食材の中まで火が通る前に表面だけが焦げる場合があります。

料理初心者は、「先に焼く、あとからたれを絡める」と覚えると分かりやすいでしょう。

照り焼きの基本的な流れは次のとおりです。

  1. 肉や魚の表面を焼く
  2. 中まで火を通す
  3. フライパンの余分な脂や水分を拭く
  4. 本みりん、しょうゆなどを合わせたたれを加える
  5. 弱めの中火で煮詰めながら絡める
  6. 表面にツヤが出たら火を止める

たとえば、鶏の照り焼きでは、鶏肉を皮目から焼きます。鶏肉に火が通ってからたれを入れると、皮の香ばしさを残しながら照りを付けられます。

ぶりの照り焼きでも、ぶりを先に焼いてからたれを加えます。全国味淋協会の公式レシピでは、最後にたれを煮詰め、表面に照りが出たところで仕上げています。
参考:全国味淋協会「ぶりの照り焼き」

照り焼きのたれがなかなか絡まない場合は、次の点を確認してください。

  • 食材から出た水分がフライパンに残っていないか
  • 火が弱すぎないか
  • たれの量が多すぎないか
  • 煮詰める前に火を止めていないか

反対に、たれが焦げそうな場合は、すぐに火を弱めます。フライパンを軽く動かしながら絡めると、同じ場所だけが焦げるのを防ぎやすくなります。

本みりんは、料理の前半だけでなく、照りや香りを加えたい仕上げにも使えます。照り焼きでは、食材へ火を通してからたれを加え、焦がさないように短時間で絡めましょう。

加熱しない料理に本みりんを使う場合は煮切る

加熱しない料理に本みりんを使う場合は煮切る

和え物やたれなど、加熱しない料理に本みりんを使う場合は、あらかじめ煮切る方法があります。

本みりんには一般的にアルコールが含まれているため、加熱せずに使うと、酒のような香りや刺激を感じる場合があります。煮切るとアルコールが減り、本みりんの甘みやコクを生かしやすくなります。

宝酒造も、和え物など熱を加えずに使う料理では、本みりんをあらかじめ加熱して煮切ることを案内しています。
参考:宝酒造「本みりんは加熱せずに使えますか」

煮切りみりんを使いやすい料理には、次のようなものがあります。

  • 酢の物
  • ごま和え
  • 白和え
  • 冷ややっこのたれ
  • そうめんやそばのつゆ
  • ドレッシング
  • 漬けだれ
  • マスタードソース

酢の物に煮切りみりんを加えると、酢の強い酸味がやわらぎ、砂糖だけでは出しにくいコクも加わります。

蒸し鶏や豚しゃぶのたれにも使いやすいでしょう。全国味淋協会の公式レシピでは、本みりんを煮切ってから、ほかの調味料と混ぜる方法が紹介されています。
参考:全国味淋協会「ゆで豚肉のおろし和え」

煮切った本みりんは、熱いまま生野菜や生ものへ加えないでください。料理が温まり、水分が出たり、食感が変わったりする場合があります。粗熱を取ってから、ほかの材料と混ぜましょう。

また、加熱によってアルコールは減りますが、調理条件によっては残る可能性があります。アルコールを避ける必要がある場合は、みりん風調味料など、アルコール分の少ない商品を選ぶ方法もあります。

加熱しない料理に本みりんを使うなら、先に煮切り、冷ましてから加えると扱いやすくなります。本みりんの甘みとコクを生かしながら、酒のような香りを抑えられます。

煮切り:煮切りとは、本みりんや酒を加熱して、アルコールを減らす調理方法です。アルコールを完全にゼロにすることを保証する方法ではありません。

鍋で本みりんを煮切る方法

鍋で本みりんを煮切る方法

本みりんを丁寧に煮切りたいときは、小さめの鍋を使う方法が分かりやすく、安全に加熱しやすいでしょう。

鍋で加熱すると、沸騰の様子や量の減り方を目で確認できます。少量のたれに使う場合は短時間で済み、みりんシロップのように煮詰めたい場合は、好みの濃さまで調整できます。

