「しめ鯖はお酢で締めているから、生のサバより安心そう」と思っていませんか?

実は、しめ鯖はアニサキス食中毒の原因として多く報告されている食品のひとつです。そう聞くと、スーパーで買ったしめ鯖や、家庭で作るしめ鯖も心配になりますよね。

しめ鯖のアニサキスについて、こんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

  • しめ鯖はなぜアニサキス食中毒が多いの?
  • お酢で締めればアニサキスは死ぬの?
  • 家庭用の冷凍庫でもアニサキスを予防できる?
  • スーパーで売っているしめ鯖は安心して食べられる?
  • しめ鯖を食べた後にお腹が痛くなったらどうすればいい?

実は、サバはもともとアニサキスが多く確認される魚で、お酢で締めるだけではアニサキスは死滅しません。

ただし、適切な冷凍や加熱によって、アニサキス食中毒のリスクを減らすことはできます。

この記事では、しめ鯖でアニサキス食中毒が多く報告される理由から、家庭でできる予防方法、スーパーで購入するときの注意点、症状が出た場合の対処法までわかりやすく解説します。

正しい知識を身につければ、しめ鯖を買うときも家庭で作るときも、何に気をつければよいのか判断しやすくなります。

しめ鯖を安心して楽しむために、ぜひ参考にしてください。

この記事の内容
  1. なぜしめ鯖はアニサキス食中毒が多い?サバと酢締めに潜む原因
  2. 家庭でしめ鯖を作るなら?アニサキスを防ぐための対策
  3. スーパーのしめ鯖は大丈夫?買う前に確認したいポイント
  4. しめ鯖を食べた後に腹痛が…アニサキス症の症状と対処法
  5. しめ鯖のアニサキスについてよくある疑問
  6. まとめ|しめ鯖は酢締めだけに頼らずアニサキス対策を

なぜしめ鯖はアニサキス食中毒が多い?サバと酢締めに潜む原因

なぜしめ鯖はアニサキス食中毒が多い?サバと酢締めに潜む原因

しめ鯖によるアニサキス食中毒が多く報告される背景には、もともとサバにアニサキスが多く寄生していることに加え、酢で締めるだけでは死滅しないという問題があります。

実際に、国立感染症研究所の「東京都におけるアニサキス症とその対策」によると、2011~2015年の東京都の調査では、しめ鯖を原因食品とする事例が有症事例の約30%を占めていました。

しめ鯖でアニサキス食中毒が起こる理由を、3つに分けて見ていきましょう。

  • そもそもサバはアニサキスが多い魚
  • アニサキスは内臓だけでなく、サバの身にも寄生する
  • 酢で締めてもアニサキスは死なない

そもそもサバはアニサキスが多い魚

そもそもサバはアニサキスが多い魚

サバは、アニサキスの寄生に特に注意したい魚のひとつです。実際の調査でも、多くのサバからアニサキスが確認されています。

食品安全委員会が公開している「アニサキス汚染実態調査およびリスク低減策の評価に関する研究」では、2019~2021年度の調査で、マサバの切り身391検体のうち234検体(約60%)からアニサキスが検出されました。

なるほどポイント: 約60%という数字は、調査したマサバの切り身からアニサキスが見つかった割合です。死んだアニサキスも含まれており、サバを食べた人の60%が食中毒になるという意味ではありません。

もちろん、すべてのサバにアニサキスがいるわけではなく、寄生状況も魚によって異なります。

ただし、家庭でしめ鯖を作るなら、サバにはアニサキスがいる可能性を考えておくことが大切です。

なお、サバ以外の魚についても知りたい方は、アニサキスが多い魚と家庭でできる安全対策も参考にしてください。

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内臓だけじゃない!アニサキスはサバの身にも潜んでいる

内臓だけじゃない!アニサキスはサバの身にも潜んでいる

アニサキスは主に魚の内臓の表面に寄生していますが、私たちが食べるサバの身にも入り込んでいることがあります。

なぜなら、魚が死んでから時間が経つと、内臓にいたアニサキスが身へ移動する場合があるためです。また、魚が生きているときから身に寄生していることも、厚生労働省の「アニサキス食中毒に関するQ&A」で説明されています。

なるほどポイント: スーパーで売られている内臓を取り除いたサバや、三枚におろしたサバでも、身の中にアニサキスが残っている可能性があります。

そのため、「内臓を取り除いたから、しめ鯖にしても大丈夫」とは判断できません。

家庭でしめ鯖を作る場合は、内臓の処理だけで安心せず、身にもアニサキスがいる可能性を考えた対策が必要です。

酢で締めてもアニサキスは死なない!

