「合鴨と鴨って、何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?見た目は似ているけれど、実は大きな違いがあります。
この記事では、合鴨と鴨の違いについて、わかりやすく解説します。この記事を読むことで以下のようなポイントがすっきり理解できるようになります。
- 合鴨と鴨の品種の違いってなに?
- 合鴨と鴨はどこで買えるの?
- 合鴨と鴨の上手な購入方法を知りたい
スーパーで「合鴨」と表示されているけれど、野生の鴨との違いがわからない。鴨南蛮に使われているのは合鴨?野生の鴨?味はどれだけ違うの?合鴨と鴨、買うならどっち?
そんな疑問に一つずつ丁寧に寄り添い、理解しやすく、専門知識がなくても読める記事に仕上げました。
この記事を読めば、もう合鴨と鴨の違いで迷うことはありません。
合鴨と鴨の違いとは?違いをわかりやすく解説

合鴨と鴨はどちらも「鴨肉」として扱われますが、はっきりとした違いがあります。合鴨とはアヒルと鴨をかけ合わせて人が育てる飼育用の鳥で、食材として広く利用されています。
鴨(野生)は、自然の中で自分でエサを探して暮らす野生の鳥で、渡り鳥として季節ごとに移動しながら生活しています。
鴨ってどんな鳥?

鴨は日本でもなじみ深い野生の渡り鳥で、特に「真鴨(まがも)」が代表的な種類として知られています。
真鴨のオスは頭部が青緑色に輝いており、その特徴的な見た目から「青首(あおくび)」とも呼ばれています。このため、多くの人が「鴨」と聞いて思い浮かべるのは、この青首の姿かもしれません。

真鴨は秋から冬にかけてシベリアなどの寒冷地から日本へ渡来し、各地の川や湖などで越冬します。こうした野生の鴨は狩猟によって捕獲され、食材としても重宝されてきました。
野生で育った真鴨は、自然環境の中を自由に飛び回りながら暮らしているため、体脂肪が少なく、引き締まった肉質を持っています。このしっかりとした肉質と野趣ある風味は、家禽として飼育された鴨肉とは異なる魅力を持ち、料理においても特別感のある存在です。
- 鴨は日本全国の川や湖に生息していて、多くは秋から冬にかけてシベリアなどの寒い地域から渡ってくる渡り鳥です。
- 自然の中で育つため、エサは野生の草、水生生物、小さな虫など。
- 自分でエサを探し、自由に飛び回る環境で育ちます。
- 野生の真鴨は脂が少なく肉質が締まっており、料理に使われると風味豊か。
日本で食べられてる鴨は外国産や国内生産の外国の鴨です

日本で流通している鴨肉の多くは、海外からの輸入や、外国の品種を国内で育てたものが中心です。
野生の真鴨など、いわゆる天然の鴨は限られた季節と地域でしか入手できません。日本国内で生産されている鴨肉も、フランスの品種(バルバリー種(フランス鴨))が中心です。
「国産鴨」と表示されていても、外国品種を日本で育てている場合が多く、純粋な日本原産の鴨という意味ではありません。
野生の真鴨は、狩猟期間(11月〜2月)に限り、野生の真鴨がジビエとして流通することがありますが、量が少なく、価格も高めなため、主に高級料理店や専門店向けです。
合鴨ってどんな鴨?

合鴨とは、野生の真鴨と家畜化されたアヒルをかけ合わせて生まれた、人為的に作られた飼育用の品種です。味の良さを持つ真鴨と、育てやすく成長が早いアヒルの長所を両立させることを目的として作られました。
アヒルはもともと真鴨を家禽化したもので、飛ぶ力が弱く、餌をよく食べて短期間で大きく育ちます。こうした性質から、人の手で育てやすく、食肉としても扱いやすい鳥として利用されてきました。