基本的な煮切り方は次のとおりです。

  1. 必要な量の本みりんを小鍋へ入れる
  2. 換気扇を回す
  3. 弱火から中火にかける
  4. 沸いてきたら火を少し弱める
  5. 酒のような強い香りがやわらぐまで加熱する
  6. 火を止め、粗熱を取る

少量を煮切るときは、鍋底が広すぎる鍋を避けましょう。本みりんが薄く広がり、短時間で蒸発したり焦げたりする場合があります。

鍋の大きさは、本みりんの量に合わせて選びます。

本みりんの量選びやすい容器
大さじ1〜3小さなミルクパンや小鍋
50〜100ml直径の小さい片手鍋
100ml以上吹きこぼれにくい深めの鍋

煮切りみりんを甘いソースやシロップとして使う場合は、半量程度まで煮詰める方法もあります。キッコーマンや全国味淋協会の公式レシピでも、本みりんを半量ほどになるまで煮詰め、冷まして使用する例があります。
参考:キッコーマン「ゆず茶」

ただし、和え物やたれに使うだけなら、必ず半量まで煮詰める必要はありません。煮詰めるほど甘みが濃くなり、出来上がる量も減ります。

本みりんはアルコールを含むため、加熱中に鍋をのぞき込まないでください。顔を近づけると、熱い蒸気でやけどをするおそれがあります。

また、火を近づけてアルコールへ着火する方法は、家庭では避けましょう。コンロの火が鍋へ移る可能性があり、安全に消火できない場合があります。

鍋で煮切るときは、小鍋でゆっくり加熱し、沸騰と香りの変化を確認します。用途に合わせて、軽く加熱するか、半量程度まで煮詰めるかを選びましょう。

電子レンジで煮切るときの注意点

電子レンジで煮切るときの注意点

少量の本みりんを煮切るなら、電子レンジを使う方法もあります。ただし、吹きこぼれとやけどに注意が必要です。

電子レンジでは、本みりんが短時間で熱くなります。小さすぎる容器を使うと、沸騰した本みりんが一気にあふれる場合があります。

電子レンジで煮切るときは、次の手順を目安にしてください。

  1. 本みりんを大きめの耐熱容器へ入れる
  2. ラップをかけずに電子レンジへ入れる
  3. 短い時間から加熱する
  4. 沸騰の様子を確認する
  5. 足りない場合は10秒ずつ追加加熱する
  6. 容器を慎重に取り出す
  7. 粗熱を取ってから料理へ使う

全国味淋協会の公式レシピには、本みりんを電子レンジ600Wで30〜40秒加熱して煮切る例があります。宝酒造の公式レシピでも、大さじ1程度の本みりんを600Wで約40秒加熱しています。
参考:全国味淋協会「ゆで豚肉のおろし和え」
参考:宝酒造「黄身漬けまぐろの手まり寿司」

ただし、30〜40秒という時間は、すべての分量や電子レンジに共通するものではありません。加熱時間は、本みりんの量、容器の形、電子レンジの出力によって変わります。

注意するポイント理由
大きめの耐熱容器を使う沸騰時の吹きこぼれを防ぎやすい
ラップをかけない蒸気を外へ逃がしやすい
短時間ずつ加熱する加熱しすぎや焦げを防ぐ
取り出すときに顔を近づけない熱い蒸気によるやけどを防ぐ
容器をすぐに触らない容器自体が高温になる場合がある
冷ましてから使う生野菜や生ものへの熱の影響を抑える

電子レンジの中で本みりんが沸騰していても、扉を開けた直後は静かに見える場合があります。容器を動かした瞬間に再び大きく沸くこともあるため、ゆっくり取り出してください。

本みりんを多く煮切る場合は、電子レンジより鍋のほうが状態を確認しやすくなります。電子レンジは、大さじ1〜2程度の少量を手早く加熱したい場合に向いています。

電子レンジで煮切るときは、大きめの耐熱容器を使い、短時間ずつ様子を見ながら加熱しましょう。決められた秒数だけに頼らず、本みりんの量と電子レンジの出力に合わせることが大切です。