酢で締めてもアニサキスは死なない!

しめ鯖は塩や酢を使って調理しますが、酢で締めるだけではアニサキスは死滅しません。

農林水産省の「海の幸を安全に楽しむために~アニサキスの予防~」でも、酢や塩などの調味料ではアニサキスが死なないことを明確に説明しています。

調理方法による違いを整理すると、次のようになります。

調理・処理方法アニサキスへの効果
酢で締める死滅しない
塩で締める死滅しない
適切な条件で冷凍する死滅させられる
十分に加熱する死滅させられる

なるほどポイント: 酢で締めてサバの味が変わっても、アニサキスが死んだわけではありません。酢締めによる味付けと、アニサキスを死滅させる処理は別のものです。

家庭でしめ鯖を作るときは、酢締めだけに頼らず、適切な冷凍処理を行うことが大切になります。

具体的な冷凍温度や必要な時間、家庭での下処理については、次の章で詳しく紹介します。

家庭でしめ鯖を作るなら?アニサキスを防ぐための対策

家庭でしめ鯖を作るなら?アニサキスを防ぐための対策

家庭でしめ鯖を作るときは、サバを新鮮な状態で扱うことに加え、適切な冷凍処理を行うことが大切です。 内臓を取り除いたり、目で確認したりするだけでは、アニサキスを完全に防げるとは限りません。

アニサキス食中毒を防ぐために、家庭で気をつけたいポイントを順番に確認していきましょう。

  • サバを買ったら冷やして持ち帰り、早めに内臓を取り除く
  • 調理するときはアニサキスがいないか目で確認する
  • 家庭用冷凍庫の温度と冷凍時間を確認する
  • 酢締めの前後で、適切な冷凍処理を行う
  • 冷凍条件を満たせない場合は十分に加熱する

サバを買ったらまず何をする?冷やして早めに内臓を取ろう

サバを買ったらまず何をする?冷やして早めに内臓を取ろう

丸ごとのサバを購入したら、よく冷やして持ち帰り、できるだけ早く内臓を取り除きましょう。

農林水産省の「海の幸を安全に楽しむために~アニサキスの予防~」でも、鮮魚を丸ごと購入した場合は、冷やして持ち帰り、すぐに内臓を取り除くよう案内しています。

家庭で扱うときは、次のポイントを意識しましょう。

  • 購入したサバは、保冷剤や保冷バッグを使って冷やしながら持ち帰る
  • 丸ごとのサバは、帰宅後できるだけ早く内臓を取り除く
  • 取り除いた内臓は生で食べない

なるほどポイント: サバを冷やして持ち帰ることと、早めに内臓を取り除くことは、別々の大切な対策です。冷蔵庫に入れたからといって、内臓を付けたまま長時間置いてよいわけではありません。

ただし、鮮度のよいサバでもアニサキスがいないとは限りません。しめ鯖用のサバは生食用として販売されているものを選び、適切な冷凍処理も行いましょう。

アニサキスは目で見える?確認するときの注意点

アニサキスは目で見える?確認するときの注意点

アニサキスは肉眼でも確認できる寄生虫です。ただし、サバの身に紛れていると見つけにくく、目視だけですべてを発見できるとは限りません。

厚生労働省の「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」では、アニサキスの幼虫を白い糸状の寄生虫として紹介しています。

見た目の特徴を簡単に整理すると、次のようになります。

確認する部分アニサキスの特徴
色白色で、半透明に見えることもある
長さ約2~3cm
太さ約0.5~1mm
形少し太い糸のような形

サバをさばくときは、明るい場所で身の表面や切った断面を確認し、白い糸状のものがないか注意してみましょう。

なるほどポイント: アニサキスは目で見える大きさでも、魚の身の中に隠れていると見落とす可能性があります。「よく見たけれど見つからなかった」というだけで、安全とは判断できません。