合鴨はこのアヒルに野生の真鴨の風味を加えることで、飼育効率と味の良さのバランスを追求した存在です。現在では、合鴨とされている多くの品種は、見た目や性質の多くがアヒルに近づいており、真鴨の血統が薄まっている場合も少なくありません。
つまり、合鴨はあくまで飼育下で管理される家禽であり、自然の中で暮らす野生の鴨とは性質も育ち方も大きく異なります。味わいや食材としての扱いやすさを重視して開発された、実用性に優れた鴨肉といえるでしょう。
「家禽(かきん)」とは、人が飼って育てる鳥のことです。たとえば、ニワトリやアヒル、七面鳥などが家禽にあたります。自然の中で生きる「野生の鳥」とは違い、食べ物や住む場所を人が用意し、食用や卵、農作業などの目的で飼育されます。合鴨もそのひとつです。
日本で主流の合鴨の種類
日本で食用として流通している合鴨の多くは、チェリバレー種という特定の品種を中心に育てられています。
チェリバレー種
イギリス原産の肉用アヒルで、成長が早く肉付きが良いのが特徴です。
全身が白く、脂がのっていて味も良いため、スーパーなどで売られている「合鴨肉」の多くはこの系統を含んでいます。
ミュラー種(マグレ)
マグレ(マグレ・ド・カナール)とは、ミュラー種という合鴨で、バルバリー種の雄と北京ダックの雌を掛け合わせた、フォアグラを取るために肥育された合鴨の胸肉です。
本来「フォアグラ(フォアグラ・オア)」はガチョウの肝臓を指しますが、現在主流になっているのは鴨のフォアグラ(フォアグラ・ド・カナール)です。
シャラン鴨
シャラン鴨(シャランがも)」は、フランス・シャラン地方で伝統的な方法で飼育された高級鴨です。
合鴨の国内生産の実情
日本では合鴨の国内生産量は少なく、輸入品(タイやハンガリーなど)が多くを占めています。国産合鴨のブランドには「最上鴨」「京鴨」などがあります。
合鴨農法の合鴨と食用の合鴨は同じ合鴨?

合鴨農法で使われる合鴨と、私たちが食べる合鴨は基本的に同じ種類の合鴨です。合鴨農法とは、水田に合鴨を放して雑草や害虫を食べてもらう無農薬農業の方法です。
この農法で使われる合鴨は、農作業の手伝いをした後に食肉として利用されることが多いです。食用の合鴨と農業用の合鴨は育て方や使い道は違っても、品種はほとんど変わりません。
田んぼで活躍する合鴨と、スーパーで売られている合鴨は基本的に同じ鳥です。
一般消費者が購入できるのはほとんど合鴨です

一般消費者がスーパーなどで見かける鴨肉の多くは「合鴨」です。真鴨(野生のマガモ)は流通量が限られ、高級和食店や専門精肉店、高級フレンチレストラン向けに取引されるケースが中心となります。

合鴨は飼育により数やサイズをコントロールでき、年間を通じて安定した供給と品質の均一性を実現しています。処理体制や衛生検査も標準化されているため流通が容易です。
一方、真鴨は猟期や気候に大きく左右されるうえ、個体差が大きく歩留まりにも幅があり、処理や検査の環境も限られるため取り扱い店は少なくなります。さらに希少性や手間が価格に反映され、高級食材として扱われやすいのが特徴です。
- 合鴨:脂が甘く、肉質は比較的やわらかい傾向。和洋中どの調理にも合わせやすく、鴨南蛮、ロースト、スモーク、コンフィなど幅広く活躍します。
- 真鴨:香りが力強く“ジビエ”らしい風味。火入れの見極めが味を左右しやすく、ローストやポワレなど、素材感を生かす料理に向きます。
一般家庭で購入しやすいのは合鴨であり、真鴨は限られた高級店や専門店でのみ扱われる特別な存在といえます。
- 日常的に購入できる鴨肉はほとんどが合鴨。
- 真鴨は流通が少なく、主に高級店や専門店向け。
- 合鴨は扱いやすさ、真鴨は希少性と風味で選ばれる。
合鴨と鴨の味や食感の違いを比較

合鴨と鴨はどちらも「鴨肉」として親しまれていますが、肉の質感や脂ののり方、味わいには明確な違いがあります。
どちらを料理に使うかによって、仕上がりの印象も変わるため、特徴を知っておくことが大切です。
合鴨と鴨の肉質の特徴と脂肪の量の違い

合鴨は皮の下にたっぷりと脂がついていて肉質も柔らかく、鴨は脂が控えめで筋肉が締まっており、歯ごたえがあります。鴨肉では皮下脂肪が味の決め手にもなります。
- 合鴨は人が育てるため、動きが少なく脂がつきやすい体に育ちます。
- 鴨(特に真鴨)は野生でよく飛び、よく動くため、筋肉が多く引き締まった肉になります。
- 合鴨の肉はジューシーでまろやかな味、鴨は風味が強くコクがあります。
合鴨は脂がのったやわらかい肉、鴨は引き締まった歯ごたえと野性味のある味が特徴です。
料理に使われる部位は主に胸肉

