スーパーで「大葉」と書かれた束を手に取りながら、「これって、しそと同じもの?」と迷ったことはありませんか?
レシピには“しそ”と書かれているのに、売り場では“大葉”。料理初心者に限らず、日常的に料理をする方でも、この呼び方の違いにはモヤモヤを感じる場面が少なくありません。
この記事では、「大葉」と「しそ」の違いについて、誰にでもわかる言葉で丁寧に解説します。「そもそも何が違うの?」「どちらを使えばいいの?」そんな疑問をひとつずつ解きほぐしていきます。
記事を読み進めることで、以下のことがわかるようになります。
- 「大葉」と「しそ」の正確な意味と使い分け
- 名前の由来や呼び名が分かれた背景
- 種類別の特徴とおすすめの使い方
- 保存法や選び方のポイント
「大葉」と「しそ」の名前の違いと意味

「大葉」と「しそ」は、見た目が同じ植物なのに、名前が違うことで混乱しやすい言葉です。ここでは、それぞれの名前がどこから来たのか、なぜ別の名前になっているのか、そしてその呼び方がいつ広まったのかをわかりやすく解説します。
「大葉」と「しそ」の名前の由来
「しそ」は植物全体の名前、「大葉」はその葉の部分の商品名です。
「しそ」は漢字で「紫蘇」と書き、もともとは中国から伝わった薬草名です。日本に伝わった後、「しそ」は植物全体の名前として使われるようになりました。
一方、「大葉」という言葉は、1970年代に市場で葉の部分だけを商品として売る際に付けられた呼び名です。特に青じその葉だけを束ねて売るときに「大葉」という名前をつけることで、他の部分(芽や穂など)と区別しました。
大葉を「しそ」と呼ぶ人は多い

大葉を「しそ」と呼ぶ人は、実際とても多く見られます。
筆者は長年料理業界に携わってきましたが、その現場でも同様でした。特に印象的なのは、新しく入ったアルバイトのほとんどが「大葉=しそ」と認識していることです。そのため「大葉を持ってきて」と伝えても、頭の中に「?」が浮かぶ様子を何度も見てきました。
この経験から、特に若い男性を中心に「しそ」という呼び方が一般的なのだと実感しています。実のところ、筆者自身も料理の世界に入るまでは、大葉のことをずっと「しそ」と呼んでいました。
さらに、「ノンオイル青じそドレッシング」などの市販商品が広く流通したことも、「青じそ=しそ」という認識を強める要因となっていると感じます。
なぜ「大葉」と「しそ」は別名になったのか?

売り方の違いと用途の広がりが、呼び名を分けた理由です。
昔は「しそ」といえば、主に赤じそを使って梅干しやしそジュースにしていました。一方、青じその葉は薬味として料理に使われることが増えました。
1970年代以降、スーパーで葉だけをまとめて売るようになり、市場で「大葉」と名付けられました。このとき、他のしその部位(芽じそ、穂じそなど)と区別するために、新しい呼び方が必要だったのです。
料理や販売の実用性から、「大葉」という呼び名が生まれました。使い分けが進むことで、名前も分かれたのです。
呼び名の普及経緯:いつ、どこで広まったか
「大葉」という呼び方は、関東の青果市場から広まりました。
昭和40年代(1970年代)に入ってから、青じその葉だけをまとめて流通させる必要が出てきました。特に東京・築地市場などの青果市場で、葉だけの商品に「大葉」という名前が使われ始めました。
その後、スーパーや料理本、レシピサイトでも「大葉」という表記が一般化しました。
「大葉」という名前は、流通とメディアの影響で関東から全国に広がりました。いまでは誰でも知っている身近な名前です。
大葉(青じその葉)としそ(紫蘇)の基本的な違いとは

