焼肉屋さんでメニューを開いたとき、「タン元」や「タン中」といった名前を見て「結局、どこの部位が一番美味しいの?」と迷ってしまった経験はありませんか。

牛タンは「1本の舌」でありながら、切り出す場所によって「とろけるような柔らかさ」から「力強い噛みごたえ」まで、まるで別のお肉のように個性が異なります。

「タン元」や「タン中」といった部位の違いがわからず、何となく選んで「思ったより硬かった」「高かったのに期待ほどおいしくなかった」と感じるのは、牛タンの部位の違いを知らないまま選んでしまうことが原因になりがちです。

ここでは、以下のような疑問について丁寧に解説していきます。

  • 牛タンの部位ごとの名前と、味や食感の具体的な違いが知りたい
  • 焼肉で牛タンの一番柔らかくて美味しい「部位」はどこなのか知りたい
  • 牛タンの部位によって最適な「厚さ」や「焼き加減」があるのかを知りたい

牛タンを「なんとなく」で選ばなくて済むように、牛タンの部位ごとの特徴を整理し、専門用語をできるだけ使わず、味、食感、食べ方を解説します。

牛タンの部位が分かると、焼肉屋のメニューの見え方が変わります。スーパーで牛タンを手に取るときの判断も変わります。「今日はやわらかさ重視」「今回はコスパ重視」と、目的に合わせて選べるようになります。

Contents
  1. 牛タンって牛のどこの部位?
  2. 牛タンは1本の舌から4つの部位に分類
  3. 牛タンの部位構成と部位別の違い
  4. 牛タンの部位ごとの味と食感の違い
  5. 牛タンの部位と値段の関係
  6. 国産牛の牛タンと輸入牛の牛タンの違い
  7. 牛タンの部位別のおすすめの食べ方
  8. 牛タンの部位別の焼き方と火入れの考え方
  9. 牛タンの購入時の選び方
  10. 牛タンの4つの部位の特徴:まとめ

牛タンって牛のどこの部位?

牛タンって牛のどこの部位?

牛タンは、牛の口の中にある「舌」を食用にした部位です。牛の体の中では内臓に近い位置づけですが、筋肉の性質が強く、焼肉や定食など幅広い料理に使われています。舌というと少し意外に感じる人もいますが、牛タンは独特の食感と旨味を持つ、昔から親しまれてきた食材です。

牛タンは牛の「舌」にあたる部位

牛タンは牛の「舌」にあたる部位

牛タンは、牛の口の中にある「舌」そのものです。

英語で舌を意味する「tongue(タング)」がなまって、日本では「タン」と呼ばれるようになりました。牛の舌は長さが約50cm前後もあり、重さは1kgを超える大きな筋肉の塊です。

牛は1日のうちの長い時間を、牧草や干し草、飼料を巻き取って食べることに費やします。舌を休まず動かし続けるため、非常に発達した筋肉が作られます。この発達した筋肉が、牛タン特有の心地よい歯ごたえを生み出しています。

牛の舌が食材として使われるようになった理由

牛の舌が食材として使われるようになった理由

日本では昔、牛の舌や内臓を食べる習慣が一般的ではありませんでした。しかし、第二次世界大戦後の仙台市において、焼き鳥店を経営していた佐野啓四郎氏が「誰にも真似できない独自の料理を作りたい」と考えたことが転機となります。

佐野氏は、当時はあまり注目されていなかった牛の舌に着目し、洋食のタンシチューから着想を得て、炭火で焼く「牛タン焼き」を考案しました。これが評判を呼び、全国に広まるきっかけとなりました。

他の内臓肉(ホルモン)との位置づけの違い

他の内臓肉(ホルモン)との位置づけの違い

牛タンは分類上「内臓肉(ホリモン)」に含まれますが、味わいや扱いは「正肉(赤身肉)」に近い特別な存在です。

日本の食肉流通では、枝肉(骨付きの肉)以外の部位はすべて「内臓(副産物)」として分類されます。そのため、牛タンもレバーやハツと同じホルモンの仲間として扱われます。しかし、食感や見た目は一般的なホルモンのようなクセが少なく、赤身肉のような満足感があります。