みりんの保存方法

みりんの保存方法

みりんは、種類に合った場所で保存すると、味や香りを保ちやすくなります。

未開封の商品は、直射日光や高温を避けて保存するのが基本です。開封後は、本みりんなら冷暗所、みりん風調味料なら冷蔵庫を指定する商品が多く見られます。

ただし、「本みりんは必ず常温」「みりん風調味料はすべて冷蔵」と一律には決められません。商品ごとに原材料や容器が異なるため、最終的にはボトルに書かれた保存方法を優先しましょう。

保存するときに迷ったら、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

  1. ボトルの「保存方法」を見る
  2. 「開栓後要冷蔵」などの注意書きを探す
  3. キャップをしっかり閉める
  4. コンロや窓の近くを避ける
  5. 味やにおいに異常がないか確認する

みりんは、開封した日をボトルに書いておくと管理しやすくなります。使用頻度が少ない家庭では、使い切れる小さめの容量を選ぶ方法もおすすめです。

未開封は直射日光と高温を避けて保存する

未開封は直射日光と高温を避けて保存する

未開封のみりんは、直射日光が当たらず、温度変化の少ない場所で保存しましょう。

光や高温の影響を受けると、みりんの色や香りが変化しやすくなるからです。未開封であっても、日当たりのよい窓辺や熱くなるコンロの近くは保存場所に向きません。

家庭では、次のような場所が候補になります。

保存場所向いているか
扉付きの食品棚向いている
床下収納条件によって向いている
シンク下条件による
コンロの横向いていない
窓辺向いていない
暖房器具の近く向いていない

たとえば、調味料をすぐ使えるように、コンロの横へまとめて置いている家庭もあるでしょう。料理中には便利ですが、コンロの周辺は加熱するたびに温度が上がります。

みりんは毎日使う調味料であっても、火元から少し離れた扉付きの棚へ置くほうが安心です。使うときだけ取り出す形にすると、光や熱の影響を受けにくくなります。

オエノングループの「みりん・調味料についてのよくあるご質問」でも、本みりんやみりん風調味料は、温度変化の少ない冷暗所に置き、光、高温、強いにおいを避けるよう案内されています。

未開封の賞味期限は、表示された方法で保存した場合に、おいしく使える期限の目安です。賞味期限を確認するときは、日付だけでなく、近くに書かれた保存条件も一緒に見ましょう。

未開封のみりんは、日が当たらず、熱くなりにくい場所で保存するのが基本です。料理で使いやすい場所だけでなく、みりんの風味を守れる場所を選んでください。

開封後は商品ラベルの保存方法を優先する

開封後は商品ラベルの保存方法を優先する

開封後のみりんは、ボトルに書かれた保存方法を最優先にしてください。

同じ本みりんやみりん風調味料でも、原材料、アルコール分、容器の構造などが商品によって異なるからです。インターネットで見た一般的な保存方法より、手元の商品に書かれた案内のほうが直接当てはまります。

ボトルでは、次のような表示を探しましょう。

  • 開栓後要冷蔵
  • 開栓後は冷蔵庫に保存
  • 開栓後は冷暗所に保存
  • 開栓後は早めに使用
  • キャップをしっかり閉めて保存

保存方法の表示は、原材料欄や栄養成分表示の近くに書かれていることが多くあります。文字が小さい場合は、スマートフォンで撮影して拡大すると読みやすくなるでしょう。

種類ごとの一般的な傾向は、次のとおりです。

種類開封後の保存傾向
本みりん冷暗所を指定する商品が多い
みりん風調味料冷蔵を指定する商品が多い
みりんタイプ商品によって異なる

宝酒造の「本みりんの保存方法」では、本みりんは直射日光を避けた冷暗所で保存し、冷蔵庫でなくてもよいと案内されています。

一方、開栓後に使い切る期間も商品や保存状態によって変わります。宝酒造では、開栓後の本みりんについて、キャップをしっかり閉めて冷暗所に置き、1〜2カ月を目安に使い切ることを勧めています。
参考:宝酒造「本みりんは、開封後の賞味期限はどのくらいですか?」

