トマトピューレとトマトペーストの違いと使い分けのコツを簡単解説
「トマトピューレ」と「トマトペースト」どちらもトマトが凝縮された真っ赤な姿をしていますが、トマトピューレとトマトペーストの違いがわからず「どっちを買えばいいの?」「片方で代わりはできないの?」と迷ってしまうものです。
見た目が似ているからといって、適当に選んでしまうのは少しもったいないです。トマトピューレとトマトペーストは、トマトの「濃さ」や「役割」が全く異なり、使い分け一つで料理の完成度がプロの味に近づくかどうかが変わります。
料理初心者の方が抱きがちな以下のような疑問をスッキリと解決します。
- トマトピューレとトマトペーストは何がどう違うの?
- ピューレとペースト、どっちが味が濃いの?
- それぞれの特徴を活かした使い道が知りたい!
- レシピに書いてある方が手元にない時、もう片方で代用しても大丈夫?
- 一度に使い切れないけれど、余った分はどうやって保存すればいい?
「なんとなく赤ければ同じだろう」と思っていた方も、この記事を読み終える頃には、自信を持って使い分けができるようになります。
トマトピューレとトマトペーストの基本的な違い

トマトピューレとトマトペーストの決定的な違いは、「どれだけ水分を飛ばして濃縮したか」という濃さの度合いにあります。
トマトピューレは、生のトマトを煮詰めて軽く濃縮した「さらさらとした状態」のものです。対してトマトペーストは、さらに長時間煮詰めて水分を極限まで飛ばした「ねっとりとした固形に近い状態」を指します。
調理の目的で使い分けるなら、トマトピューレは「トマトの風味を料理全体に広げたいとき」に使い、トマトペーストは「料理に深いコクを加えたいとき」に活用するのが一般的です

| 特徴 | トマトピューレ | トマトペースト |
|---|---|---|
| 見た目 | 液状(さらさら) | ほぼ固形(ねっとり) |
| 濃縮度 | 約3倍(軽い濃縮) | 約6倍(強い濃縮) |
| 味の印象 | フレッシュな酸味と甘み | 濃厚な旨味と深いコク |
トマトピューレとはどんなもの?

トマトピューレは、完熟したトマトを加熱して裏ごしし、水分を約3倍ほどに煮詰めた「濃厚なトマトスープ」のような液体です。
トマトピューレは、トマトの種や皮を取り除いた滑らかな質感が特徴となっています。水分が適度に残っているため、素材本来のフレッシュな酸味と甘みのバランスが非常に良いです。
トマトピューレは、トマトの瑞々しさを残しつつ使いやすく加工された「万能なトマトベース」といえます。
ピューレは、野菜や果物などを加熱して柔くなったものを、裏ごしした滑らかな液体状にした状態のものを指します。(ミキサーやフードプロセッサーでも同様のものが作れます)
ピューレの最大の特徴は、素材が持つ水分を適度に残している点にあります。皮や種を取り除いているため、口当たりが非常に軽やかです。
裏ごし(うらごし): 網目の細かい道具を使って食材を押しつぶし、皮や種などの固形物を取り除いて質感を滑らかにする作業のことです。
トマトペーストとはどんなもの?

トマトペーストは、トマトの旨味成分を限界まで凝縮させた「トマトのジャム」のようなペースト状のものです。
トマトペーストは、トマトピューレをさらに加熱し続け、水分を約6倍程度まで濃縮して作られます。体積が非常に小さくなる分、トマト特有の「リコピン」や「グルタミン酸(旨味成分)」がぎゅっと凝縮されているのが特徴です。スプーンですくっても形が崩れないほどの硬さがあります。
トマトペーストは、少量で料理の味を劇的に底上げしてくれる「トマトの天然出汁(だし)の塊」といえる存在です。
ペーストは、ピューレをさらに長時間煮詰めて、水分を極限まで飛ばした「ねっとりとした固形に近い状態」のものを指します。
グルタミン酸: 昆布やトマトに多く含まれる「旨味(うまみ)」の元となる成分です。
トマトピューレとトマトペーストの製造工程の違い

トマトピューレとトマトペーストの製造工程における決定的な違いは、「水分を飛ばす作業をどのタイミングで止めるか」という点にあります。トマトピューレは、トマトを裏ごしした後に適度な濃度まで煮詰めることで、フレッシュな風味を保ちます。
一方、トマトペーストはそこからさらに加熱を続け、極限まで水分を減少させて、真っ赤な固形に近い状態まで練り上げます。
トマトピューレとトマトペーストの製造工程