項目牛タン一般的な内臓肉
分類内臓肉内臓肉
主な性質筋肉質脂や内臓特有の組織
臭み出にくい出やすい場合がある
食感弾力があり噛み応えがある柔らかい、または脂が多い
主な調理焼肉、定食、煮込み煮込み、炒め物

牛タンは1本の舌から4つの部位に分類

牛タンは1本の舌から4つの部位に分類

牛タンは、大きく分けて「タン先」「タン中」「タン元」「タン下」の4つの部位に分類されます。

牛タンは「舌」という1つの部位ですが、実際の流通では食感や脂の量の違いに合わせて4つの部位名に分けて扱われます。

牛の舌は、根元から先端まで同じ硬さではありません。牛の舌は根元側ほど脂が入りやすく、先端側ほど筋が増えて歯ごたえが強くなる傾向があります。そのため、飲食店や精肉の現場では、食感や用途に合わせて区切り、部位名を付けて販売します。

さらに牛タンは「表側」「裏側」で筋の入り方が異なります。裏側にあたるタン下は、同じ長さの位置でも筋が目立ちやすく、カットや下処理で価値が変わります。

牛タンの部位名が分かりにくい理由

牛タンの部位名が分かりにくい理由

牛タンの呼び名は、お店や地域によって独自の呼び方があったり、店や業者によって切り分け方の基準が一つではないため、統一された明確な基準が伝わりにくいからです。

食肉業界には、特定の部位をより高級に見せたり、親しみやすくしたりするために、マーケティング的な名前を付ける習慣があります。例えば、最も柔らかい「タン元」の一部を、希少価値を高めるために「芯タン」や「特上タン」と呼び変える店舗が多く存在します。

消費者は「タン元」という公的な部位名よりも、お店のメニュー名で覚えることが多いため、情報の混乱が起きてしまいます。

一般的な部位名お店での主な呼び方
タン元芯タン、極上タン、トロタン
タン中上タン、並タン
タン先赤タン、先タン
タン下落ちタン、アゴ、タンルート

牛タンの部位構成と部位別の違い

牛タンの部位構成と部位別の違い

牛タンは1本の舌の中で、根元から先端にかけて肉質がグラデーションのように変化します。喉に近い「タン元」は脂がのって柔らかく、先端の「タン先」に近づくほど筋肉が発達して硬くなる性質があります。

部位名場所食感の特徴
タン元喉の奥に近い根元非常に柔らかくジューシー
タン中舌の真ん中あたり適度な歯ごたえと旨味
タン先舌の先端部分硬めで脂が少なくヘルシー
タン下舌の裏側の筋肉筋が多いが濃厚

タン先の特徴|硬めで脂が少なくヘルシー

タン先の特徴|硬めで脂が少なくヘルシー

タン先は、牛の舌の先端部分にあたり、脂肪が少なくて歯ごたえが強く、噛むほどに旨味が出る部位です。

牛はエサを食べる際に舌の先を器用に動かして草を巻き取ります。先端部分は最も運動量が多い場所であるため、筋肉が細かく引き締まっていて脂肪がほとんど蓄積されません。

お肉の色は濃い赤色をしており、鉄分を多く含んでいることが特徴です。そのまま焼くと硬さを感じやすいですが、噛むほどに赤身肉特有の濃厚な味わいを楽しめます。

タン中の特徴|適度な歯ごたえと旨味

タン中の特徴|適度な歯ごたえと旨味

タン中は、舌の中央に位置する部位で、柔らかさと食感のバランスが最も整っています。

牛の舌は根元側ほど脂が入りやすく、先端側ほど筋が目立ちやすくなります。タン中はちょうど中間にあたり、脂が重すぎず、硬すぎない状態になりやすい位置です。

そのため、薄切りで焼いても食感が残り、厚切りでも極端に硬くなりにくい特徴があるので、焼肉として食べるのに最も適した「標準的な牛タン」と言えます。牛タンの「定番らしさ」を感じやすい部位がタン中です。