ただし、1〜2カ月はすべての本みりんに共通する期限ではありません。保存場所、注ぎ口の清潔さ、使用頻度などによって状態が変わるため、商品ラベルやメーカーの案内を優先しましょう。

開封後は、次のような扱いも大切です。

  • 使用後はすぐにキャップを閉める
  • ぬれた計量スプーンをボトルへ入れない
  • 注ぎ口へ食材や調味料を触れさせない
  • コンロからの蒸気や油がかからない場所へ戻す
  • 開封日をボトルへ書いておく

保存期間の目安内であっても、異常を感じた場合は使用を控えてください。

確認したい変化は次のとおりです。

  • いつもと違う強いにおい
  • 白い結晶とは異なる不自然な濁り
  • 浮遊物やカビのようなもの
  • 容器の膨らみ
  • 明らかな味の変化

開封後のみりんは、種類だけで保存方法を決めず、商品ラベルを確認することが大切です。保存場所と使い切る期間の両方を確認すると、家庭でも管理しやすくなります。

みりん風調味料は開封後要冷蔵の商品が多い

みりん風調味料は開封後要冷蔵の商品が多い

みりん風調味料は、開封後に冷蔵庫で保存するよう案内された商品が多くあります。

みりん風調味料はアルコール分が1%未満で、本みりんほどアルコールによる保存性を期待できないからです。開封後に常温で置き続けると、味や香りが変わったり、品質が低下したりする可能性があります。

オエノングループの公式Q&Aでも、みりん風調味料はアルコール分をほとんど含まないため、開栓後は冷蔵庫に保存し、早めに使うよう案内されています。

本みりんとの保存方法の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目本みりんみりん風調味料
アルコール分一般に約14%1%未満
開封後の保存傾向冷暗所の商品が多い冷蔵指定の商品が多い
冷蔵したとき糖が白く結晶化する場合がある商品表示に従って冷蔵する
使用時の注意キャップをしっかり閉める冷蔵庫へ戻し、早めに使う

たとえば、夕食の支度でみりん風調味料を使ったあと、しょうゆや油と一緒に調味料棚へ戻してしまうことがあります。

ボトルに「開栓後要冷蔵」と書かれている場合は、使用後すぐに冷蔵庫へ戻してください。ドアポケットは出し入れしやすいものの、開閉のたびに温度が変わります。商品に特別な指定がなければ、冷蔵庫内の安定した場所へ置く方法もあります。

みりん風調味料を忘れずに冷蔵するためには、次の工夫が役立ちます。

  • 開封した日に「冷蔵」とボトルへ書く
  • 冷蔵庫の同じ場所へ戻す
  • 家族にも冷蔵保存だと伝える
  • 大容量を買いすぎない
  • 開封日をマスキングテープへ書いて貼る

ただし、すべてのみりん風調味料について、同じ保存条件が指定されているとは限りません。保存方法は、必ず手元のボトルで確認しましょう。

みりん風調味料は、開封後に冷蔵が必要な商品が多い調味料です。本みりんと同じ感覚で調味料棚へ戻さず、商品ラベルを確認してから保存場所を決めてください。

色が濃くなったみりんは使える?

色が濃くなったみりんは使える?