農林水産省の「安全に食事を楽しむ!肉、魚、野菜の調理法」でも、アニサキスを見つけた場合は、その魚を冷凍または加熱するよう案内しています。

目視確認は大切ですが、しめ鯖を作るときは適切な冷凍処理と組み合わせることが重要です。

家庭用冷凍庫で何℃・何時間?冷凍の目安をチェック

家庭用冷凍庫で何℃・何時間?冷凍の目安をチェック

アニサキスを冷凍で死滅させるには、-20℃で24時間以上の冷凍が必要です。

ただし、家庭では冷凍庫に入れてから24時間待てばよい、というわけではありません。

農林水産省の「海の幸を安全に楽しむために~アニサキスの予防~」では、一般的な家庭用冷蔵庫の冷凍室について、次のように案内しています。

  • 冷凍室を「強」または「強め」に設定する
  • 冷凍室が-20℃以下になることを確認する
  • サバが完全に凍ってから24時間以上を目安にする

なるほどポイント: 冷凍庫に入れた瞬間から24時間を数えるのではなく、サバが中心まで完全に凍ってからの時間が重要です。

また、農林水産省の「ホームフリージングする際の注意点について教えてください」では、家庭用冷凍室の通常の温度は-18℃程度と説明されています。

普段使っている冷凍庫が-20℃以下になるとは限らないため、取扱説明書や温度計などで確認しましょう。

必要な温度を維持できるか、サバの中心まで十分に凍っているかを確認できない場合は、家庭での冷凍だけに頼って生食することは避けてください。

冷凍するのは酢締めの前?後?正しいタイミングを確認

冷凍するのは酢締めの前?後?正しいタイミングを確認

しめ鯖を作るときは、酢で締める前でも、締めた後でも、適切に冷凍すればアニサキス対策になります。

農林水産省の「海の幸を安全に楽しむために~アニサキスの予防~」でも、酢締めの前後どちらで冷凍してもよいと説明しています。

家庭で作る場合の流れを整理すると、次のようになります。

冷凍するタイミング調理の流れ
酢締めの前下処理 → 冷凍 → 解凍 → 塩・酢で締める
酢締めの後下処理 → 塩・酢で締める → 冷凍 → 解凍

なるほどポイント: アニサキス対策で重要なのは、酢で締める順番ではなく、必要な温度と時間を満たして冷凍することです。

たとえば、サバを冷凍してから解凍し、いつもの方法で酢締めすることもできます。反対に、酢締めを済ませた後で冷凍する方法もあります。

どちらを選ぶ場合でも、冷凍までの間はサバを適切に冷やして扱い、冷凍条件を確実に満たすことが大切です。

冷凍できないときは?十分に加熱して食べよう

冷凍できないときは?十分に加熱して食べよう

家庭の冷凍庫で必要な温度を確保できない場合は、しめ鯖として生のまま食べることを避け、十分に加熱する方法を選びましょう。

厚生労働省の「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」では、アニサキスを死滅させる加熱条件として、次の温度と時間を示しています。

加熱温度アニサキスを死滅させる条件
60℃1分間
70℃以上瞬時

加熱するときは、サバの表面だけでなく、中心部まで十分に火を通すことが大切です。

なるほどポイント: アニサキスは十分な加熱で死滅させられますが、表面を軽く炙るだけでは、身の中まで必要な温度に達したとは限りません。

冷凍条件を満たせない場合は、しめ鯖にする予定だったサバを焼き魚や煮魚に変更するのも一つの方法です。

なお、紹介した温度と時間はアニサキスを死滅させるための条件です。加熱調理では、ほかの食中毒にも注意し、食品の衛生管理を適切に行いましょう。

スーパーのしめ鯖は大丈夫?買う前に確認したいポイント

スーパーのしめ鯖は大丈夫?買う前に確認したいポイント

スーパーで売られているしめ鯖には、冷凍処理された商品もあります。ただし、市販品だからといって、すべての商品にアニサキスを死滅させるための冷凍処理が行われているとは限りません。

安心して選ぶために、買う前に確認したいポイントを整理しましょう。

  • 市販のしめ鯖は、どのような冷凍処理が行われているのか
  • 「解凍品」という表示だけで、安全性を判断できるのか

市販のしめ鯖は冷凍されている?商品によって違う処理方法

市販のしめ鯖は冷凍されている?商品によって違う処理方法

市販のしめ鯖には冷凍された商品がありますが、すべてのしめ鯖が同じ方法で処理されているわけではありません。

例えば、ぜんぎょれん八戸食品の「しめさば製品」では、真空パックのしめ鯖を-18℃以下で冷凍保存する商品として紹介しています。

一方、国立感染症研究所が2017年に公表した「東京都におけるアニサキス症とその対策」では、東京都内の事業者が作る自家製しめ鯖について、冷凍していないサバを使用していた例も報告されています。

