砂糖の種類と違いを簡単解説！料理がおいしくなる上手な使い分け

砂糖には見た目の色や粒の大きさだけでなく、製法や原料、風味や溶け方にもそれぞれ違いがあります。そしてその違いは、料理やお菓子の仕上がりにも大きく関わってきます。

この記事では、砂糖の基本的な種類から、それぞれの特徴、料理やお菓子に合った使い分け方まで、初心者でもわかるように丁寧に解説します。また、「砂糖は体に悪いの？」といった素朴な疑問にもやさしく答えていきます。

砂糖は大きく2つに分類される

砂糖とひとことで言っても、実は作り方によって大きく2つの種類に分かれます。それが「含蜜糖（がんみつとう）」と「分蜜糖（ぶんみつとう）」です。この分類を知っておくと、料理やお菓子作りで砂糖を使い分ける際にとても役立ちます。

砂糖の原料

砂糖の主な原料は「サトウキビ」と「甜菜（てんさい）」の2つです。

どちらも糖分を多く含んでいるため、砂糖の原料として優れていますが、風味や色、ミネラルの含有量に違いがあります。

砂糖は、サトウキビやてんさいといった植物から取れる天然の糖分を使って作られています。原料によって風味や性質が少し異なるため、好みや使い道で選ぶことができます。

砂糖は含蜜糖と分蜜糖に分類される

砂糖は「含蜜糖（がんみつとう）」と「分蜜糖（ぶんみつとう）」の2種類に大きく分けられます。

この2つの違いは、製造工程にあります。

砂糖の種類を大きく分けるポイントは「糖蜜を残すか取り除くか」です。これによって風味や栄養価、色に違いが生まれます。

砂糖を選ぶ際は、糖蜜を含むかどうかを基準にすると、料理やお菓子作りの目的に合ったものが選びやすくなります。色や風味の違いは、製造工程によって自然に生まれる結果なのです。

砂糖の種類ごとの違いと特徴まとめ

砂糖には、見た目や甘さの強さだけでなく、製法や用途に応じてさまざまな種類があります。ここではそれぞれの砂糖の特徴と違いをやさしく解説します。

砂糖の種類	色	甘さの特徴	主な用途	製法
上白糖	白	まろやかでくせがない	和食全般、煮物	分蜜糖
グラニュー糖	白	すっきりした甘さ	洋菓子、コーヒー	分蜜糖
三温糖	薄茶色	コクのある甘さ	照り焼き、煮魚	分蜜糖
氷砂糖	透明	すっきりした甘さ	果実酒、漬け込み	分蜜糖
ザラメ	透明	強めの甘さ	綿菓子、カステラ	分蜜糖
粉糖	白	軽い甘さ	焼き菓子など	分蜜糖
角砂糖	白	標準的な甘さ	コーヒー・紅茶	分蜜糖
黒糖	濃い茶色	濃厚な甘さ	沖縄料理、お菓子	含蜜糖
きび糖	薄茶色	やさしい甘さ	日常料理	含蜜糖
てんさい糖	薄茶色	やさしい甘さ	健康志向の料理	含蜜糖
中ざら糖	薄茶〜茶色	カラメル風味の甘さ	佃煮、照り煮	分蜜糖
和三盆	クリーム色	上品な甘さ	和菓子、高級菓子	含蜜糖

上白糖・グラニュー糖・三温糖など定番砂糖の特徴

定番の砂糖は上白糖・グラニュー糖・三温糖は、スーパーなどで最も見かける砂糖で、料理やお菓子作りに幅広く使える万能型です。

上白糖・グラニュー糖・三温糖はクセが少なく使い勝手の良いこれらの砂糖は、料理初心者にも安心して使える基本の砂糖です。

氷砂糖・ザラメ・粉糖・角砂糖など加工された砂糖

加工された砂糖は、溶け方や形の違いによって特定の用途に特化しています。

形や結晶の大きさによって、使いどころが変わるのが加工砂糖です。目的に応じた選択が必要です。

黒糖・きび糖・てんさい糖などミネラル豊富な砂糖

ミネラルを多く含む自然派の砂糖は、健康を意識する人ややさしい甘さを好む人に向いています。

黒糖・きび糖・てんさい糖は糖蜜を残した含蜜糖と呼ばれる砂糖です。

味と健康のバランスを重視するなら、ミネラルを多く含む砂糖が選ばれる傾向にあります。

中ざら糖：カラメル風味の濃厚さの魅力

中ざら糖は、甘さに加えて独特の香ばしさを楽しめる砂糖です。

中ざら糖はグラニュー糖などの分蜜糖を再加熱して、カラメルのような風味を加えています。粒も大きめで、ゆっくり溶ける性質があります。煮物や佃煮など、照りとコクを出したい料理に向いています。