合鴨も鴨も、料理でよく使われる部位は胸肉であり、脂の旨味と肉の食感をバランスよく楽しめることから、多くの料理で中心的な素材として選ばれています。一般的に鶏肉ではもも肉が人気ですが、鴨肉では胸肉がメインとなります。
- 鴨の胸肉は、見た目もきれいで調理しやすい部位です。
- 鴨肉のうま味や食感を楽しむには胸肉が最適です。
鴨の胸肉は、鴨肉料理の中心になる部位です。鶏肉では胸肉はパサつくイメージがありますが、鴨の胸肉は皮下脂肪があり身質もパサつきにくくジューシーな食感になります。
合鴨と鴨を使った代表的な料理

合鴨と鴨はどちらも独特の風味と旨味を持ち、さまざまな料理で親しまれています。
ここでは、家庭でも人気のある代表的な料理を紹介します。
- 鴨鍋
鴨の脂から出る旨味がスープに溶け込み、野菜や豆腐と一緒に楽しめる冬の定番料理です。合鴨を使えばジューシーでやさしい味に、野生鴨を使えば濃厚で野性味のある風味が味わえます。 - 鴨南蛮
鴨の脂と出汁の香りが絶妙に合わさる温かいそば料理です。ネギとの相性もよく、シンプルながら満足感のある一品。多くの場合は合鴨を使用します。 - 鴨の治部煮(じぶに)
石川県の郷土料理で、鴨肉に片栗粉をまぶして煮るのが特徴です。とろみのある出汁が鴨肉と絡み、優しい味に仕上がります。季節の野菜と一緒に楽しむのが定番です。 - 鴨のロースト
皮をパリッと焼き、肉は中がほんのり赤い状態に仕上げる西洋風の料理です。甘酸っぱいソースや果物と組み合わせると、鴨肉のコクが引き立ちます。特にバルバリー種などの輸入鴨でよく作られます。
合鴨と鴨の購入方法

合鴨はスーパーの精肉売り場でも手に入ることが多いですが、鴨(特に真鴨などの野生種)は一般的な店舗ではほとんど見かけません。
鴨肉を購入するには、デパ地下や専門店、またはインターネット通販を活用するのが現実的です。
専門店の通販で鴨肉を購入
鴨肉の品質にこだわりたいなら、スーパーなどの量販店ではなく、鴨肉専門の通販サイトで購入するのがおすすめです。
専門店の通販では、鴨の種類が多く、情報なども詳しく確認できるため、より納得して選ぶことができます。
専門店の通販では、国産ブランド鴨や野生の真鴨なども取り扱いがあり、納得して選べます。
合鴨と鴨の保存方法

合鴨や鴨の肉は、脂が多く空気に触れると劣化しやすいため、保存方法がとても重要です。風味や食感を損なわないように、購入後すぐに適切な処理と保存環境を意識しましょう。
冷蔵保存のポイント
数日以内に使う場合は冷蔵庫で保存可能ですが、乾燥や酸化を防ぐための工夫が必要です。
- 表面のドリップ(赤い汁)をペーパーで軽く拭き取る
- キッチンペーパーで包み、その上からラップでぴったり包む
- チルド室(0~2℃)で保存すると鮮度が保ちやすい
- 目安は2~3日以内に使い切る
冷凍保存のポイント
長期保存する場合は冷凍が基本です。使う量ごとに分けて冷凍すると便利です。
- 空気をできるだけ抜いてラップで包み、ジッパーバッグに入れる
- 金属トレーの上に置いて急速冷凍すると鮮度を保ちやすい
- 解凍は冷蔵庫でゆっくり行うとドリップが出にくい
- 目安は1ヶ月以内に使い切る
合鴨と鴨の違い:まとめ
この記事では、「合鴨」と「鴨」の違いについて、初心者の方にもわかりやすく解説しました。
同じように見える2つの食材ですが、実は品種や育ち方、味、流通の背景に多くの違いがあります。料理の目的や好みによって、どちらを選ぶかで味わいも大きく変わってきます。
最後に、特に押さえておきたいポイントをまとめます。
- 合鴨はアヒルと鴨をかけ合わせた飼育種で、鴨は自然の中で育った野生種(真鴨など)
- 合鴨は脂が多くやわらかく、鴨は脂が少なめで風味が濃く歯ごたえがある
- 合鴨はスーパーで手に入りやすく、鴨はデパートや専門店、ジビエとして通販で購入するのが一般的
- 合鴨は鍋やそばなど和風料理に幅広く合い、鴨はローストやグリルなど素材の味を活かす料理に適している
- 保存方法や選び方にも違いがあるので、目的に応じて見分け方を知っておくことが大切
合鴨と鴨の違いを理解することで、料理の幅が広がるだけでなく、買い物でも迷わず選べるようになります。
この記事が、皆さんの食生活を少しでも豊かにする手助けになれば幸いです。