この調査は過去の東京都の事例であり、現在スーパーで販売されている商品の割合を示すものではありません。

なるほどポイント: しめ鯖は、スーパーで売られているから必ず冷凍処理済みというわけではありません。大切なのは、製造時にアニサキス対策として適切な冷凍処理が行われているかどうかです。

売り場では商品説明を確認し、冷凍処理について書かれていなければ、販売店やメーカーに尋ねてみましょう。

「アニサキス対策として冷凍処理されていますか?」と確認すると、知りたい内容が伝わりやすくなります。

「解凍品」なら安心?表示だけではわからない注意点

「解凍品」なら安心?表示だけではわからない注意点

スーパーで「解凍」と書かれた魚を見かけることがありますが、解凍品という表示だけでは、アニサキスが死滅しているかどうかは判断できません。

消費者庁の「知っておきたい食品の表示」では、生鮮魚介類について、一度凍結したものを解凍して販売する場合に「解凍」と表示することが説明されています。

ただし、「解凍」という表示は、アニサキスを死滅させるために必要な温度や時間を満たした証明ではありません。

売り場で見かける表示と、その意味を整理すると次のようになります。

表示・説明確認できること
解凍一度凍結した魚を解凍したこと(生鮮魚介類の場合)
要冷凍-18℃以下商品を保存するための温度
要冷蔵商品を冷蔵保存する必要があること
アニサキス対策として冷凍処理済み製造時に対策を行ったという説明。具体的な条件も確認したい

なるほどポイント: 「保存温度」と「アニサキスを死滅させるための冷凍温度」は別のものです。例えば、「-18℃以下で保存」という表示があっても、製造時に-20℃で24時間以上の冷凍処理が行われたとは判断できません。

厚生労働省の「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」では、アニサキスを死滅させる冷凍条件として、-20℃で24時間以上を示しています。

また、しめ鯖は加工食品のため、生鮮魚介類と表示の扱いが異なる場合があります。パッケージに「解凍」と書かれていなくても、冷凍処理されていないとは限りません。

スーパーでしめ鯖を選ぶときは、表示の言葉だけで判断せず、製造時のアニサキス対策を確認することが大切です。処理方法がわからず不安な場合は、確認できる別の商品を選ぶとよいでしょう。

しめ鯖を食べた後に腹痛が…アニサキス症の症状と対処法

しめ鯖を食べた後に腹痛が…アニサキス症の症状と対処法

しめ鯖を食べた後に激しい腹痛や吐き気が起きた場合は、アニサキス症の可能性があります。特に強い腹痛があるときは、我慢せずに医療機関を受診することが大切です。

アニサキス症は、寄生虫が入り込んだ場所によって症状や発症までの時間が異なります。万が一に備えて、次のポイントを確認しておきましょう。

  • 食後何時間で症状が出るのか
  • 何科を受診すればよいのか、どのような治療を受けるのか
  • アニサキス症は自然に治ることがあるのか

食後何時間で症状が出る?胃や腸に起こる症状をチェック

食後何時間で症状が出る?胃や腸に起こる症状をチェック

アニサキス症の症状は、しめ鯖を食べてから数時間で現れることもあれば、数日後に現れることもあります。

厚生労働省の「アニサキス食中毒に関するQ&A」では、アニサキスが胃に入り込んだ場合と、腸に入り込んだ場合で、症状が出るまでの時間が異なると説明しています。

主な違いを表にまとめました。

種類症状が出るまでの時間主な症状
胃アニサキス症食後数時間~十数時間みぞおちの激しい痛み、吐き気、嘔吐
腸アニサキス症食後十数時間~数日激しい下腹部痛、腹膜炎のような症状

胃アニサキス症は、食べたその日の夜中に突然お腹が痛くなるケースも考えられます。一方、腸アニサキス症では、翌日以降に症状が現れることもあるため注意が必要です。

なるほどポイント: しめ鯖を食べてすぐに症状が出なかったとしても、アニサキス症の可能性がなくなったわけではありません。食べてから時間が経って腹痛が起きる場合もあります。

ただし、腹痛や吐き気だけでアニサキス症と判断することはできません。しめ鯖を食べた後に激しい腹痛が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