タン元の特徴|非常に柔らかくジューシー

タン元の特徴|非常に柔らかくジューシー

タン元は、舌の付け根にあたる最も贅沢な部位で、柔らかく豊かな脂の甘みが楽しめます。牛タンの中でも特にやわらかくジューシーになりやすい部位です。

舌の根元は、牛が食べ物を飲み込む際に支えとなる部分ですが、先端のように激しく動き回ることはありません。動かさない筋肉には「サシ」と呼ばれる網目状の脂肪が細かく入り込みます。

1本の牛タンから取れる量はごくわずかであり、その希少性から最高級品として扱われます。厚切りにしても簡単に噛み切れるほどの柔らかさは、タン元ならではの特権です。

タン下の特徴|筋が多くて硬いが濃厚

タン下の特徴|筋が多くて硬いが濃厚

タン下は、舌の裏側に張り付いている細長い筋肉で、コリコリとした独特の食感と深いコクが特徴です。

タン下は、舌全体を動かすための「土台」となる筋肉が集まっています。そのため、太い筋(すじ)が多くて硬いのですが、その分お肉自体の味が非常に濃いのが魅力です。焼肉店では「タン筋」や「アゴ」という名前でメニューに並ぶこともあります。

丁寧に下処理をして筋を断ち切ったり、ミンチにして加工したりすることで、他の部位にはない強い旨味を引き出せます。

牛タンの部位ごとの味と食感の違い

牛タンの部位ごとの味と食感の違い

牛タンは同じ「舌」でも、部位によってやわらかさ、脂の量、旨味の出方が変わります。さらに厚切りか薄切りかで印象が大きく変わり、同じ部位でも「別の料理」のように感じる場合があります。

牛タンの部位のやわらかさ(食感)の違い

牛タンの部位のやわらかさ(食感)の違い

牛タンの柔らかさは、喉に近い「根元」が最も柔らかく、口の外に出る「先端」に近づくほど硬くなります。

牛の舌は、根元から先端まで「筋肉の性質」が少しずつ変わります。根元側は脂が入りやすく、筋繊維が締まりにくい傾向があり、火を通してもやわらかさが残りやすくなります。先端側は細かく動く部位で、筋繊維が締まりやすいため、歯ごたえが強くなりやすい特徴があります。

タン下は裏側寄りで筋が目立ちやすく、切り方や下処理で食感の差が出やすい部位です。料理店がタン下を薄切りにしたり、たれ焼きにしたりする理由は、筋の存在を食べやすさに変える工夫です。

部位名柔らかさランク食感のイメージ
タン元★★★★★歯がスッと入るほど柔らかい
タン中★★★適度な弾力とプリプリ感
タン先ゴリゴリとした力強い歯ごたえ
タン下筋っぽく硬さがある

牛タンの食感は部位で変わり、タン元はやわらかく、タン先は歯ごたえが強めになりやすい傾向があります。タン下は筋の影響が出やすいため、薄切りや味付けで食べやすくなります。

脂の量と旨味に差が出る牛タン部位

脂の量と旨味に差が出る牛タン部位

牛タンの脂の甘みとジューシーな旨味は「タン元」に集中しており、「タン先」に近づくほど脂が抜けてさっぱりとした赤身の味わいが強まります。脂が少ない部位ほど噛むほどに旨味を感じやすい傾向があります。

牛タンの脂は、口の中で「香り」と「コク」を作ります。舌の付け根であるタン元には、白い霜降りが網目状にびっしりと入り込み、焼いたときに脂が溶け出して香ばしく、濃厚な旨味に変わります。

タン先は脂が少なめで、肉の味が前に出ます。タン先は噛む回数が増えるため、旨味をゆっくり感じやすくなります。タン中は脂と赤身のバランスがいい部位です。タン下は筋が多い一方で旨味が濃異部位です。

部位名脂の量味わいの特徴
タン元多い甘みが強く、肉汁があふれる
タン中普通脂と赤身のバランスが絶妙
タン先少ない脂っこさがなく、非常にヘルシー
タン下部分差あり濃厚で力強い