製造工程の初期段階は共通していますが、「加熱時間の長さ」と「仕上がりの硬さ」に明確な差が生まれます。
トマトピューレとトマトペーストとも、まずは完熟したトマトを細かく砕き、加熱して種や皮を「裏ごし」する工程から始まります。この後に「煮詰め」の工程が入りますが、トマトピューレは「さらさらとした液体状」を維持したまま缶や瓶詰め、パックされます。
トマトペーストは、低温加熱を続け、トマトの成分がぎゅっと凝縮した「粘り気のある状態」になるまで徹底的に水分を取り除きます。
トマトの濃縮度で見る具体的な比較

トマトの成分がどれほど濃いかを示す「濃縮度」で見ると、トマトピューレは約3倍、トマトペーストは約6倍という明確な基準が存在します。
JAS規格(日本農林規格)という国のルールによって、これらの製品は細かく分類されています。トマトピューレは、トマトをそのまま絞った状態(無塩可溶性固形分)の3倍以上の濃さが必要です。
トマトペーストは、その2倍にあたる6倍以上の濃さが求められます。この数値の差が、料理に使った際の「味の深み」や「色の鮮やかさ」に直接影響を与えます。
| 比較項目 | トマトピューレ | トマトペースト |
|---|---|---|
| 濃縮の倍率 | 生の状態から約3倍 | 生の状態から約6倍 |
| 成分の密度 | 適度に水分を含み、瑞々しい | 旨味とが限界まで凝縮 |
| JAS規格の基準 | 固形分 8%以上 24%未満 | 固形分 24%以上 |
トマトピューレとトマトペーストの味や風味の違い

トマトピューレとトマトペーストの味における最大の違いは、「フレッシュ感」と「熟成感」の差にあります。トマトピューレは水分が多いため、トマト本来の瑞々しい香りと程よい酸味がダイレクトに伝わります。
一方でトマトペーストは、水分を極限まで飛ばすことで、酸味が角の取れた甘みに変わり、出汁のような濃厚な旨みが凝縮されているのが特徴です。
トマトピューレの味や風味の特徴

トマトピューレは、完熟トマトをそのままギュッと絞ったような「軽やかでフルーティーな味わい」が特徴です。
製造工程で加熱時間が短く抑えられているため、トマト特有の爽やかな香気成分が壊れずに残っています。口に含むと、最初に心地よい酸味が広がり、その後に自然な甘みが追いかけてくるような、非常にバランスの良い風味を楽しめます。
| 観点 | トマトピューレの特徴 |
|---|---|
| 酸味 | さっぱり感じやすい |
| 甘み | ほんのりで自然 |
| うま味 | 穏やかに広がる |
| 香り | フレッシュ寄り |
トマトペーストの味や風味の特徴

トマトペーストは、「ドッシリとした重みのある旨み」が特徴です。
長時間煮詰めることで、トマトに含まれる糖分がキャラメルのように濃くなり、独特の香ばしさとコクが生まれます。生の状態では尖っていた酸味も、加熱によってまろやかになり、旨みが前面に出てきます。
| 観点 | トマトペーストの特徴 |
|---|---|
| 酸味 | 角が取れて丸く感じやすい |
| 甘み | 濃く感じやすい |
| うま味 | 強く出やすい |
| 香り | 深い香り |
酸味・甘み・旨みの感じ方の違い

トマトピューレは「酸味」が、トマトペーストは「甘みと旨み」が、それぞれ味の中心を握っています。
トマトの三大要素である酸味・甘み・旨みの比率は、濃縮度によって変わります。水分が多いと酸味のキレが際立ちますが、水分が減るにつれて糖分と旨み成分の密度が上がり、どろりとした甘美な味わいへと進化していくためです。
| 要素 | トマトピューレの印象 | トマトペーストの印象 |
|---|---|---|
| 酸味 | 立ち上がりが早く、爽快 | 角が取れた穏やかな甘み |
| 甘み | 自然で、すっきりしている | 濃厚で、ジャムのように強い |
| 旨み | 優しく、素材を感じさせる | 強烈で、後を引く重厚さがある |
香りや色味の違いと料理での効果

