スーパーやレシピサイトで「なすのアク抜きは必須」と書かれている一方で、料理家や主婦の中には「最近のなすはアクが少ないから必要ない」という声もよく聞きます。
実際に、インターネットの人気レシピを見ても、アク抜きをしているものとしないものが半々。いったいどちらが正しいのか、迷ってしまった経験はありませんか?
炒め物や揚げ物のように油をたっぷり使う料理では不要な場合もあれば、見た目や味を重視する場合にアク抜きが効果的なこともあります。さらに「アク抜きをすると油はねの原因になる」という意外な理由から、アク抜きをしないという選択肢もあります。
この記事では、なすのアク抜きが本当に必要かどうかを、調理方法別・目的別にわかりやすく解説します。
なすのアク抜きは本当に必要?

基本的に家庭料理では「なすのアク抜き」はほとんど必要ありません。
なすのアク抜きが必要かどうかは、本来料理の種類や目的によって変わります。最近は「なすはアク抜きしなくてもおいしく食べられる」という考えも増えています。有名な料理人の中にも「なすはアク抜きをしない」と言っている人が増えています。
ナスのアク抜きには大きく2つの考え方があります
なすのアク抜きについては、「しなくてもよい」という考え方と「料理によっては必要」という考え方の2つがあります。
- なすの品種改良が進み、アクが少なくなっている
- アクを抜かなくても美味しく食べられる
- 調理時間を短縮できる
- 水分付着による油はねなど、調理が危険になるリスクを避けられる

アク抜きをしない理由のひとつに、アク抜きをすると水分がなすに付着したり、なす自体から水分が出てしまうことがあります。なすの表面に水分が残ると、揚げたり炒めたりしたときに油がはねやすくなり、調理が危険になる場合があります。
特に家庭の主婦にとっては、油はねによる火傷や後片付けの負担は大きなリスクになります。
- 色や透明感が大事な料理では、アク抜きをすることで仕上がりがきれいになる
- アクを感じにくくなり、渋みやえぐみを抑えられる
なすのアクの正体とは?

結論なすのアクは、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などの成分です。
クロロゲン酸はコーヒーにも含まれる成分で、抗酸化作用があります。健康面では悪いものではありません。
なすのアクは体に悪いものではありませんが、見た目や味の面で気になる場合は除くと料理の完成度が上がります。
調理することでクロロゲン酸がなすから出ていく

なすを調理すると、アクの主成分であるクロロゲン酸はなすの中から外へと移動します。
炒め物や揚げ物など油を使う調理では、こクロロゲン酸が油に溶け込みます。その結果、なす本体の渋みは減ります。
アク抜きせずいきなり炒めた場合でも、なすを水にさらしてアク抜きした場合でも、クロロゲン酸は油に移ることが確認されています。ただし、残った分はなす本体に残るため、味の感じ方に差が出ます。
なすを水にさらしてアク抜きした場合は、油にクロロゲン酸が移りやすくなるため、スッキリとした味になりやすいです。
調理方法別なすのアク抜きをすべきかどうかの基準

なすのアク抜きは、どの料理にも同じように必要というわけではありません。油をたっぷり使う調理法では不要な場合もあれば、見た目や味を重視する料理では効果的な場合もあります。
油を使う炒めものや揚げ料理ではアク抜き不要

炒め物や揚げ物のように油をたっぷり使う料理では、アク抜きは基本的に必要ありません。
- アクの成分であるクロロゲン酸は油に溶け込みやすく、渋みを感じにくくなります。
- 高温で加熱するため、アクによる見た目や味の変化がほとんど気にならなくなります。
- 水にさらす手間を省くことで調理時間が短縮でき、油はねのリスクも減ります。
油を多く使う料理では、アク抜きを省いても十分おいしく仕上がります。こういったことから、なすは油と相性がいいと言われる理由がわかります。
Cook Do(クックドゥ)の麻婆茄子(マーボチェズ)用のタレに記載されている麻婆茄子の作り方にもなすのアク抜きについて触れていません。
少しでも料理を美味しく仕上げたいならアク抜き推奨

味をすっきりと整えたいときや素材の良さを活かしたいときには、アク抜きを取り入れるとよりおいしく仕上がります。
- アクを取り除くことで渋みやえぐみが減り、口当たりがまろやかになります。
- 薄味の料理や素材の味を楽しむ料理では、アクの風味が目立ちやすいため、アク抜きが役立ちます。
アク抜きしたなすと、アク抜きしていないなすを食べ比べると、単体で食べればアク抜きなしでも違和感は少ないですが、比較すると差がわかるレベルです。
なすの基本のアク抜き方法
なすのアク抜きにはいくつかの方法がありますが、家庭で手軽にできて効果的な方法は大きく分けて「水にさらす」と「塩をふる」の2つです。それぞれの特徴や手順を知っておくと、料理に合わせて最適な方法を選べます。
水にさらす方法

一般的になすのアク抜きといえば、水にさらす方法です。
- ボールなどに水を入れる
- 切ったなすを3分程度つける
- ボールからなすをあげたら、水分をよく拭く
なすに水分がついていると、揚げたり炒めたりすると油はねの原因になるので注意が必要です。
塩をふる方法
なすを切ったら、塩をふりかけて5分ほど置きます。水分が出たら、キッチンペーパーなどで水分をよく拭き取ってください。
この方法は、なすに塩味がつくのがメリットでありデメリットです。下味としてなすに塩味がつくのはいいですが、塩を多くふりかけると、なすが塩辛くなる場合があります。
塩加減にあh注意が必要です。
なすのアク抜きは必要か:まとめ
基本的に家庭料理では「なすのアク抜き」はほとんど必要ありません。
この記事では、なすのアク抜きが本当に必要かどうかを、調理方法や目的別に解説しました。結論として、アク抜きはすべての料理で必須というわけではなく、料理の種類や求める仕上がりによって使い分けるのが賢い方法です。特に重要なポイントは以下の通りです。
- 油を多く使う炒め物や揚げ物では、アクが油に溶け込むため渋みが気にならず、アク抜きは不要な場合が多い
- 見た目を美しく保ちたい汁物や漬物、薄味料理ではアク抜きが効果的
- アク抜きには「水にさらす方法」と「塩をふる方法」があり、どちらも手軽にできる
- アクの主成分であるクロロゲン酸は健康に悪いものではなく、油や煮汁に移ることで味への影響が変わる
- 最近のなすは品種改良によりアクが少なくなっているため、必ずしもアク抜きが必要とは限らない
- アク抜きをしないことで調理時間短縮や油はね防止になることもある
最終的には、自分が作る料理の種類や重視したいポイント(味・見た目・手間・安全性)を考えて、アク抜きをするかどうか判断するのがベストです。今回紹介した方法や基準を参考にすれば、日々の料理で迷わず最適な選択ができるようになります。
筆者は自宅でなすのアク抜きをしたことがありませんが、これまで味に不満を感じたことはありません。むしろ、アク抜きを省くことで調理の手間や時間を大幅に節約できます。