牛タンは脂の量で印象が変わり、タン元はジューシー、タン先は噛むほど旨味が出るタイプになりやすい傾向があります。タン中は万能型で、タン下は濃厚さが魅力です。

厚切りと薄切りで変わる牛タンの印象

厚切りと薄切りで変わる牛タンの印象

厚切りは「お肉のジューシーさ」をダイレクトに感じさせ、薄切りは「軽やかな食感と香ばしさ」を強調します。

厚切りに適しているのは、加熱しても硬くなりにくいタン元やタン中です。厚みがあることで、噛んだ瞬間に中から温かい肉汁が溢れ出し、ステーキのような満足感を得られます。

対して、硬さのあるタン先などは、薄くスライスすることで食べやすさが劇的に向上します。薄いお肉は火が通りやすく、表面をカリッと焼き上げることで、香ばしさと独特のコリコリとしたリズムを楽しむことができます。

牛タンの食べ方が「タン塩の薄切り」と「厚切り牛タン」の2方向に分かれる理由は、切り方が食感と香りを別の形で引き出すからです。

牛タンの部位と値段の関係

牛タンの部位と値段の関係

牛タンは1頭につき1本しか取れない「量が少ない食材」です。そのため牛タンの価格は、部位ごとの「柔らかさ」と「希少性」によって大きく変動します。

1本の舌の中でも、最も柔らかく脂がのった根元側のタン元は、取れる量が非常に少ないため高値で取引されます。一方で、先端に近づくほど肉質が硬くなるため、価格は手頃になる傾向があります。

次に、やわらかさと脂の入り方が価格に影響します。食べた瞬間にやわらかさを感じる部位は、おいしさを理解しやすいため人気が集まります。人気が集中すると市場価格が上がります。

最後に需要です。焼肉の定番である薄切りタン元は人気が高く、タン中も需要が安定します。需要が安定する部位は価格が下がりにくい傾向があります。

部位名希少価値価格帯特徴
タン元非常に高い高価1頭からごくわずかしか取れない最高級品
タン中高い普通焼肉店で最も一般的に提供される価格帯
タン先低い(量が多い)安価運動量が多くて硬いため、お手頃な価格

国産牛の牛タンと輸入牛の牛タンの違い

国産牛の牛タンと輸入牛の牛タンの違い

牛タンは産地によって、脂ののり方や風味に大きな違いがあります。国産牛はきめ細やかな霜降りととろけるような食感が特徴であり、輸入牛は赤身の旨味としっかりとした歯ごたえが魅力です。

国産牛の牛タンの特徴

国産牛の牛タンの特徴

日本の畜産農家は、牛を育てる際に穀物を中心とした栄養価の高いエサを与えます。牛をあまり運動させずに大切に育てるため、舌の筋肉の間にも「サシ」と呼ばれる白い脂が細かく入り込みます。

このため、輸入牛に比べて1本あたりのサイズが大きく、どこを切り取ってもジューシーな味わいを楽しめます。流通量が非常に少ないため、焼肉店では「和牛タン」として高値で取引される高級食材です。

項目特徴
食感とろけるように柔らかく、しっとりしている
味わい脂の甘みが強く、濃厚なコクがある
希少性国内流通の数%程度と言われるほど極めて稀少
価格輸入牛の数倍の値段がつくこともある

輸入牛の牛タンの特徴

輸入牛の牛タンの特徴

海外の広大な牧草地で放牧されて育つ牛は、自分の足で歩き回り、草を食べて成長します。よく運動するため、筋肉が引き締まっていて脂質が少なく、ヘルシーな肉質になります。

国産牛に比べるとやや小ぶりで食感は硬めですが、噛めば噛むほど牛肉らしい野生的な香りと旨味が溢れ出します。現在、日本の焼肉店やスーパーで並んでいる牛タンのほとんどが、こうした輸入牛です。

国名味わいの傾向飼育スタイルの特徴
アメリカ産脂と赤身のバランスが良い穀物中心の飼料ため国産に近い
オーストラリア産赤身が強く、さっぱりしている広大な土地で草を食べて育つ

牛タンの部位別のおすすめの食べ方

牛タンの部位別のおすすめの食べ方

牛タンの美味しさを最大限に引き出すためには、部位ごとの硬さや脂の量に合わせて調理法を変えることが重要です。柔らかい部位は強火でサッと焼いてジューシーさを楽しみ、硬めの部位はじっくり時間をかけて加熱することで驚くほど柔らかく変化します。