本みりんの色が少し濃くなっただけなら、すぐに傷んだとは限りません。

本みりんには糖とアミノ酸が含まれており、時間の経過や温度の影響によって、少しずつ色が濃くなることがあります。保存場所の温度が高いほど、色の変化は進みやすくなります。

キッコーマンの「本みりんの色が濃い茶色になりましたが、使っても大丈夫ですか」では、色が濃い茶色になっても、品質や調理効果には問題がないと案内されています。

色の変化を見るときは、色だけで判断せず、ほかの状態も合わせて確認しましょう。

みりんの状態考え方
少し茶色が濃くなった時間や温度による変化の可能性がある
冷蔵後に白い粒が沈んだ糖の結晶である可能性がある
キャップに白い固まりが付いた糖やエキス分が結晶化した可能性がある
不自然な濁りや浮遊物がある使用を控え、メーカーへ確認する
いつもと違う異臭がある使用を控える
容器が膨らんでいる使用しないほうが安全

たとえば、購入したときは薄い琥珀色だった本みりんが、数カ月後に濃い茶色になることがあります。色が濃くなっていても、保存状態がよく、においや味に異常がなければ、時間の経過による変化の可能性があります。

一方、みりん風調味料やみりんタイプは、原材料や保存条件が本みりんと異なります。「本みりんは色が濃くなっても使える」という案内を、すべての商品へそのまま当てはめないでください。

判断に迷う場合は、次の情報を用意してメーカーへ問い合わせると確認しやすくなります。

  • 商品名
  • 賞味期限
  • 開封した時期
  • 保存していた場所
  • 色やにおいの変化
  • 容器の状態

本みりんは、時間や温度の影響で色が濃くなる場合があります。色だけで捨てる必要はありませんが、異臭、不自然な濁り、浮遊物なども見て、少しでも不安があれば使用を控えましょう。

注ぎ口に固まりができたときの対処法

注ぎ口に固まりができたときの対処法

本みりんの注ぎ口に白い固まりが付いても、糖やエキス分が固まったものであれば、品質に問題がない場合があります。

本みりんを注いだあと、注ぎ口に残った液体からアルコールや水分が蒸発すると、糖などの成分が白く固まることがあるからです。

宝酒造の公式Q&Aでも、本みりんの注ぎ口に付いた液体からアルコールと水分が蒸発し、残ったエキス分が白く結晶化する場合があると説明されています。

注ぎ口の固まりに気づいたら、次のように対処しましょう。

  1. ボトルのキャップを閉める
  2. 注ぎ口の外側を清潔な布やキッチンペーパーで拭く
  3. 固まりが取れにくい場合は、ぬるま湯で湿らせた布で外側を拭く
  4. 水分を乾いた清潔な布で拭き取る
  5. 注ぎ口が乾いてからキャップを閉める

固まりをボトルの中へ押し戻すのは避けてください。手や布に付いた汚れが中へ入る可能性があります。

キャップが固まって開かなくなった場合は、キャップ部分をぬるめのお湯で温める方法があります。オエノングループの「みりん・調味料についてのよくあるご質問」では、キャップ部分をお湯に浸すと、固まった糖が溶けて開けやすくなると案内されています。

キャップを温める場合は、次の点に注意してください。

  • 容器全体を熱湯へ入れない
  • やけどするほど熱いお湯を使わない
  • キャップの内側へ水を入れない
  • 温めたあとに外側の水分をよく拭く
  • 無理な力でキャップを回さない

注ぎ口が固まるのを防ぐには、使用後のひと手間が役立ちます。

  • 注ぎ終わったら液だれを拭く
  • ボトルを傾けたまま長く置かない
  • キャップの溝に液体を残さない
  • キャップをまっすぐ閉める
  • 使用後は決められた保存場所へ戻す

本みりんを冷蔵庫へ入れると、ボトルの中に白い沈殿ができる場合もあります。キッコーマンは、冷蔵によって糖が白く結晶化することがあるものの、品質には問題がないと案内しています。
参考:キッコーマン「本みりんの保存方法について」

ただし、白い固まりがすべて糖の結晶とは限りません。緑色や黒色の変色、ふわふわしたもの、異臭などがある場合は、カビや汚れの可能性も考えられます。判断が難しいときは使用を控え、メーカーへ問い合わせてください。

シュガーセメント:シュガーセメントとは、注ぎ口に残った糖分が乾いて固まり、キャップを開けにくくする状態の呼び方です。使用後に注ぎ口を拭くと防ぎやすくなります。

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプに関するよくある質問

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプに関するよくある質問

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、アルコール分や食塩の有無が異なります。レシピに書かれた「みりん」の種類や、加熱せず使えるか迷ったときは、次の回答を参考にしてください。

レシピに「みりん」と書いてある場合はどれを使う?