トマトピューレは「鮮やかな赤オレンジ色」、トマトペーストは「重厚なワインレッド」の色味を料理に与えます
トマトの赤い色素である「リコピン」は、加熱して濃縮されるほど色が濃く、暗くなる性質を持っています。トマトピューレは明るい色調で食欲をそそり、トマトペーストは深い色調で料理に高級感や「煮込み感」を演出します。
リコピン: トマトに豊富に含まれる赤い色素成分です。
トマトピューレとトマトペーストを使った料理

トマトピューレとトマトペーストを料理に使う場合は、「料理全体の水分量をどうしたいか」を基準に考えると失敗がありません。トマトピューレは水分をたっぷり含んでいるため、パスタソースやスープのように、トマトの風味を全体に馴染ませたい料理に向いています。
一方で、トマトペーストは水分がほとんどないため、炒め物や煮込み料理の仕上げに、コクだけをプラスしたい場合に重宝されます。
トマトピューレを使う料理

トマトピューレは、「トマトのフレッシュな味わいをストレートに楽しむ料理」に最も適しています。
トマトピューレは、生のトマトを潰して軽く煮詰めた状態であるため、トマトの瑞々しい酸味が活きています。この製品は液体状で混ざりやすく、短い加熱時間でもパスタの麺によく絡むのが利点です。
トマト缶のように果肉を潰す手間もかからないため、滑らかな質感のスープや冷製ソースを作る際にも非常に便利です。
トマトペーストを使う料理

トマトペーストは、「深いコクを求める料理」で大活躍します。
トマトペーストは、旨味が通常のトマトの6倍近くに凝縮されているため、少し加えるだけで料理の味がどっしりと安定します。水分が少ないので、肉や野菜を炒める段階で一緒に炒めることで、トマトの糖分がキャラメル化し、より一層芳醇な香りと深みが生まれます
キャラメル化: 糖類を加熱することで、香ばしい風味と茶褐色の色味に変化する現象のことです。
トマトペーストはレストランの必需品

プロの厨房において、トマトペーストは「ソースやスープの土台」として、なくてはならない必需品です。レストランで提供される本格的な「デミグラスソース」をはじめとするソースの深い味わいには、トマトペーストの力が欠かせません。
トマトピューレとトマトペーストの使い分け

トマトピューレとトマトペーストの使い分けは、「料理の目的」で決まります。トマトの風味を広げたいときはトマトピューレを使い、味に深みとコクを足したいときはトマトペーストを使います。
トマトピューレは水分が多く、なめらかな状態なので、鍋全体に味を行き渡らせやすく、料理の土台を作る役割を担います。
トマトペーストは水分が少なく、味が濃縮されているので、少量でもうま味が強く出るため、味の輪郭を整える働きを持ちます。また、煮込み料理で「味がぼやけている」と感じたときにトマトペーストを足すと、水分を増やさずにコクだけを強めることが可能です。
| 品名 | 料理の目的 |
|---|---|
| トマトピューレ | トマトの瑞々しさを出したい |
| トマトペースト | 料理に深いコクを与えたい |
| トマトペースト | 短時間で味を決めたい |
| トマトピューレ | 滑らかな口当たりにしたい |
トマトピューレとトマトペーストは代用できる?

トマトピューレとトマトペーストは、基本的に代用をおすすめできません。トマトピューレとトマトペーストは濃さだけでなく、加熱の度合いによる香りや味の出方、舌ざわりが違うため、置き換えると料理の仕上がりが別物になりやすいです。
トマトピューレをトマトペーストの代わりに使おうとすると、水分を飛ばすために鍋で半分以下の量になるまで延々と煮詰めなければなりません。この作業は時間がかかる上に、焦げ付かないようにする必要があるため大変です。
トマトピューレを煮詰める手間を考えると、身近にある「トマトケチャップ」を活用した方が、味のバランスも整いやすく簡単です。

一方で、トマトペーストを水で薄めてトマトピューレの代わりにしても、本来のピューレが持つ「フレッシュな瑞々しさ」や「さらりとした質感」を再現することは困難です。ペーストはすでに加熱によって味が重厚に変化しているため、水を足してもピューレ特有の軽やかな風味は戻ってきません。
家庭で使うにはどちらがおすすめ?