焼肉に向いている牛タン部位

焼肉に向いている牛タン部位

焼肉に最も向いている部位は、脂がのって柔らかい「タン元」と、適度な歯ごたえがある「タン中」です。

焼肉は短時間で一気にお肉を焼き上げる料理であるため、もともと柔らかい性質を持つ部位が好まれます。タン元は加熱しても硬くなりにくく、口の中でとろけるような脂の甘みをダイレクトに味わえます。

タン中はプリッとした心地よい弾力があり、レモン塩やねぎ塩といったさっぱりした味付けとの相性が抜群です。これらの部位は、網の上で表面を香ばしく焼くだけで、牛タン特有の旨味が完成されます。

部位名おすすめの厚さ相性の良い味付け
タン元厚切り(1cm以上)岩塩、わさび醤油
タン中薄切り〜中厚切りねぎ塩だれ、レモン汁

煮込み・シチュー向きの牛タン部位

煮込み・シチュー向きの牛タン部位

煮込み料理には、筋肉がしっかりしていて旨味が凝縮された「タン先」や「タン下」が最適です。タン先やタン下は運動量が多いため、そのまま焼くと非常に硬く感じられます。

しかし、コラーゲンというタンパク質が豊富に含まれているため、長時間コトコトと煮込むことで、この成分がゼラチン状に変化してプルプルと柔らかくなります。煮込めば煮込むほど、お肉から濃厚な出汁がスープに溶け出し、シチューやカレーに深いコクを与えてくれます。

硬さが気になるタン先やタン下は、弱火でじっくり煮込むことで、レストランのタンシチューのような「ホロホロ食感」に生まれ変わります。

牛タン定食や牛タン丼に使われやすい部位

牛タン定食や牛タン丼に使われやすい部位

定食や丼ものには、脂と赤身のバランスが良く、ご飯が進む「タン中」が主に使われます。

牛タン定食の主役は、適度な歯ごたえとお肉の旨味のバランスです。タン中は、タン元ほど脂が重すぎず、タン先ほど硬すぎないため、何枚食べても飽きがこない良さがあります。

また、麦飯やとろろ、お漬物といった定食の定番メニューとも非常に相性が良い部位です。丼ものにする際も、タレがよく絡む適度な繊維感があるため、ご飯と一緒に頬張るのに最も適しています。

比較的安い部位でもおいしく食べるコツ

比較的安い部位でもおいしく食べるコツ

硬い部位の正体は、お肉の中に張り巡らされた「硬い筋」や「強い繊維」です。これをお肉を食べる前に物理的に断ち切ってあげることで、口当たりが劇的に良くなります。

例えば、包丁の背で叩いて繊維をほぐしたり、お肉の表面に細かく切れ目(隠し包丁)を入れたりする技法が有効です。

また、梨のすりおろしや塩麹に数時間漬け込むと、酵素の働きでお肉のタンパク質が分解され、驚くほど柔らかくなります。

方法効果
隠し包丁噛み切りやすくなり、火の通りも良くなる
塩麹漬け発酵の力でお肉を芯から柔らかくする
薄切りにする繊維を短くすることで硬さを感じさせない

牛タンの部位別の焼き方と火入れの考え方

牛タンの部位別の焼き方と火入れの考え方

牛タンは部位によって「脂の量」と「筋肉の密度」が大きく異なるため、すべてを同じように焼くのではなく、部位に合わせた火入れをすることが重要です。

柔らかい根元側はジューシーな肉汁を閉じ込めるように、硬めの先端側は食感を活かしつつ歯切れを良くするように焼くことで、家庭でもプロのような仕上がりを再現できます。

牛タンの部位ごとに適した焼き加減

牛タンの部位ごとに適した焼き加減

牛タンは部位で脂と筋の量が違います。タン元は脂が入りやすく、焼くと香りとジューシーさが出やすい部位です。タン元は中まで火を入れすぎると、せっかくのやわらかさが失われやすくなります。

タン中はバランス型の部位なので、焼きすぎさえ避ければ失敗しにくい傾向があります。タン下とタン先は筋が目立ちやすく、火を入れすぎると硬さが出やすい部位です。焼肉でおいしく仕上げたい場合、薄切りで短時間に仕上げる方法が向きます。味付けをたれ寄りにすると、旨味の強さが活きます。