特に指定がなければ、本みりんを使うと分量どおりに作りやすいでしょう。みりん風調味料やみりんタイプでも代用できますが、甘みや食塩量を調整してください。

本みりんと料理酒・日本酒の違いは?

本みりんは、料理に甘み、コク、照りを加える調味料です。料理酒や日本酒は、主に魚や肉の臭みを抑えたり、料理にうま味を加えたりするために使います。料理酒には食塩を含む商品もあるため、原材料欄を確認しましょう。

子どもの料理に本みりんを使ってもよい?

十分に加熱する料理には使えますが、アルコールの残り方は加熱時間や料理によって異なります。加熱しない料理では本みりんを煮切るか、みりん風調味料を選ぶと安心です。

参考:宝酒造「子どもが食べる料理に本みりんを使っても大丈夫ですか」

本みりんはそのまま飲める?

本みりんは酒類ですが、調味料として作られた商品です。そのまま飲むことはおすすめできません。20歳未満の人や運転前の人は飲まないでください。

みりん風調味料は加熱せずに使える?

みりん風調味料はアルコール分が1%未満のため、和え物やたれなどに加熱せず使える商品が多くあります。使用方法は商品ラベルを確認してください。

みりんタイプはそのまま使える?

みりんタイプはアルコールを含む商品が多いため、基本的には加熱料理へ使いましょう。食塩も含まれるため、しょうゆや塩を少なめにして味を調整してください。

参考:キッコーマン「本みりん、みりん風調味料、みりんタイプの違い」

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いまとめ

本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いまとめ

この記事では、本みりん・みりん風調味料・みりんタイプの違いについて、原材料やアルコール分、食塩の有無、料理への働き、使い分け、代用方法、保存方法まで紹介しました。

3種類は見た目がよく似ていますが、同じ調味料ではありません。本みりんはアルコールを含む酒類で、煮物や魚料理、照り焼きなどの加熱料理に幅広く使えます。甘みを加えるだけでなく、コクや照りを出したり、魚や肉の臭みを抑えたりする働きも期待できる点が特徴です。

みりん風調味料はアルコール分が1%未満で、和え物やたれなど、加熱しない料理にも使いやすく作られています。みりんタイプはアルコールを含む商品が多い一方で、食塩も加えられているため、しょうゆや塩の量を調整する必要があります。

特に覚えておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 家庭に1本だけ置くなら、幅広い加熱料理に使える本みりんが選びやすい
  • 加熱しない和え物やたれには、みりん風調味料が使いやすい
  • みりんタイプを使うときは、原材料欄の食塩と食塩相当量を確認する
  • 本みりんは「発酵」よりも、米こうじの働きによる糖化・熟成で作られると考えると分かりやすい
  • 本みりん・みりん風調味料・みりんタイプは、同じ量で置き換えても同じ味にはならない
  • 本みりんを加熱しない料理に使う場合は、煮切ってから冷まして使う方法がある
  • 保存方法は種類だけで判断せず、商品ラベルの表示を優先する
  • 色が濃くなったり白い結晶ができたりしても、すぐに傷んだとは限らない

スーパーで見分けるときは、ボトル表面の商品名だけでなく、裏面の名称・品名、アルコール分、原材料、食塩相当量を確認しましょう。「本みりん風」などの印象だけで選ばず、表示を順番に見ると間違いにくくなります。

また、3種類にはそれぞれ得意な使い方があります。本みりんが常に優れているわけではなく、手軽さを求めるならみりん風調味料、価格を抑えながら加熱料理に使いたいならみりんタイプも選択肢になります。

大切なのは、価格だけで選ぶのではなく、普段よく作る料理や使い方に合う商品を選ぶことです。3種類の違いを知っておくと、売り場で迷いにくくなり、料理の甘みや塩味も調整しやすくなるでしょう。