家庭で「使い勝手の良さ」を優先にするならば、「トマトペースト」を常備することをおすすめします。 トマトペーストは少量で料理の味を変える力があり、保存性にも優れているため、無駄なく使い切りやすいからです。
トマトペーストは、少量加えるだけで、いつものカレーや煮込み料理にプロのような深いコクを与えることができます。市販の製品には小分けのパックやチューブタイプも多いため、一人暮らしや料理の回数が少ないご家庭でも、使いたい分だけ手軽に使える点が非常に優秀です。
トマトピューレとトマトペーストの選び方と保存方法

トマトピューレとトマトペーストは、容器選びと保存方法で使いやすさが大きく変わります。
家庭では「使う量」と「使う頻度」に合わせて、チューブ、小分けパック、缶詰を選ぶと無駄が減ります。開封後は空気に触れるほど風味が落ちやすいので、冷蔵と冷凍と小分けを組み合わせると失敗しにくいです。
チューブ・小分けパック・缶詰メリット・デメリット

使い勝手を重視するならチューブタイプや小分けパックを、コストパフォーマンスを重視するなら缶詰やビンを選んでください。
チューブタイプは、蓋を閉めることで中身が空気に触れにくく、必要な分だけをミリ単位で調節できるのが最大の強みです。小分けパックは、大さじ1杯分などの使い切りサイズで密封されているため、計量の手間が省け、常に新鮮な状態で使い切ることができます。
一方で缶詰は、1gあたりの価格が最も安く設定されていますが、一度開けると別の容器に移し替える手間が発生し、空気に触れる面積も広いため劣化が早まります。
| 容器の種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| チューブ | 蓋ができる、少量調節が可能 | 1gあたりの単価がやや高い |
| 小分けパック | 常に新鮮、計量が不要 | 使う量の微調節がしにくい |
| 缶詰・ビン | コスパが良く、たっぷり使える | 開封後の保存に手間がかかる |
「たまに少しだけ使いたい」という初心者の方はチューブや小分けパックを、「トマト料理を頻繁に大量に作る」という方は缶詰・ビンを選ぶのが賢い選択です。
開封後の保存のコツ(冷蔵・冷凍・小分け)

開封後に残った分は、「空気に触れさせない」ように処置をして冷蔵するか、一食分ずつ冷凍してください。
トマトの加工品は、空気に触れると酸化が進み、色が悪くなったりカビが生えたりしやすくなります。特に缶詰のまま放置すると、缶の金属臭が中身に移ってしまうため、必ずガラス瓶やプラスチックの保存容器に移し替える必要があります。
冷凍保存をする場合は、ラップの上に大さじ1杯ずつ置いて平らに包むか、製氷皿に入れて凍らせる方法が非常に効果的です。カチカチに凍ったトマトの塊は、凍ったまま鍋に入れるだけで溶けるため、調理の時短にも繋がります。
トマトピューレとトマトペーストの違いと使い分け:まとめ
この記事では、トマトピューレとトマトペーストの違いを「濃さ・味・役割・使い分け」の視点で整理しました。
名前が似ているため同じものに見えますが、実際は水分量と濃縮度が大きく異なり、料理での役割も変わります。違いを理解すると、レシピ通りに作るだけでなく、自分の好みに合わせた調整もできるようになります。
今回の内容で、特に大切なポイントをまとめました。
- 濃縮度の違い:ピューレは約3倍、ペーストは約6倍に煮詰められており、味の濃さが根本的に違います。
- 味のキャラクター:ピューレは爽やかな酸味と瑞々しさが主役で、ペーストは深いコクと重厚な旨味が主役です。
- 得意な料理:ピューレはトマトのフレッシュな味わいをストレートに楽しむ料理、ペーストは深いコクを求める料理。
- 代用の注意点:基本的に代用はおすすめしません。無理に代用するよりも、ケチャップなどを活用したほうが手軽に美味しく仕上がります。
- 保存のコツ:開封後は酸化しやすいため、小分けにして冷凍保存することで、無駄なく最後まで使い切れます。
トマトピューレとトマトペーストで迷ったら、まずは「どんな味に仕上げたいか」を想像してみてください。爽やかに仕上げたいならピューレ、どっしりと濃厚にしたいならペーストです。このシンプルなルールさえ覚えておけば、もう迷うことはありません。
まずは冷蔵庫に小さなトマトペーストのチューブを仲間入りさせてみませんか。トマトペーストの一絞りが、家庭料理を驚くほど本格的な一皿に変えてくれるはずです。


筆者が働いた複数のレストランでは、必ずトマトペーストはありました。