部位名推奨する焼き加減火力のポイント
タン元ミディアムレア表面を焦がし、中はピンク色を残す
タン中ミディアム表面をサクッとさせ、中心まで温める
タン先・タン下ウェルダン強火で短時間、表面を香ばしく焼く

部位の脂の量を見極めて、柔らかい部分は「予熱」を活かし、硬めの部分は「短時間集中」で焼き上げることが、失敗しない火入れの鉄則です

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厚切り牛タンと薄切り牛タンの焼き分け

厚切り牛タンと薄切り牛タンの焼き分け

厚切り牛タンは「表面を香ばしく、中はやわらかく残す」焼き方が合います。薄切り牛タンは「短時間で焼き色をつけて止める」焼き方が合います。

厚切りにするのは主に柔らかいタン元です。厚みがあるお肉を一気に強火で焼くと、外側だけが焦げて中は冷たいままになります。中火で何度も返しながら、お肉の表面に汗(肉汁)が浮いてくるのを待つ「育てる焼き方」が必要です。

反対に、薄切りは一瞬の加熱で火が通ります。網やフライパンをしっかり熱してからお肉をのせ、片面を8割、もう片面を2割のイメージで焼くと、柔らかさと香ばしさを両立できます。

切り方焼き方の考え方向く部位
厚切り表面を香ばしく、中は柔らかくタン元、タン中の良い部分
薄切り焼き色がついたら止めるタン中、タン下、タン先

焼きすぎると硬くなりやすい部位

焼きすぎると硬くなりやすい部位

脂の少ない「タン先」や「タン下」は、焼きすぎるとお肉が急激に縮んでしまい、ゴムのような硬さになります。

タン先は脂が少なめで、筋繊維が締まっている傾向があります。火を入れすぎると水分が抜けやすく、噛み切りにくくなります。

タン下は筋が目立ちやすい部位で、加熱が進むほど筋の硬さが気になりやすくなります。タン下は薄切りにして短時間で焼くと食べやすくなります。

タン中は万能ですが、薄切りを焼き続けると水分が抜けて硬くなります。焼肉での失敗が多い原因は、焼き色がついた後も網の上に置き続ける行為です。

タン先とタン下は焼きすぎると硬くなりやすい部位です。薄切りは特に焼き時間が短くなるため、焼き色がついた段階で止める意識が大切です。

牛タンの購入時の選び方

牛タンの購入時の選び方

スーパーや精肉店で牛タンを選ぶ際は、パックの中のお肉が「どの部位にあたるのか」を見極めることが重要です。一見すると同じように見えるスライス肉も、色味や形、脂の入り方によって異なります。

スーパーでよく見かける牛タン部位

スーパーでよく見かける牛タン部位

スーパーの店頭に並ぶ牛タンの多くは、味と食感のバランスが良い「タン中」や、価格が手頃な「タン先」です。

1頭から取れる量が極めて少ない「タン元」は、非常に高価であるため、一般的なスーパーではあまり取り扱われません。その代わりに、焼肉用として広く親しまれているタン中がメインとして販売されています。

タン中は適度な大きさがあり、均一な厚みにスライスしやすいため、パック詰めの商品に最適です。また、薄切りにされた赤身の強いお肉はタン先であることが多く、こちらは炒め物や日常のおかず用として手に入りやすい価格で売られています。

おいしそうな牛タンの選び方と見分け方

おいしそうな牛タンの選び方と見分け方

鮮度が良く美味しい牛タンは、お肉の色が「鮮やかなピンク色」をしており、表面に美しいツヤがあるものです。

新鮮な牛タンは、酸素に触れることで綺麗なピンク色や淡い赤色を発色します。時間が経過して鮮度が落ちてくると、お肉の色は次第にどす黒くなったり、逆に白っぽく退色したりしてしまいます。

また、パックの底に「ドリップ」と呼ばれる赤い液体がたくさん出ているものは、旨味成分が逃げ出している証拠です。脂身の部分が真っ白で、赤身とのコントラストがはっきりしているお肉を選ぶと、焼いたときに豊かな風味が広がります。