病院は何科に行けばいい?受診の目安と治療方法

病院は何科に行けばいい?受診の目安と治療方法

しめ鯖を食べた後にアニサキス症が疑われる場合は、消化器内科が受診先の候補になります。 近くに消化器内科がなければ、内科でも相談できます。

横浜わたなべ内科・内視鏡クリニックの「アニサキス」でも、アニサキス症が疑われる場合は、胃カメラ検査に対応した消化器内科への受診を勧めています。

病院では、アニサキスが胃にいるのか、腸にいるのかなどによって治療方法が異なります。

種類主な治療方法
胃アニサキス症胃カメラでアニサキスを確認し、専用の器具で取り除く
腸アニサキス症症状に応じた治療を行い、必要な場合は外科的な処置を行う

治療方法については、厚生労働省の「アニサキス食中毒に関するQ&A」でも説明されています。

なるほどポイント: アニサキスが胃にいる場合は、胃カメラで見つけて取り除けることがあります。受診するときに「しめ鯖を食べた」と伝えることが、診察の大切な手がかりになります。

受診時には、次の情報を医師に伝えられるようにしておきましょう。

  • いつ、何を食べたのか
  • 食べてから何時間後に症状が出たのか
  • お腹のどこが痛むのか
  • 吐き気や嘔吐など、ほかにどんな症状があるのか

農林水産省の「食中毒かな?と思ったら」でも、自己判断で薬を飲まず、まず医師の診察を受けるよう案内しています。

特に痛みが激しい場合や、夜間・休日に症状が出た場合は、診察時間を待たずに救急外来への相談も検討してください。呼吸困難や意識の異常などがある場合は、重いアレルギー反応の可能性もあるため、119番で救急車を呼ぶ必要があります。

アニサキス症は自然に治る?

アニサキス症は自然に治る?

アニサキス症は、時間が経つことで自然に改善する場合もあります。ただし、自然に治る可能性があるからといって、強い腹痛を我慢するのはおすすめできません。

食品安全委員会の「用語集(アニサキス)」では、アニサキスは通常、感染から3週間ほどで自然に消化管内から消失すると説明しています。

なるほどポイント: アニサキスが自然に消失することと、腹痛を放置しても問題ないことは別です。自然に消えるまでの間も、強い痛みが続いたり、治療が必要な状態になったりする場合があります。

また、腹痛の原因が本当にアニサキス症なのかは、自分では判断できません。

しめ鯖を食べた後に激しい腹痛や嘔吐が現れた場合は、自然に治るのを待たず、医師の診察を受けましょう。

しめ鯖のアニサキスについてよくある疑問

しめ鯖のアニサキスについてよくある疑問

しめ鯖のアニサキスについては、「どのくらいの確率で当たるの?」「炙れば大丈夫?」など、気になる疑問もあるのではないでしょうか。

安全だと思っていた食べ方でも、アニサキスを十分に防げない場合があります。よくある疑問を4つ取り上げ、わかりやすく解説します。

  • しめ鯖を食べてアニサキスに当たる確率
  • 炙りしめ鯖の安全性
  • よく噛むことで予防できるのか
  • 冷凍したアニサキスによるアレルギーの可能性

しめ鯖でアニサキスに当たる確率はどのくらい?

しめ鯖でアニサキスに当たる確率はどのくらい?

しめ鯖を食べてアニサキス症になる確率を、一律に「何%」と示すことはできません。

アニサキスの寄生状況は魚によって異なり、調理前に適切な冷凍処理が行われているかどうかも関係するためです。

また、調査で示される数字には、次のような違いがあります。

調査で示される数字何を表している?
サバのアニサキス寄生率調査したサバからアニサキスが見つかった割合
しめ鯖による食中毒の割合報告された食中毒のうち、しめ鯖が原因となった割合
しめ鯖を食べた人の発症確率食べた人のうち、実際にアニサキス症になった割合

なるほどポイント: 「調査したサバの約60%からアニサキスが見つかった」という結果があっても、しめ鯖を食べた人の60%が発症するという意味ではありません。

実際の発症確率を知るには、しめ鯖を食べた人の総数と、その中で発症した人の数などが必要です。

厚生労働省の「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」でも、不十分な冷凍や加熱の魚介類を食べることによる食中毒の危険性を説明しています。

しめ鯖を選ぶときは、確率の数字だけを気にするより、アニサキス対策として適切な処理が行われているかを確認することが大切です。

炙りしめ鯖ならアニサキスは死ぬ?