「大葉」と「しそ」は、見た目がよく似ているため混同されがちですが、実は指している範囲が異なります。ここでは、それぞれの言葉がどの部分や種類を指しているのかを明確にし、誤解を解きます。
大葉は青じその「葉」のみを指す
大葉は、青じその「葉っぱ」だけを指す言葉です。
「大葉」は、料理の薬味や飾りとして使われる青じその葉の部分を商品名として呼んでいる名称です。赤じそや茎、芽、花などの部位は含まれません。青じその中でも特に葉の部分だけをまとめて販売・表記する際に「大葉」と呼びます。
たとえば「鶏肉」と言っても、もも肉、胸肉、ささみなど部位によって呼び方が変わりますよね。「大葉」はその中で“もも肉だけ”を選んで呼ぶようなものです。つまり、青じその中の「葉」だけを特定して呼んでいるのです。
大葉は、青じその葉の部分のみを指す限定的な呼び名です。しその全部ではなく、“葉だけ”というのがポイントです。
しそは赤じそ・青じそ・芽じそなどの総称
しそは、植物としての「しそ」のすべての種類や部位を含む総称です。
「しそ」は植物全体の名前で、漢字では「紫蘇」と書きます。
「しそ」は、大きく分けて「赤じそ」と「青じそ」があり、さらに細かく「芽じそ」「穂じそ」「花穂じそ」などがあります。「大葉」はその中の「青じその葉」にあたる一部でしかありません。
しそという言葉は、赤じそや青じそ、さらに芽や花まで含んだ植物全体の名前です。
料理に合わせて選びたい!大葉としその使い分け

「しそ」といっても、実は赤じそ・青じそ・芽じそ・穂じそ・花穂じそなど、種類も使い道もさまざまです。ここでは、料理の内容や目的に合わせて、どのしそを使うのがベストかをわかりやすく解説します。
刺身・冷奴・天ぷら、いつもの料理に合うのは大葉
ふだんの食卓でそのまま使いたいなら、大葉(青じその葉)が最適です。
大葉は香りがやさしく、クセが少ないため、さまざまな料理に合わせやすいです。生のままでも食べやすく、見た目も美しいので、刺身の下に敷いたり、冷奴にのせたり、天ぷらにしても美味しく仕上がります。スーパーで手に入りやすく、価格も安定しているのも魅力です。
香り・使いやすさ・見た目のバランスが取れた大葉は、日常料理にぴったりのしそです。
大葉は生で、赤じそは加工向き?使い道の基本をチェック

大葉は生食向き、赤じそは加工用として使い分けましょう。
青じその葉(大葉)はやわらかく、生でも食べやすいですが、赤じそはやや苦味やアクがあるため、生食には不向きです。その代わり、梅干しやしそジュース、ふりかけなどの加工品に最適です。
赤じそにはアントシアニンという赤紫色の成分が多く含まれています。これが色付けや香りづけに使われます。
大葉はそのまま、赤じそは加工して楽しむ。これがしその基本的な使い分けです。
生食・薬味としての大葉の使いどころ
生のまま使う料理では、大葉が圧倒的に便利です。
千切りにして、冷奴・素麺・丼物・冷しゃぶに添えると、香りが広がって食欲をそそります。巻物やおにぎり、肉巻きに使うと、香りだけでなく彩りや風味もアップします。揚げ物や炒め物に使っても香りが飛びにくく、風味が残ります。
大葉は香りを生かす料理全般で活躍します。切る・巻く・添えるなど、自由度が高く使いやすい食材です。
しその種類で香りや味が変わる?

しその種類によって、香りや味、使い方が大きく異なります。
種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
青じそ | 爽やかな香りでクセが少ない | 薬味、巻き物、天ぷら |
赤じそ | 香りが強く、やや苦味あり | 梅干し、ジュース、ふりかけ |
芽じそ | 若芽の部分で香りが濃い | 刺身の飾り、料理のトッピング |
穂じそ | 花が終わった後の実がついた部分 | 薬味、塩漬け、味噌漬け |
花穂じそ | 小さな花が咲いた状態 | 刺身のあしらい、和食の飾り |
しその種類を知れば、料理にぴったりの香りや見た目を選べます。しそは「香りの調味料」として、種類ごとに使い分けると料理がぐんと引き立ちます。
大葉としその保存方法