「色鮮やかなピンク色」「ツヤがある」「汁が出ていない」という3つのポイントを意識するだけで、誰でも簡単に美味しい牛タンを見分けることができます。

ブロック牛タンを買うときの見極め方

ブロック牛タンを買うときの見極め方

塊(ブロック)で購入する場合は、断面が大きく、白い霜降りが細かく入り込んでいるものを選ぶのが正解です。

牛タンのブロックは、根元側が太くて厚みがあり、先端にいくほど細く平べったい形状をしています。断面が大きく丸みを帯びているものは、柔らかい「タン元」に近い部分である可能性が非常に高いです。

さらに、断面に白い網目状の脂が散らばっていれば、加熱したときにとろけるような食感を約束してくれます。逆に、細長いブロックは硬いタン先側の割合が多いため、煮込み料理を作る予定がない場合は避けるのが無難です。

チェック項目良いブロック(タン元寄り)避けたいブロック(タン先寄り)
太くてボリュームがある細長く、平らである
脂の入りサシが見える全体的に赤黒く、脂が見えない
弾力触ると弾力があり柔らかい筋張っていて硬そうに見える

家庭で牛タンを切り分けるときの考え方

家庭で牛タンを切り分けるときの考え方

牛タンを切る際は、お肉の「繊維に対して垂直に」包丁を入れ、部位が持つ硬さに合わせて厚みを調整することが最も重要です。

牛タンの筋肉は、舌の根元から先端に向かって一定の方向に長い繊維が走っています。この繊維に沿って切ってしまうと、お肉が非常に硬く感じられ、噛み切るのに苦労します。繊維を断ち切るように垂直に包丁を動かすことで、口の中で繊維が簡単に解け、柔らかい食感が生まれます。

また、脂の多いタン元は食べ応えのある「厚切り」に、筋肉質なタン先は「超薄切り」にすることで、部位ごとの欠点を補い魅力を最大化できます。

部位切り方のポイント理由
タン元8mm〜10mmの厚切り脂が多くて柔らかいため、厚くても噛み切れる
タン中3mm〜5mmのスライス脂と弾力のバランスを一番良く感じる厚み
タン先・タン下1mm〜2mmの極薄切り繊維が強いため、薄くして硬さを緩和する

牛タンの4つの部位の特徴:まとめ

この記事では、牛タンの部位ごとの特徴から、選び方、そして美味しく食べるための調理のコツまで詳しく解説してきました。牛タンは1本の舌でありながら、切り出す場所によって全く異なる個性を持つ非常に奥が深い食材です。

これまで「牛タンはどこも同じ」と思っていた方も、部位ごとの違いを理解することで、お店での注文やスーパーでのお買い物が今まで以上に楽しくなるはずです。

ここで改めて、この記事でご紹介した特に重要なポイントを振り返ってみましょう。

  • 牛タンは4つの部位に分かれる
    喉元の「タン元」、真ん中の「タン中」、先端の「タン先」、裏側の「タン下」があり、根元ほど柔らかく先端ほど硬い性質があります。
  • 一番の高級部位は「タン元」
    1頭からわずかしか取れない希少な部位で、脂がのっており厚切りステーキや特上タンとして愛されています。
  • 万能なのは「タン中」
    脂と赤身のバランスが良く、私たちが普段「牛タン定食」や「焼肉」で食べている最も馴染み深い部位です。
  • 煮込み料理には「タン先・タン下」
    焼くと硬い部位ですが、コラーゲンが豊富で、じっくり煮込むことでホロホロととろけるような旨味が引き出されます。

牛タンの部位を知ることは、難しい知識を覚えることではありません。「今日は焼肉だからやわらかい部位」「煮込みだから硬めでも問題ない部位」と、目的に合わせて選ぶための判断材料を持つことです。
部位の違いが分かると、外食でも家庭でも牛タン選びに自信が持てるようになります。値段にも納得しやすくなり、「次はどの部位をどう食べようか」と考える楽しさも生まれます。

牛タンをもっとおいしく、もっと無駄なく楽しむために、この記事で整理した部位の考え方を、次に牛タンを選ぶ場面で思い出してみてください。