炙りしめ鯖ならアニサキスは死ぬ?

しめ鯖の表面を軽く炙っただけでは、アニサキスを確実に死滅させることはできません。

表面に焼き色が付いていても、身の中心まで十分に加熱されているとは限らないためです。

実際に、東京都保健医療局の「こうしておこった食中毒⑧ しめサバによるアニサキス食中毒」では、表面をバーナーで炙ったしめ鯖による食中毒事例が紹介されています。

なるほどポイント: 炙りしめ鯖は表面が焼けていても、中は生の状態で提供されることがあります。見た目に焼き色が付いているだけでは、アニサキス対策として十分とはいえません。

スーパーや飲食店で炙りしめ鯖を選ぶときも、表面の焼き色だけで安全性を判断しないようにしましょう。

よく噛めばアニサキスを防げる?

よく噛めばアニサキスを防げる?

「アニサキスはよく噛めば死ぬ」と聞いたことがあるかもしれませんが、よく噛むだけでは、アニサキス食中毒を確実に防げません。

農林水産省の「海の幸を安全に楽しむために~アニサキスの予防~」でも、よく噛めば大丈夫という考え方に注意を呼びかけています。

アニサキスは細い糸のような形をしており、表面がなめらかで硬いため、噛み切ることが難しい寄生虫です。

なるほどポイント: 食事中にしめ鯖を何度も噛んだからといって、身に潜んでいるアニサキスを確実に噛み切れるわけではありません。

よく噛むことをアニサキスの予防方法として考えず、食べる前の適切な処理を重視しましょう。

冷凍したアニサキスでもアレルギーは起こる?

冷凍したアニサキスでもアレルギーは起こる?

アニサキスは適切な冷凍で死滅しても、アレルギーの原因になることがあります。

食品安全委員会の「食の安全ダイヤルに寄せられた質問等Q&A(アニサキス症)」では、冷凍や加熱によってアニサキスが死んでいても、アニサキスアレルギーを発症する場合があると説明しています。

アニサキス症とアニサキスアレルギーには、次のような違いがあります。

種類起こる仕組み
アニサキス症生きたアニサキスが胃や腸の壁に入り込む
アニサキスアレルギーアニサキスの成分に体の免疫が反応する

なるほどポイント: 冷凍によってアニサキスが死んでも、アレルギーの原因となる成分までなくなるわけではありません。

アニサキスアレルギーでは、じんましんなどの症状が現れる場合があります。魚介類を食べた後にアレルギーが疑われる症状が出たときは、医師に相談してください。

また、呼吸困難や意識の異常など、重いアレルギー反応が疑われる場合は、速やかに119番で救急車を呼びましょう。

アナフィラキシーとは、アレルギーによって全身に急激な症状が現れることです。呼吸や血圧に影響する場合もあり、緊急の治療が必要になることがあります。

まとめ|しめ鯖は酢締めだけに頼らずアニサキス対策を

まとめ|しめ鯖は酢締めだけに頼らずアニサキス対策を

この記事では、しめ鯖によるアニサキス食中毒が多く報告される理由や、家庭でできる予防方法、市販品を選ぶときの注意点について解説しました。

しめ鯖で特に注意したいのは、もともとサバはアニサキスが多く確認される魚であり、酢で締めてもアニサキスは死滅しないということです。

今回の重要なポイントをまとめると、次のようになります。

  • サバはアニサキスに注意が必要な魚で、内臓だけでなく身にも寄生していることがある
  • 酢や塩で締めてもアニサキスは死なないため、しめ鯖にしただけでは食中毒を防げない
  • 家庭でしめ鯖を作るときは、サバを冷やして持ち帰り、早めに内臓を取り除く
  • アニサキス対策には、-20℃で24時間以上の適切な冷凍処理や十分な加熱が有効
  • 市販のしめ鯖も、「解凍品」という表示だけで安全性を判断せず、製造時の冷凍処理を確認する
  • しめ鯖を食べた後に激しい腹痛や嘔吐が起きた場合は、速やかに医療機関を受診する

しめ鯖は、アニサキスの特徴と正しい予防方法を知っておくことで、食中毒のリスクを減らせます。

家庭で作るときもスーパーで購入するときも、「酢で締めているから大丈夫」と思い込まず、適切なアニサキス対策が行われているかを確認することが大切です。