長持ちさせる保存のコツは、水分を保ちつつ、乾燥と変色を防ぐのが長持ちのカギです。
大葉やしそは乾燥や温度変化に弱く、すぐにしおれてしまいます。冷蔵庫の野菜室に入れる場合は、湿らせたキッチンペーパーで包んでからポリ袋や保存容器に入れるとよいです。立てて保存すると、茎から水分を吸収しやすくなり鮮度が保てます。
湿らせたペーパーで包む+袋に入れて冷蔵保存、または立てて水に浸けておくことで、1週間前後は香りを保てます。
「大葉」を保存すると黒くなる
大葉が黒くなるのは、低温や乾燥、酸化が原因です。保存方法に気をつければ黒ずみを防げます。
大葉はとても繊細な葉で、ちょっとした環境の変化に弱い特徴があります。黒く変色してしまう主な原因は以下の3つです。
- 低温障害:冷蔵庫の温度が低すぎると、葉が凍結に近い状態になり、細胞が壊れて黒くなります。
- 乾燥:葉の水分が失われると細胞が傷み、黒ずみやすくなります。
- 酸化:空気に長時間触れると、表面が酸化して黒ずみます。
特に、買ってきた袋のまま冷蔵庫に入れると、この3つの原因が重なって変色しやすくなります。
大葉が黒くなるのは乾燥・低温・酸化のせいです。湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉して野菜室で保存すると、きれいな緑色を保ちやすくなります。
用途別に知る「大葉」「しそ」の上手な選び方

「大葉」は青じその葉、「しそ」は赤じそやその他の部位を指す場合が多いです。スーパーでは「大葉」として売られているのは、基本的に青じその葉の部分です。
一方、「しそ」とだけ書かれている場合は、赤じそや加工用のしそのことが多く、葉の色や用途が異なります。
見た目で判断するには、以下のようなポイントをチェックしましょう。
- 葉が緑色でやわらかい → 青じそ(大葉)
- 葉が紫がかっていて厚め → 赤じそ
- 芽や穂がついている → 芽じそ・穂じそなど装飾向き
表示だけに頼らず、葉の色・形・厚みをよく見て選びましょう。青じそ=大葉、赤じそ=加工用という基本を覚えておくと便利です。
「大葉」の上手な選び方

新鮮で香りが強く、葉にハリと色つやがある大葉を選ぶのがポイントです。
大葉は香りと見た目が命の食材です。鮮度が落ちると香りも弱くなり、風味が半減してしまいます。購入時には以下の点を確認しましょう。
- 葉の色が鮮やかな緑色であること
- 表面が乾いておらず、しっとりとしていること
- 葉の縁が黒ずんでいないこと
- 葉の付け根がしっかりしていてシャキッとしていること
大葉としその違いをやさしく解説:まとめ
この記事では、「大葉」と「しそ」の違いについて、名前の由来から使い分け、保存方法や選び方までをわかりやすく解説しました。
スーパーやレシピの中で当たり前のように登場する「大葉」と「しそ」ですが、両者の関係を正しく理解しておくことで、料理や買い物の場面で迷うことがぐっと減ります。
特に大切なポイントを以下にまとめます。
- 「しそ」は植物全体の名称で、「赤じそ」や「青じそ」などの種類を含みます。
- 「大葉」は「青じその葉」だけを指す商品名で、料理用に使いやすく販売されています。
- 大葉は薬味など生食向き、赤じそは梅干しやジュースなど加工向きです。
- 保存する際は、湿らせたキッチンペーパーに包んで密閉すると黒くなりにくくなります。
「大葉」と「しそ」の違いは、今回ご紹介したように「植物名」と「商品名」の違いだと理解しておくだけで十分です。
名前にとらわれすぎず、それぞれの特性や使い道を理解して、日々の料理にもっとしそを活用してみてください。