味に奥行きや香りを求めたいときは、中ざら糖が良い選択肢になります。

和三盆の伝統製法と上品な口どけ

和三盆は、上品で控えめな甘さと、ふんわりとした口どけが魅力の高級砂糖です。

和三盆は四国地方で作られる伝統的な砂糖で、竹糖という品種を使用し、手作業で時間をかけて精製されます。粒が非常に細かく、味に雑味がなく、和菓子に最適です。

和三盆は特別な日のご褒美や贈り物にふさわしい、上質な砂糖の代表格です。

砂糖の用途別の使い分け

砂糖には種類が多く、それぞれの特徴に合わせて使い分けることで、料理やお菓子、飲み物の味が大きく変わります。

料理に向いている砂糖

煮物や炒め物など日常的な料理には、上白糖・三温糖が向いています。

料理では甘さだけでなく、照りや風味も考えて砂糖を選ぶことで、仕上がりに差が出ます。

お菓子作りに向いている砂糖

お菓子作りにはグラニュー糖・粉糖・和三盆など、仕上がりや用途に応じた砂糖を使い分けることが大切です。

洋菓子（ケーキ）作りに向いている砂糖

洋菓子には、グラニュー糖や粉糖が向いています。

グラニュー糖は焼き菓子全般で使われる標準的な砂糖で、しっかりした構造と焼き色が出やすくなります。粉糖はアイシングに使ったり、仕上げにふりかけたり、口あたりを柔らかくしたい時に便利です。

お菓子作りでは、食感・溶け方・甘さの質によって砂糖を選ぶと、プロのような仕上がりになります。

和菓子作りに向いている砂糖

和菓子には、和三盆や上白糖が向いています。

和三盆は上品で雑味のない甘さがあり、落雁や練り切りに使われます。上白糖はクセがないので、餡や蒸し菓子など幅広く使えます。

和菓子作りでは、素材を引き立てる甘さを選ぶことで、優しい味わいに仕上がります。

コーヒーや紅茶に向いている砂糖

飲み物には、グラニュー糖・角砂糖が適しています。

グラニュー糖はすっきりとした甘さで、コーヒーや紅茶に溶けやすいです。角砂糖は分量が一定で、カップにポンと入れるだけで手軽です。

最近はあまり見かけることがなくなりましたが、コーヒーのために工夫された砂糖で「コーヒーシュガー」があります。

コーヒーシュガーは、着色された小さい氷砂糖のような砂糖でで、普通の砂糖よりも粒が大きく、ゆっくりと溶けるため味の変化を楽しめます。

砂糖の計り方には注意が必要

砂糖を計るときは、種類によって重さが変わることに注意が必要です。

たとえば大さじ1杯でも、上白糖とグラニュー糖ではグラム数が異なります。見た目は同じ分量でも、実際に含まれる砂糖の量に差が出るため、正確に量りたいときは“重さを量れるはかり”を使うのがおすすめです。

砂糖の種類	大さじ1の重さ（g）	特徴
上白糖	約9g	しっとりとして密度がやや低め
グラニュー糖	約12g	粒が大きく密度が高め
三温糖	約9g	粒が細かくやや湿っている
粉糖	約9g	粉状でふわっとして軽い

家で使うおすすめの砂糖

砂糖の種類が多すぎて、何を買えばよいのか迷ってしまうことはありませんか？

ここでは、料理やお菓子作りなど、家で使うシーンを想定して「これを選べば間違いない」という砂糖を1つずつ厳選して紹介します。手に入りやすく、応用範囲の広い砂糖を選んでいます。

料理におすすめの砂糖

家庭料理に1つだけ砂糖を選ぶなら「上白糖」がおすすめです。レシピに「砂糖」とだけ書かれている場合、多くはこの上白糖を指しています。

上白糖は日本で最も一般的に使われている砂糖で、クセがなく、どんな料理にもなじみます。粒が細かく、しっとりとしているため、煮物・炒め物・味付け全般で使いやすいのが特徴です。また、他の調味料ともなじみやすく、甘さの調整がしやすいため扱いやすいです。

上白糖は手に入りやすく、家庭料理に最も適した1本です。1種類だけ選ぶなら、迷わず上白糖をおすすめします。

お菓子作りにおすすめの砂糖

お菓子作りに1つだけ砂糖を選ぶなら「グラニュー糖」がおすすめです。

グラニュー糖は、粒が大きめでサラサラとしており、すっきりとした甘さが特徴です。溶けやすく、焼き色がつきやすいので、クッキー・ケーキ・プリンなどの洋菓子はもちろん、ジャム作りやカラメルソースにも向いています。また、他の材料の風味を邪魔せず、砂糖の量の調整もしやすいのが利点です。

グラニュー糖は、お菓子作りをはじめる人にも、上級者にも愛されている基本の砂糖です。どんなスイーツにも応用が利くので、1種類だけ選ぶならグラニュー糖が最適です。

砂糖は体に悪い？

「砂糖 ＝ 体に悪い」というイメージを持つ人は多いかもしれません。しかし、砂糖にも種類があり、使い方や摂取量によっては体に負担をかけにくい使い方もあります。ここでは、砂糖の健康面について、GI値やミネラルの観点から正しく理解するための情報をやさしく紹介します。

GI値やカロリー比較

砂糖の種類によってGI値（血糖値の上がりやすさ）やカロリーに多少の違いがありますが、基本的にはどれもエネルギー源です。

GI値が高い砂糖は、食後の血糖値が急激に上がりやすいと言われています。これは体に負担をかける原因になるとされます。

一般的に、グラニュー糖や上白糖はGI値が高めで、てんさい糖や黒糖はやや低めです。ただし、その差は極端ではなく、摂りすぎればどんな砂糖でも血糖値や体重に影響を与えます。

カロリーは、以下の通りです（100gあたり）

GI値やカロリーを気にすることは大切ですが、種類を変えれば健康になるというより、量を意識する方が大切です。

ミネラル豊富な砂糖は「体にいい？」

ミネラルを含む砂糖は確かに栄養価が高いですが、「体に良い」と言い切るには注意が必要です。

黒糖やきび糖などの含蜜糖には、カルシウムやカリウム、鉄分などの微量ミネラルが含まれています。しかし、これらの栄養素を「砂糖から摂る」には量が必要で、甘味料としての使い方ではそこまで多く摂取できません。

ミネラルがあるからといって摂りすぎていいわけではありません。

ミネラル入りの砂糖を選ぶのはよい選択肢ですが、「健康に良い砂糖」と思い込まず、あくまで味や風味を楽しむための選択ととらえることが大切です。

料理や飲料で使う際の摂取量の目安

一日の砂糖の摂取目安は、大人で約25g(ティースプーン6杯分）程度までが理想とされています。

WHO（世界保健機関）は、成人の砂糖摂取量を「1日の総エネルギーの5％未満」に抑えることを推奨しています。これは、一般的な大人でおよそ25g程度です。これは料理・お菓子・飲み物を含めた合計量になります。

甘いコーヒーを2〜3杯飲んだだけで、すぐに目安量に達してしまう可能性があります。

どの砂糖でも摂りすぎには注意が必要です。味の好みだけでなく、摂取量も意識しながら選ぶことが、体にやさしい砂糖の使い方です。

砂糖の正しい保存方法

砂糖を長くおいしく使い続けるためには、湿気・臭い・温度変化を避けて保存することが大切です。基本は「密閉容器に入れて常温保存」です。以下のポイントを押さえておくと、砂糖が固まったり風味が落ちたりするのを防げます。

砂糖の種類と違いを簡単解説：まとめ

この記事では、「砂糖の種類と違い」に関する基本的な知識と、それぞれの特徴や使い分けについてわかりやすく紹介しました。

砂糖はどれも甘いという点では共通していますが、製法や原料、風味や使いやすさには違いがあります。目的や好みに応じて選ぶことで、料理やお菓子の仕上がりが格段に変わります。

特に大切なポイントは次の通りです。

砂糖の種類を知ることで、「どの砂糖を選べばいいのかわからない」という悩みは解消されます。料理やお菓子作りをよりおいしく、砂糖選びにちょっとだけこだわってみてください。

自分に合った砂糖を見つけることは、毎日の食生活を整える第一歩です。